白石英行の代表質問



■予算委員会(2005年3月9日)


《はじめに》

 新生クラブの総括質問を致します。
我が国の経済成長率を対前年度増減率で振り返ってみますと、1956年〜1973年度平均9.1%、1974年〜1990年度平均3.8%、1991年〜2003年度1.1%であり、2003年の経済成長率は3.2%で1974〜1990年度を安定成長期とするならば、それに劣りますが1991年〜2003年度を低成長期とするならば高い成長が見られました。
2004年度は2.1%で2005年度の政府の見通しは1.6%としていますが、シンクタンク7社の平均値は1.1%であるものの、情報技術(IT)関連の在庫調整や、輸出、個人消費の伸び悩みも、05年後半から緩やかな回復軌道に乗り、2・2%の成長を見込むとシンクタンクも予測しており、「回復傾向が明確化する」と予想されています。
平成16年12月に東京都が発行した都内経済成長率の予測によれば都内経済成長率は3.3%増、都民所得は対前年度増加率1.7%と見込まれ回復傾向がみられるものの、今後も予断を許さない低成長期状況であるのは確かであり、地方分権を確立し、区民サービスの俊敏な対応が計れるよう、今後も本区の新行財政推進計画の着実な取り組みをしなければなりません。
こうした厳しい経済情勢の中で、23区の新年度予算も出そろいました。本区の17年度予算は、一般会計が前年度に比べ4.8%減で、減税補てん債の一括償還による影響を除く「実質的な規模」は前年度より2.3%の増となっておりますが、まず、他区と比べどのような特徴があるのか初めにお聞きします。また、18年までの取り組みが昨年11月26日政府・与党合意で示された「三位一体改革」があります。
義務的で地方に裁量の余地がない国庫負担金の削減の影響額・所得税から個人住民税に移譲財源の影響額・17年18年度の地方税とあわせ地方団体の安定的な財政運営に必要な総額を確保する地方交付税制度の見直しの影響額をどのように今回の予算に反映されたのかお示し下さい。


《歳入について》

 次に歳入についてお聞き致します。
本区は自治体運営の先取りをした新公共経営の理念に基づく予算編成を導入し、均衡財政を目指した財政運営をしております。いにしえより「入りを量りて出ずるを制す」と言われるように、歳入の確保は極めて重要です。特に、財政運営の自主性と安定性が一層求められている地方分権においては、文京区が自らの機能を行使して調達し得る「自主財源」の確保が大事であると考えます。
そこでお聞きしますが、17年度予算では、自主財源をどのように見込まれているのでしょうか?また、煙山区長が就任された11年度以来の自主財源比率はどのように推移してきているでしょうかお示し下さい。
 次に税の徴収率についてお聞きします。本区は23区において常に高い位置にあり、13年度以来3年連続のトップを維持しているところであり、税務課の皆さんの日頃の徴収努力には敬意を表するところであります。しかしながら、徴税コスト・納税者の満足度といった要素も大事な項目です。16年度からは「徴収指導員」を設置し、新たな取り組みがされていますが、その効果と今後の見通しについて具体的にお示し下さい。
 また、特別区税の徴収において、個人事業者に雇用されている方の所得税は源泉徴収されますが、普通徴収の為、確定申告を怠っている可能性が高く、特別区税の徴収が確実になっていないと聞きます。個人事業者は申告の際に、専従者は所得税の申告欄に住所等の記載欄があるのに対し、給料賃金の内訳では雇用されている名前と金額だけで所在が不明であり、ここに盲点があるように思います。この点を税務署と連携して情報提供があることにより、一層の税の平等の維持が図れると考えますがどのように対応しているかお示し下さい。



《歳出について》

 次に歳出についてお伺い致します。
19年度には団塊の世代の退職時期を迎えますが、ここ数年、退職手当が区財政に与える影響の大きさに戸惑いを感じます。17年度の退職手当は、16年度よりも3億円減の約9億4千万に収まっていますが、今後、10年間の見通しをどのようにお考えになられているのか?また、その対応策は何かをお示し下さい。
 一方、こうした職員の世代交代の時期にあって、必要な区民サービスを的確に俊敏に提供して行くには、大胆な組織編成の見直しは言うまでもなく、NPM予算編成などの新公共経営の促進の為の、管理職のマネージメント能力・経営能力の育成が不可欠であり、また、係長職の底上げなど職員の育成が喫緊の課題である考えます。既に「人材育成計画」が策定されておりますが、その成果と今後の取り組みについてお示し下さい。

