2007年(19年)決算委員会 白石英行総括質問

2007年(19年)決算委員会 白石英行総括質問 全文
 ことし4月に誕生した成澤区長は、政策形成能力のない自治体はこれからの自治体間競争に生き残っていくことはできないと所 信表明され、大きく重点施策として7項目、子育て支援の充実、教育施策の推進、福祉の充実と健康づくりの推進、地域自治活動への支援、地域産業への経営支 援、安全で安心なまちづくりの推進、行財政改革と基本構想を掲げられました。
 18年度、文京区議会議長を務めていた区長にとって、本 決算はまさにその礎となるもので、19年度事務事業評価の精度を高めながら、新年度予算へと着実に歩んでいただきたいと思います。
 18年度予算は、煙山前区長の行財政改革の推進、NPM予算編成システムの導入により均衡財政を維持する中、将来世代に対する責任をしっかり果たしていく ために、持続可能な財政体質をつくり上げることを基本認識とした上で、協働・協治都市文京のあすを開く予算として3つの重点施策を展開いたしました。
 その18年度の経済状況を振り返ると、大企業の企業収益回復に伴う法人税収の増加により、国においてはプライマリーバランスの赤字も縮小しました。ま た、18年度10月から12月期のGDP成長率が年率換算で5.5%の伸び率を示し、日銀はことしの2月、政策金利を0.5%に引き上げを行うなど景気回 復が大きく見込まれる一方、特に企業間格差とともに個人間の格差が拡大いたしました。
 本区においては、三位一体改革による国庫補助金 負担金の改革などの影響を受ける一方,定率減税の段階的廃止、老年者控除廃止などの税制改正による区民税の増や、調整三税の増収が見込まれる中、KKR等 の都市計画公園用地の所得や子育て支援事業など、区民ニーズに対応されました。また、財政調整基金を100億円台に積み上げるなど、財政運営の見通しを全 庁的に行ったことは、大きく各職員の意識も変えたことと考えています。
 今後、国の指針で示される20年度決算からの発生主義の活用、 複式簿記の導入がされることにより、区民への説明責任はむろんのこと、職員レベル、ひいては区役所全体の底上げがさらに求められてまいります。

 そこで、初めに協働・協治都市としての重点施策の成果はどうであったか、またどのような協働であったかをお示しください。

 また、 16年度より実施している庁内公募制人事制度では、16年度は8件の職務を公募し3名を配属、17年度は4件の職務を公募し2名を配属され、新規事業また は専門性の高い職務等においてその能力、経験を発揮されているとお聞きしますが、18年度ではどうであったか、自己啓発講座参加者の成果はどうであるか、 だれもが手軽に組織の枠を超えて職員提案できるよう、グループウェアを活用した職員提案制度はどうであったかお示しください。

 私は、 政策立案するに当たっては、さまざまな観点から情報を整理していただくためにも、区民協働の場へ参加する機会を与えることが必要と考えていますが、各職員 にそのような機会があったか、考え方についてもあわせてお示しください。

 次に、新行財政改革推進計画の見直しについてお聞きいたします。

 平成10年度より人口増加を続けている本区は、本年9月で19万2,182人、そのうち外国人は6,852人ですが、2万276 人増という傾向の中、行財政改革を推進しながら必要性の高い政策課題に柔軟に、自立的かつ弾力的に対応すべく、持続可能な行財政システムの構築のために 18年度見直しを行いました。
 この目的にあるとおり、大変重要なことと思います。そこで示されているように、職員の削減はおおむね順 調ですが、年齢構成にひずみを生んでいるとともに、1人当たりの年収が下降傾向にあり、職員1人当たりの区民100人の配置目標については、平成15年度 85人に対し16年度は89人、17年度は93人、18年度は97人となり着実に歩んでいるとありますが、達成見込みはいかがでしょうか。

 また、本区に類似した団体に比べ職種別職員数では異なる点が見受けられますが、今後、団塊の世代の退職金がピークを迎えていく中、人件費の将来投資及び 配置についての方向性の検討はどのようにされているのか、あわせてお示しください。

 また、老朽化の進む施設について、6割が建築後 30年という年月を経過している中、中長期改修計画の着実な実施とまちづくり事業などの大きな経費が必要な時代に対応すべく、基金の統合等を実施してまいりましたが、今後取り崩して投資する場合、どのような時系列的傾向を予測しているのかお示しください。

 次に、財政指標について何点か お伺いします。
 まず、経常収支比率ですが、17年度に12年ぶりに76.7%となったのに続いて、18年度は73.5%と2年連続 70%台となり、23区で13番目の水準であります。これは、景気の回復による大きな変動や持続可能な行財政システムの転換の努力のたまものでした。そし て、これからは時代に対応した柔軟で早急な施策展開が自治体に求められていく時代です。
 そこで、今後どのように変化していくと予想される中、重点施策の中でも継続的施策及び新規事業を行っていくつもりかお示しください。