 次に生活保護費についてお聞きします。
 厚生労働省のまとめによれば、昨年10月時点で、生活保護受給世帯が約100万2000世帯となり、制度発足以来、初めて100万世帯を超えたと報告されています。不況に加え、高齢者の単身世帯が増えていることが背景にあるとされています。生活保護費については、本区においても2年連続で補正予算を組まざるを得ない状況でしたが、総額約35億円の事業費は決して小さな額ではありません。17年度予算はどのように積算されているのでしょうか?
また、現行では負担率4分の3とされている国庫負担金については、先の政府・与党合意において、17年度中に見直しの結論を出して、18年度から実施と方向性が出され、今後の三位一体改革の議論の展開次第では、本区の財政への影響が懸念されます。今後の見通しも併せてお示し下さい。
一方、受給者の自立や就労の支援も不可欠であり、17年度の新規事業として「被保護者自立支援事業」がありますが、その事業の見込まれる効果はいかがでしょうか?

次に住民情報系ホストシステムについてお聞きします。
 インターネットの普及により、IT図書館や各施設予約システムなど行われてきましたが、他の自治体で行われているワンストップサービスにはホストシステムが準備されていない状況であります。今回の住民情報系ホストシステムの再構築はこれらを視野に入れてとは思いますが、庁内ホストコンピュータ及び末端機等の借り上げ及び保守については最初の構築段階が大切であり、その費用が増大しないようにしなければならないと共に、その技術革新の速さを考える必要がありますが、今後の考え方を示して下さい。

次に国民健康保険制度についてお聞きします。
 国保は、仕組みとしては保険料と公費負担で成り立っていますが、保険料の収納率は年々低下を続けており、過去最低を更新中です。保険料不足分は、一般会計から繰出金で穴埋めされているのが現状で、財政運営上、国保の収納率の向上は緊急課題の一つであります。こうした中、厚生労働省では検討会を立ち上げ、収納率の向上の為、総合対策に乗り出すようですがその概要をお聞かせ下さい。
本区の17年度国保特別会計は、前年度に比べ、1.4%増の157億6400万円となっていますが、保険料についてはどのように見込んでいるのか?また、収納率向上策について検討されているのかお示し下さい。
次に財政調整基金についてお聞きします。
 財政調整基金は、年度間の財源を調整し、長期的な視点から財政の健全な運営を図ることを目的とした、大事な基金です。本年度は、最終補正で取り崩しの抑制を図ったようですが、16年度末の残高見込みと今後の財政運営上、本区に財政調整基金の必要額をお示し下さい。

最後にNPM予算編成システムについてお聞きします。
 平成16年度のNPM予算編成システムでの課題であった、年々急増する介護保険給付金や区民ニーズの対応に鋭敏に対応するために、予算編成会議で議論をしてきたと思いますが、どの点が改善されてきているのか、課題と取り組みについてお示し下さい。
我が会派の渡辺幹事長の一般質問に対し区長からご答弁いただきましたように、「法律に基づく事業で、各部の裁量の余地がないものなど」特に、急増する社会保障関係経費については、なんらかの調整が必要です。予算は当初だけでなく補正もあります。一般財源に着目するならば、最終補正での一般財源の伸びを活用してはいかがでしょうか? 都区財政調整の仕組みでも、当初算定のあと再調整があります。特別交付金というような発想も取り入れてもいいのではないでしょか? 現時点でのお考えをお示しいただきください。
 「協同協治」を取り入れた自治基本条例が施行される、本年度の予算、様々な政策転換ができ、これこそ文京ブランドと考えます。いずれにせよ、無駄のない運営の為に、各課が連携し知恵を出しあう事が求められています。例えば、治安維持の為に各任意団体など、区民との協同が必要な時、商店の減少・環境対策啓発など総合政策で、ポイントカードに新たな付加価値をつけ、「エコマネー」として道路清掃奉仕などボランティア活動をされた方に還元されるというシステムを組むには全課の協力が必要となります。17年度予算の適切な政策展開を期待し、新生クラブの総括質問とさせていただきます。




■平成16年度/第1回定例会


《自治体運営について》

 煙山区長は1999年に就任されて以来、区民の理解を得ながら、様々な政策を打ち出し、本区の健全財政の運営にその手腕を振るってこられ、先に16年度の所信表明をされました。
そこで初めに、本区が目指す自治体運営全般に対する考え方を改めてお伺いいたします。
 区長は、区民と区がともに自主性と自立性を強く自覚しながら、「協働」を行うことを基本とされ、さらに、区民への様々な公共サービスの実施については、行政だけでなく、住民自らが、それを支えていくという仕組みづくりが必要だと所信表明されました。
 こうした自治体運営の考え方は、ヨーロッパ地方自治憲章や現在国連で検討されている世界地方自治憲章の基本となる考え方であり、いまやグローバルスタンダード(世界標準)となっており、私も区長のこの基本的な姿勢を高く評価するものであります。
 また、昨年区長は、急速に進行する高齢化や経済社会の成熟化に伴う新たなニーズにも的確に応えられる、行財政基盤の整備を目指し、こうした考え方を基本に据えた、新行財政改革推進計画の策定に取り組まれました。
 私も、議員活動を通じて、地域の皆さんにこの計画を含めた区政運営のあり方について、さまざまな場面で説明してまいりましたが地域の多くの方は、この考え方を基本的には理解してくださったと思います。
 しかし、公共サービスの提供については、行政が自ら事業の実施に当たるのではなく、むしろ民間やコミュニティに委ねるということについて、不安を抱いている区民の方や日常的に忙しく生活しており、参加や協働といわれても、現実的には難しいという声も聞かれました。
 私は、住民参画に基づいた住民自治なくして、地方自治法の目的である民主的にして能率的な行政確保と地方公共団体の健全な発達を保証するものはないと考えています。本年策定を目指している区民憲章の考え方もこうした協働を基本的な考え方としていると聞いていますので、新しい行財政改革の推進計画を着実に進め、さらには、本年策定する区民憲章を実効性のあるものとするために、こうした区民の声にきめ細かく応えていくことが必要だと、感じています。
 どのような時代にあっても、文京区が区民からの信頼に応え、誰もが幸せを実感できる愛着のある「わがまち文京区」として発展進化していく潜在能力が高い「ふるさと文京」と思っていますので、これらをふまえ、区長の自治体運営の考え方を改めてお伺いさせていただきます。
 また、「新行革プラン」中間のまとめが報告されて以来、私達新生クラブとしては「区民の声を丁寧に吸い上げ,最終案をまとめていただきたい。」と要望してまいりました。その後、区として地域説明会や公聴はがき、利用者との話し合いなどパブリックコメントを充分に行い、最終案をまとめられたことを私たちは、評価しています。今後の行革は単なる財政再建のための手段ではなく、まさに新しい自治体のあり方を形づくる重要な取り組みと期待をしています。
 そこで、本計画を一年一年着実に実行していく中で、NPM予算編成システムを充分活用しながら、よりスリムで区民のニーズに対応した計画となるよう要望し、今後の「新行革プラン」推進に向けて、5年間のスケジュールや見直しの時期について区長のお考えをお伺います。


《16年度予算案について》

 次に平成16年度当初予算案についてお聞きします。
 区長の区政運営の指針でもある新公共経営の理念に沿った新たな予算編成手法としてNPM予算編成システムを導入し、成果主義と分権型予算の強化にいち早く着手されたことを私達は高く評価いたします。
 このNPM予算編成による削減効果は19億円にも及んだと、新聞報道などでも話題となったようですが、削減効果ばかりでなく今後多様化する区民のニーズをしっかりと対応し、まさに「文の京」にふさわしい予算となるよう期待をしています。
そこでNPM予算編成について区長に4点お聞きいたします。
 まず始めに「政策枠」についてお聞きします。
政策枠は新たな区民ニーズに対応するとともに、各部の創意工夫を活かしていく上で大いに効果が期待できるものと思われます。今回の予算編成においては5億円の政策枠に対し1億4000万円が配分されましたが、今回、プレゼンテーションにあたって区長はどのような視点に立ち、何に留意され選定にあたられたのかお伺いいたします。
 次に「人件費インセンティブ」については、業務の効率化や各部の経営努力が如実に現れるものと認識していますが、各部の創意工夫や職員の意識改革、「新行革プラン」で見込んだ職員削減に、どれほどの効果が現れたのでしょうか。また、複数年度管理による、各部の借り入れについてはどうであったのでしょうか?一部には厳しい状況もあるやに聞き及んでいますが、今後の行革の推進とのバランスや整合性はとれているのかお伺い致します。
 4つ目に、NPM予算は「成果重視」「各部の自己決定・自己責任」という視点においては大きな効果を挙げるものと思いますが、「初の試み」であることも事実です。今回の予算編成を通じて認識された課題や整理すべき事項などあればお示しいただきたいと思います。