 また、実質収支比率ですが、標準財政規模が大 きくなることで数値は改善するものですが、本区の補正予算実績や財政調整基金の必要規模などを総合的に換算し、20から25億円を目標として財政運営されると昨年答弁いただきました。18年度の実質収支額は約25億円でしたが、どのように評価しているのか、また自主財源比率は23区ではどうであるか、今後 の予算編成ではどのように考えているかお示しください。

 次に、歳入についてお聞きいたします。
 まず、特別区民税 については、18年度の決算額は279億1,697万円で、前年度比110.9%と高い伸び率となりましたが、住民構成が著しく変化する本区での所得層ごとの納税者数及び税額の傾向について、傾向があるかお示しください。

 また、平成19年度は住民税のフラット化や定率減税の廃止などの 影響により、予算編成の段階で特別区民税は18年度決算見込額に比べ約12億円の減収見込みとされていましたが、現段階でこの先どのような傾向にあるの か、所得層ごとの納税者数及び税額の傾向について、傾向があるかお示しください。

 次に、都との関係についてですが、主要5課題の一定 の解決から都区のあり方へと話し合いを移し進めているところであります。こうした中、東京都は本年3月に個人都民税の軽減措置を来年度から行うと発表し、 その後、区側は都に対し、都独自の課税免除と国制度の整合性を初めとするさまざまな課題を提示したと聞いています。

 その結果、本年9 月に取り下げとなりましたが、本区としてこのような施策をどのように考えているかお示しください。

 また、今後もこのような一方的な施 策が提示される傾向が続くのか、お聞かせください。

 歳出について何点かお聞きします。
 まず、委託料についてです が、18年度導入された指定管理者制度により、従来の人件費相当分については委託料として計上されることになり、18年度予算では委託料が前年度に比べ5 億3,100万円の増となっていますが、その費用対効果の状況、委託先のサービス状況及び本区の重点施策との連携について、どのように評価されているのか お示しください。

 次に、不用額についてですが、17年度では全体で20億円、総務費3.6億円、民生費5.9億円、衛生費1.4億 円、教育費2.7億円など、18年度では全体で17.5億円、総務費2.4億円、民生費6.2億円、衛生費1.8億円、教育費2.5億円などでありまし た。

 時系列的に見ながら、各不用額でどのようなものがあったか、変化があったのかお示しください。

 また、昨年決 算の総括で私は、当初予算を的確に編成し効率的な予算執行を行うことが財政運営の基本であり、予算を残すのではなく適切な決算見込に基づき補正予算をしっかり行うようにお願いいたしましたが、今年度ではどのように分析されていますか。

 各部門間の連携において、各部の経営能力のさらなる 向上、発揮だけではなく各部間の連携した横断的な施策展開が一層求められ、そうした提言が生み出されるような仕組みづくりが重要とも御答弁いただきました が、どのような検討がされたのかお示しください。

 次に、子育て支援事業についてです。

 子育て支援事業について は、18年度には子育て支援課を設置し幼保一元化施設「柳町こどもの森」の開設を初め、子育て支援券の発行などさまざまな支援事業を行ってまいりました。 現在、転入人口の増加により、子どもの人口層も増加傾向にありますが、これらの政策が本区の出生率の増加に結びついているのかお示しください。

 次に、市街地再開発事業についてですが、住民がまちづくりの手法として行う手法として、18年度には後楽2丁目西地区と茗荷谷について助成を行いまし た。先日発表された基準地価の住宅地では、23区で3番目に上昇率が高く24.6%という結果になっております。安心で安全なまちとして評価され、その関 心も高いことはうれしいことですが、バブルのときに個別開発されたような無造作なまちづくりは感心できません。

 再開発組合の現状はい かがでしょうか。

 また、今後の予定されている春日、後楽園駅前地区の補助金額について、前2地区の金額等を参考にし今後検討するとしていましたが、いかがでしょうか。

 そして21年度から3地区の補助金交付時期の重複について、単年度に多額の歳出が発生しないよう調整するとのことでしたが、その進捗状況をお知らせください。

 一方では土地のミニバブルと言われる中、区内のワンルームマンションが投 資目的で建築され、近隣住民から管理上の問題提起がされています。本区では要綱を定めて指導を行ってまいりましたが、先日の建設委員会において条例化が示 されました。
 今後の文京区のまちづくりに期待できると考えておりますが、今後のスケジュールと、これを機に本区のマスタープランが再 構築されるのかお示しください。