《教育について》

 次に学校教育についてお伺い致します。
 区内の公立幼稚園10園695人、区立小学校20校6567人、区立中学校11校2347人 計9609人の子供たちが通学通園しており、少子化時代を向かえ核家族が急増している現在、学習のあり方や集団生活のあり方を「教育改革推進会議」の答申を踏まえ早急に実施する必要があると思います。
 区は昨年国に対し、「構造改革特区」を利用し、土曜日のあり方や文京アカデミー構想を提案し、石橋を叩いて渡る考え方から区民の一番身近な行政として特色ある教育に「攻め」の姿勢へと転換し、ニーズに応えようとしていることは高く評価を致します。
 しかしながら行財政改革の中では教育施設に関することは、「学校の余裕教室等の空間の転活用について検討」とあり、今後の課題としたことは少し残念であります。文科省が進めている「地域こども教室推進事業」の発展したものとして、保安維持及び学力に影響がないと判定できる施設整備が整っている学校から、順次各部署と連携し、政策展開をして頂きたいと思いますがお考えをお伺い致します。
 そして区長は所信表明の中で、幼小中一貫校を検討すると述べられました。公教育の基本原則、公共性・持続性・安全性の確保と公立学校教育としての義務教育制度の意義・役割については、各学校が区民の期待に応えられるよう努力をされていることは、理解をしています。
中央教育審議会は昨年12月16日に「今後の学校教育の管理運営の在り方について」答申を出し、政府は規制改革推進三カ年計画でコミニティスクールスクール導入ための制度整備を、平成15年度中に結論を出すとしており、区長の攻めの姿勢には賛成致しますが、
他自治体の小中一貫校では、学習指導要項をベースにして新しいカリキュラムを提示し、9年間のあり方を変更するなどの従来に囚われない教育指針をしております。また、都立小石川高校で実施される中高一貫校ともその目的は変わってくると思います。その目的を失うことなく時代のニーズと本区にあった指針で提供していただきたく、検討結果を待ちたいと思います。また一方で、本区は中央教育審議会答申の「地域運営学校」の制度化を待たずして平成16年から実施意欲のある特に、中学校に対して実践委託してはいかがかと考えます。これは保護者と地域住民が一定の権限と責任をもつわけで学校運営責任者である校長先生の裁量が広がる分、その学校運営の度量も質も高まると思いますがいかがでしょうか、教育長にお考えをお伺い致します。
 また、文の京の地域性を生かし、生涯教育、図書館など各教育機関と連携できる恵まれた地であり、その地の利を生かし、更に2点質問致します。
 近年、社会のノーマライゼーションの進展や児童・生徒等の障害の重度・重複化や多様化の伸展、小・中学校の通常の学級に在籍するLD(学習障害)やADHD (注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童・生徒への対応など、心身障害教育をめぐる状況は大きく変化し、これまでにない教育支援システムの改善が求められ、昨年12月25日に「都の特別支援教育のあり方、最終答申」が出されました。心身障害教育検討委員会委員長の学芸大学 上野先生はその必要性を強く訴えるとともに、ゴールではなく新たな課題の取り組みへの方向性を示すものであり、そのスタート地点にたったと述べられています。本区では筑波養護学校と連携し、研究を進めていることは期待をするところであり、国や都に先駆として評価するものですが、上野委員長も述べているように方向性を示すもので、ソフトランディングをしながら前向きの検討と時間をかけ、より様々な教育施設との連携を更に深め、進めていかなければならないと考えます。本区内には国立大学の4つの附属学校群があり、独立法人化に伴い、大学と附属学校群との一体化した運営組織に強化され、地域連携から社会連携という形に変わると聞いています。仕組みを整えながら更に連携し、検討を進めていただきたいと思いますが今後の取り組みについてお考えをお伺い致します。
 2点目は環境学習について質問致します。
区内の私立中学校 独協、日大豊山、文京学院、跡見学園が合同で環境教育推進プロジェクトを立ち上げています。いわゆる総合的な学習の時間を最大限に活用していく為に、単発的でなく継続的に環境という問題に立ち向かい、学力及び日本の方向性を幼稚園児〜高校生までの教育者向け「プロジェクト ワイド」という教材を使用し、指導しようとしています。本区の学校でも先生の研究や地域の方のお力によって様々な学習をしておりますが、環境学習は必要であるけれどもそのやり方が難しいと聞いています。昨年の7月23日公布の「環境の保全のための意欲の推進及び環境教育の推進に関する法律」の9条2項には学校教育における環境教育の充実のための措置、環境教育に係る教職員の資質の向上のための措置に努めるとあります。そこで、これら4校の校長先生が立ち上げるプロジェクトに本区も参加し、その方法、方向性、並びに交流やスケールメリット、その民間学校がもっている能力や活力と連携することに期待致しますが教育長のお考えをお伺い致します。


《児童虐待防止について》

次に児童虐待防止についてお伺い致します。
経験の少ない子供たちにとって大人が指標であり、親が目標でなければならないのに、児童虐待のニュースはここ数年、毎週のように流れていおります。児童虐待の相談件数は、平成14年度、2万3000件と5年前の4倍を超え、児童を一時保護した件数も8300件、保育所や警察などが参加して地域で虐待に取り組む児童虐待防止ネットワークの設置率は、全国の区市町村の30パーセント程度と厚生省は発表しています。大阪府岸和田市の事件で太田知事は、家庭問題の相談を専門とする職員を増員して、虐待問題への対策を強化する方針を決め、再発防止の対策に取り組んでおります。
 本年2月10日に実施されました文京区青少年問題協議会が策定した青少年育成プランの第1章は、「おとなの意識改革!」で始まっており、そのおとなの意識啓発の重要性について指摘されています。これらへの対応を含め、家庭における子育てと子どもの健全な育成を支援するために、既に昨年10月に文京区子ども家庭支援センター「ふみちゃんのおうち」を本区ではスタートしております。今までに子育て家庭のための支援を行ってきたと思いますので、その成果をお教え下さい。
 児童虐待の問題は極めて深刻かつ、緊急を要する問題であります。虐待されている者は、相談したくてもできない子どもであり、子どもたちの声は声なき声であります。国は今国会の児童福祉法の改正案の中で、相談体制の充実を図り、区市町村が担う児童相談の役割が初めて明文化すると聞いています。これらの動きも踏まえ、児童虐待の問題について区として現在どのように対応し、また、今後どのようなネットワーク形成をし、声なき声を見つけ、対応していこうとしているのかお考えをお伺い致します。


《まちづくりについて》

次に、まちづくりについて5点お伺いします。
先ずは、緑化政策の促進であります。
第5次文京区緑地実態調査(平成8年3月)によりますと、文京区は、23区で緑の多いほうから7番目、樹木の多い順では、4番目であり、比較的樹木による緑に恵まれたまちといえます。これには、緑の多い環境を維持促進するため、建築計画において、東京都よも緑化基準を高く設定し、緑化促進に取り組んできた成果であり、また、大都市のヒートアイランド現象の対策として、屋上緑化を推進するなどの政策も展開しており、山あり谷ありの本区には、区長もご存知のとおり思わぬところで沢ガニを発見できる環境でもあります。しかし残念ながら、区内緑地率が減少傾向にあることが、現実と考えます。
16年度、区内の緑地実態調査を行うということですが、ヒートアイランド現象対策としての屋上緑化推進政策、例えば補助事業の見直しなど、実態調査の結果を踏まえた補助制度とするなど、緑化政策を前進させるべきと考えますが、区長の考えをお聞かせください。
 
次は、公有地の適正利用についてであります。
私が区議会に入り5年の年月が経ちますが、区内も様々な開発が進み、様変わりしてきています。国の財務局のホームページを見る限りにおいても、現在、関東財務局3件東京財務事務所が1件入札の公示がされています。今後、財務省第六天宿舎、裁判所書記官研修所など大規模な国有地の売却が予定されています。
現在、市街地再開発事業が進んでいる後楽地区、茗荷谷地区、春日町三丁目地区などとは異なり、そこに住んでいる人たちが汗を流して事業を推進するということはありません。このような居住人口がない国・都・区の未利用地などが、今後どのように利用されるのか近隣住民の関心は高いものがあります。そこで今後、区長は公有地が適正に利用される為に、どのような行動をしていくお考えか伺います。

次は、防災まちづくりの促進についてであります。
阪神淡路大震災から9年が経過しました。9年前の震災時、家屋の倒壊や家具の下敷きによる犠牲者が多くを数えました。近年、南関東直下型地震が心配される中で、防災対策の促進は急を要し、震災復興マニュアルの策定と市街地復興整備条例の制定には大いに期待をするところであります。区では耐震診断助成や住宅修築資金利子補給による住宅の耐震化に勤めておりますが、その利用状況はなかなか伸びない状況であると聞いています。
最近、横浜市、中野区等の自治体が新たな木造住宅の耐震化を支援する制度を設けています。これは、耐震化を進めることで住民の生命や財産を守ると同時に、震災後の復旧経費の軽減につながるものとの考えがあるようです。
そこで、区民の生命や財産を守るため、住宅の耐震改修への新たな取り組みなど、より一層災害に強いまちづくりを目指していただきたいと思いますがお考えをお伺いします。

次は、防犯に強いまちの促進であります。
本区は23区の中で犯罪の最も少ないまちです。しかしながら、そのデータに安心するには、はっきり言って不安が残ります。JRのターミナルを持たない区だからこそ少ないのではないかと考えることが、しばしばあるからです。シビックセンター周辺も近年様々な犯罪が起き、スーパーマーケットの夜間強盗、銀行強盗、駅の宝くじ売り場での強盗や車の盗難と、私が生まれて初めて体験する事件が身近に起きています。
区長は「安心安全まちづくり条例」の制定をし、防犯に強い町を目指していますが、区民の皆さんは現在、町会の夜警を始めPTAは自転車で、商店ではステッカーを、動物愛護団体は散歩時にバンダナを、と様々な連携をとって防犯に努めております。
今日、健康維持のために散歩やジョギングをしている人を多く見かけます。これらの方々に区内を走行して頂く時に「文の京防犯キャップ」などを配布するなどして、自らの啓発と犯罪予防対策にご協力いただき、防犯に強いまちをアピールしてはいかがでしょうか、お考えをお伺いします。

次に、環境美化促進についてであります。
本年7月に「(仮称)春日自転車駐車場」の開設にあたり、拠点商業地域にふさわしい新たなサイクルステーションとして、その展開に大いに期待するものであります。今後、それに伴い春日周辺を駐輪禁止区域に指定することと思いますので、それと同時に環境美化地区を設定することを区長に提案申し上げます。
今でも駐輪対策をしている方々が随時路上の掃除もしてくださっている姿は見かけますが、それが啓発になっていないのが現状です。区長がおっしゃるように区民のモラルは高いと思います。しかしながら、近年のシビックセンター周辺の昼間人口は確実に増えており、路上の管理に疑問点が残ります。
シビックホールの利用率も高く、他の自治体の方も来訪する本シビックセンター周辺を環境美化地域に指定することは、本区の環境対策活動の発信として適していると思いますが、お考えをお伺いします。


《パートナーアニマルとの共生について》

最後にパートナーアニマルとの共生についてです。
 近年所謂ペットを許可するマンションが増え、都営住宅も核家族が増える中でその必要性を採用しております。しかしながら動物愛護に対する考え方や価値観の相違などから、飼育側の迷惑行為をはじめ、虐待や遺棄、近隣住民とのトラブルも数多く発生する今日、海外からの多種多様な野生動物の輸入増加に伴う人と動物との共通感染症や、遺棄による在来固有種の圧迫、生態系の破壊などの問題がクローズアップされてきています。
 これらのことは全て私たち飼育する側のモラル一つで解決することなのですが、この現状を見る限り啓発運動の必要性を感じます。都は昨年12月にハルスプランで30の具体策で啓発していくことを、示しました。動物の飼養指導員及び犬猫の正しい飼い方普及員  計45名のご協力を得て進めてきた本区ではありますが、ここ数年、夜間、公園でリールをはずして散歩をされている方を多く見かけます。夜だから構わないという論理は区に寄せられる苦情を見ても許されるものではありません。しかし、動物を元気に走らせてあげたいと望む気持ちは区長も元飼い主として理解いただけると思います。
そこで、ご提案いたしますが、昨年オープンした「スポーツ広場」を有効利用し、「ドックランパーク」を設置してはいかがでしょうか?区内には獣医師会と連携をとった愛護動物団体もあり、それらに犬のマナーの啓発とともに衛生管理の推進を促し、許可を得た者だけが利用できるとしたならば 子供たちが照明がなく使えない夜間の時間、解放ができると思います。
 今後も限られた区内スペースを有効利用して、最小の経費で最大の効果を生むサービス提供していく為に、今後もあらゆるスペースをご検討いただき、区民のニーズに答えていただきたいと思いますが区長のお考えをお伺いして私の質問とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。





■平成15年度

(赤字:白石質問 黒字:区長又は教育長答弁)


《区の進むべき方向性について》

●行財政改革推進計画で、職員に求められる資質としてまとめた八項目について、今現在どのような評価をされてるか。 総務部
育成の取組みを、職員研修、人事管理、職場環境の各分野ごとに定め、求められる職員像を目指し、職員の資質の向上を図るための具体的な方策に取り組んでいるところです。
ここ二年間を振り返ってみますと、基本構想審議会ワーキンググループ・区民憲章研究会などへの職員参画の実績があり、今後とも、この人材育成計画に沿って様々な角度から職員の育成に取り組み、基本構想の実現を目指し、区民志向の質の高い効率的な行政体制を確立してまいります。

●ICカードを発行する場合、部門にこだわらない更なる効果の検討が必要と思われるが、如何か。 企画政策部(情報政策課)
国においてもICカードの活用方策が検討されているところであります。本区では、今年度に実施する予定のICカードの実証実験の結果も踏まえつつ、多方面にわたる活用の調査・研究を進めてまいります。

●新公共経営で掲げる顧客主義、業績成果の統制を踏まえて、任期最終年に当たりその理念の総決算としての評価と更なる決意をお伺いします。 企画政策部(新公共経営担当課)
私は、民間の経営手法の長所を行政に積極的に取り入れることにより、施策を効率的・効果的に実施するとともに、成果を重視し、顧客としての区民の満足度を最大にすること、そして、区民との間に協働関係を構築し、手を携えてこの「文の京」をつくっていくことを目指してまいりました。
今後は、事務事業評価を施策評価、政策評価にまで広げ、行政評価システムの充実を図るとともに、PFIなど民間活力導入手法の検討や組織の簡素化・減量化などにより、将来を見据えた計画的な行財政運営をいっそう進めてまいります。
さらに、今後、本区が二十一世紀の先進自治体として、その役割を十分に果たしていくためにも、協働を背景とした区民参画の基礎となる「区民憲章」の策定を目指していく所存であります。


《学校教育について》

●既存の学校において、総合的な学習の時間を中心とした様々な学習スタイルに参加する子ども達にどのように対応しているか。また、対応していこうとしているか。 教育局
オープンスペースのない学校においては、教室内を分けてグループ活動を行ったり、図書室やパソコンルーム、視聴覚室、会議室など、学校全体を学習の場として活用するなどしております。
 今後とも、校内施設を十分に活用し、子供たちの学習スタイルに合わせた活動が展開できるよう、学校施設の一層の有効活用を図るとともに、可能な限り施設整備についても努めてまいりたいと存じます。

●快適な学習生活を送る為の教室整備と教室の有効的な活用についてどのようにお考えか。 教育局
学校施設が快適に使用されることは必要であるとともに望ましいことであると考えており、今後とも可能な範囲でそのための施設整備に努めてまいりたいと考えております。
 また、教室の有効活用につきましては、学習活動への影響を考慮しながら、駕籠町小学校内の保育園設置のような方法での活用が可能かどうか検討してまいりたいと考えております。

●基本構想の「学校選択の幅を拡大」についてのお考えは。 企画政策部(教育局)
私は、各学校が特色を発揮する努力をし、保護者が責任をもって、学校を選ぶという制度は、とりわけ中学校においては、学校や生徒それぞれの努力の結果が明確になる良い制度であると考えております。
ご意見のように、時代の流れは様々な場面で自己責任と主体的な選択ができる方向へと進んでおります。学校もその例外ではないと考えております。
実際に制度化するためには、解決されなければならない問題も多々あろうかとおもいますので、教育委員会において、必要な検討を詳細かつ効率的に行っていただきたいと望んでおります。

●学校選択制の導入と実施に当たって、その取り組みの状況についてお伺いします。 教育局
円滑に選択制度を導入するための具体的な仕組みや保護者や入学対象者に情報をどのように提供していくかなどを検討してまいります。


《NPO・ボランティア団体支援について》

●地域活動センターについて、今後、ボランティア団体・NPO法人に貸し出し、地域交流をより活発化しては如何か。 区民部
現在、地域活動センターは、設置に伴う整備を終え、地域活動団体の支援を行う体制を整えたところであります。
地域活動センターの利用につきましては、NPO・ボランティア団体の育成支援の観点から活動内容も踏まえながら積極的に対応してまいりたいと考えております。

●児童館などの施設について、ボランティア団体・NPO法人に活動の場を与え、世代間交流の持てる場所にしては如何か。 区民部
ご提案の児童館につきましては、現在、さらなる充実のために、開館時間の延長、中高生などの利用者拡大、地域団体との連携・協働等、そのあり方について検討しているところであります。
今後、この検討結果を踏まえて、世代間の交流が図れるよう、ボランティア団体等との連携についても考えてまいります。

●教育センターなどの施設についても、世代間交流の場が持てないか。 教育局
教育委員会の事業へのボランティア団体、NPO法人との共同活動をしてまいる予定でございます。このような活動を通して、世代間の交流も図ることができると考えております。

●生涯学習ボランティア団体を支援するため、会議室の場を優先して確保するほか、活動しやすい様々な制度を設けることを検討していただきたいと考えますが、如何か。 教育局
社会教育関係団体として登録をすることにより、優先受け付け等が受けられます。その他の協働関係を築くための方策等につきましては、全庁的な対応が必要になるため、団体の活動内容等を踏まえ、今後検討してまいりたいと存じます。
このようなネットワーク団体の活動する場が拡充していけば、御指摘のように生涯学習ボランティア活動が地域社会に大きく貢献していくものと考えております。


《公共スペースの有効活用について》

●スケートボード等のスポーツに公共スペースを提供することが、青少年の居場所づくりの一環として有効な手段と考えるが、考えをお伺いしたい。 土木部
確かに、青少年の健全育成のためには、スケートボード等に対し一定のルールのもと、公共スペースを提供することも一つの方法であると考えます。
しかしながら、騒音や事故の問題、適切な公共用地などのこともあり、これらの青少年に人気の高いスポーツの実態を研究し、今後検討してまいりたいと存じます。


《介護保険・障害者施設について》

●3年毎の事業計画・保険料改定の年を迎える本年、事業計画の見直しに当たり、その検討過程についてどのように取り組むお考えか、お伺いします。 介護保険部
介護保険事業計画については、介護保険料とも連動するため、多くの区民の意見を聴いた上で、改定していきたいと考えております。
その検討に当たっては、学識経験者、関係団体代表、公募区民などで構成する地域福祉推進協議会で協議及び検討していただくほか、今後、区民に説明し、ご意見を伺う機会を持つ予定であります。
さらに、区報特集号を通じてご意見をいただくほか、関係団体の勉強会やお届け講座等への職員派遣などにより、制度に対する理解が深まるよう取り組んでまいります。

●高齢者の自宅での自立生活確保策として、住環境改善のために更に住宅改修に関する給付や事業の利用促進を図ることが必要と考えるが、お考えは如何か。 介護保険部
今後は、住宅改修施策等とあわせその効果についてもPRに努めるとともに、関係機関、住宅改修事業者等との連携、理学療法士等の医療・福祉資源の活用も図りながら、安心して在宅での生活が送れるよう、利用促進に取り組んでまいります。

●今後、支援費制度の移行に向け、どのような視点でお考えになるか。 福祉部
支援費制度に関しましては、国より、いまだその詳細が示されてはおりませんが、今後の円滑な制度移行に際し、サービスの体制整備や施設整備など地域での自立を支えるため、障害者施策全体の基盤づくりを目指す視点を持って対応していくことが大切であると考えております。

●福祉センターでの利用者の増加・障害程度の重度化等の様々な問題解決のために検討している、支援制度を利用した新たな通所施設の既存施設活用について、状況をお答えください。 福祉部
現在、勤労福祉会館を候補地の一つとし、その耐震調査及び都の関連部署と調整を行なっております。これらの調査結果等を考慮し、前向きに検討を進めてまいります。


《街づくりについて》

●本区の特色を十分保全する街づくりを進めるため、区民の声を「都市マスタープラン」に反映させていくべきと考えるが、どのようにお考えか。 都市計画部
現在も、事業化に向けた取り組みの中で、区民の声が十分に街づくりに反映できるものと考えておりますが、都市マスタープラン改正の必要性が生じた場合には、適切に対応してまいりたいと考えております。

●シビックセンター周辺等再開発に対する国の新たな開発手法等の採用について、区はどのように対応しているか。 都市計画部
私としては、今後これら開発手法の適用の可能性について、検討を進め、シビックセンター周辺の開発を始めとする区内の都市再生に関する事業の促進を図ってまいりたいと考えております。

●住宅白書での情報を整理し、更なる住環境の研究が必要と考えるが、如何か。 都市計画部
住宅白書改定の中で十分整理し、基本構想に示された安心して住み続けられるような住環境の研究を進めてまいりたいと考えております。

●8月開園する公設民営かごまち保育園の進捗状況と区の待機児対策は如何か。 福祉部
●小石川学園閉園による小石川地区での待機児対策を今後どのように考えるか。 福祉部

ご指摘の小石川学園の廃園は、その地域での保育に影響を及ぼしており、保育園の設置を推進していく中で、特に考慮する必要があるものと考えております。
今後、さらに保育需要の増加が見込まれることから、民間事業者との連携を図り、様々な手法を取り入れ、区民要望に対応した保育園の整備に努めてまいりたいと存じます。

●敷地面積の膨大な国有地が民間に売却され、都市再生が適用された場合、まちづくりに寄与することを要件にするよう求めていただきたいが、お考えは如何か。 都市計画部
大規模開発は、周辺に与える影響も大きいことから、周辺まちづくりに配慮した計画となるよう、今後とも指導や要請などを行ってまいりたいと考えております。

●施設建設を予定する宮城県所有地について、民間ノウハウを活用し、PFI等新公共経営の理念を生かした対応をしていただいきたいが、お考えをお伺いしたい。 企画政策部(企画課 新公共経営担当課)
現在、各関係機関と調整中でございますが、全体の事業計画が具体的になった段階で、新公共経営の理念を生かし、PFIなど民間活力導入手法の検討も含め詳細な検討を行なってまいります。