 最後に、シビックセンター施設管理費についてですが、環境対策を含め全庁的にその経費の削減に努めて いることは評価できます。しかしながら、減価償却によるメンテナンス費用等も増えていくことになり、さらなる工夫により区民に愛着の持てるシビックセン ターでなければなりません。
 18年度は、小石川保健所を統合する経費を計上されました。集約施設として活躍していると考えますが、区 民の満足度はどのように把握されているのでしょうか、お示しください。

 また、シビックセンター地球温暖化防止対策として、17年度か ら最小の経費で効果的な削減率を目指すとしていますが、その効果について18年度どうであったかお示しください。

 また、今までさまざまな議論がありましたが、高層なシビックセンターのエレベーターについて、職員1人当たりの使用頻度、外来者の使用頻度、待ち時間、維持経費、電気代について分析されているのかお聞きいたします。

 近年のエレベータープログラムも進化していると聞きます。効率的な職員の仕事条件を整備することは、約900人が働くシビックセンターにとって大きな効果を生むと同時にCO2削減の一つと考えますがいかがでしょうか、お考えをお示しください。

 シビックセンターの課題点については、今までさまざま改善されてきましたが、地下鉄、都バスの交通利便性を活かした文京区役所シビックセンターが建設されることになった当時の目的の達成に加え、サービスの告知や啓発、分かりやすさ、そして利便性が高く有効的に使われていることが感じられることが、来客された区民満足度をさらにプラスすることと思います。

 文京区役所として、庁内のあり方など再確認していただきたいことをお願いして、質 問を締めくくりたいと思います。よろしくお願いいたします。

答弁後の感想

 私は、1999年4月に煙山区長とともに当選以来、本区の財政は年々厳しい状況が続いているなと実感させていただきました。しかしながら区民に御理解、 御協力をいただきながら行財政改革を庁内一丸となって進めて、使い切りの予算からNPM予算編成システム等へ移行して、各部署は政策の見直しを事務事業評 価という形で行ってきた成果があらわれた決算と考えています。
 しかしながら、質問でも言いましたが、成長が実感できない格差社会の到 来は、地方自治体の運営にとって大きな課題となり、景気回復と人口回帰がダブルで来ない地方では少子高齢化社会では生き残れないのが実態でもありました。 本区においては、2年連続して経常収支比率が70%台になったものの、扶助費の漸増のほかにも施設改修や都心部ならではの子育て支援等の大きな施策展開が 求められ、予断を許さないことは同感であります。
 福田新総理は、昨日の所信表明で、希望と安心の国づくりを目標として、地方に対して は自立と共生を掲げ自助努力を求めています。本区の職員においては、これらの行財政改革を進めてきた中、一定の意識改革が行われたと思いますが、今後はれを意欲に変えて区民とともに文京区らしさをつくってほしいと思っております。
 18年度の重点施策、子育て支援の充実、文京アカデ ミー構想での生涯学習の充実、区民参画の防犯強化など、1年で効果があらわれるものではなく長期的視野に立ち展開していただかなければならないものと考え ています。
 短期施策なのか長期施策なのか、来年度予算、そして改定を検討している新たな基本構想実施計画では、さらに時代を敏感に感じるために区民ニーズに対して職員並びに全庁アンテナをしっかり張っていただいて、区民に希望と安心を与えていただきますようにお願いいたしまして、総括質問を終わらせていただきます。



2007年(19年)白石英行 総括質問 答弁編

■赤字が質問要旨
■黒字が区の答弁

会計方式について伺う。
 決算につきましては、お配りしてございます一般会計や特別会計とは別に、決算統計上、普通会計という概念がございます。これは、全国都道府県、市区町村 同一の基準で比較するためのものでございます。他の自治体との比較等を御説明申し上げます際には、文京区の数値もこの普通会計の数値を使わせていただきたいと存じます。また、実質収支比率等の財政指標につきましても、普通会計、決算統計上の数値を用いて御答弁させていただきます。

協働・協治都市としての重点施策の成果は?
 平成18年度予算より子育て支援を最重点施策として位置づけ、子どもを安心して生み育てることができる環境づくりを地域全体で考え、実践していくために、民生児童委員と協力しての子育てガイドの作成、民間NPOを活用しての放課後オアシス事業運営など、区民等 との協働による子育て支援施策に取り組んでまいりました。
 また、区内の教育文化資源を最大限に活かす文京アカデミー構想をスタートさ せ、区内の大学や民間の文化施設との協働により、高度、専門的な講座や多彩な学習機会の提供など、生涯学習都市文京の実現に向け取り組んでまいりました。 さらに、自主防犯パトロールカーの運行や区民主体によるまちづくりの推進など、すべての区民が快適で生き生きと暮らせるまちづくりに努めてまいりました。

職員の意欲、能力、適性等を最大限に活かした人事異動を実施することを目的に16 年度より実施している、庁内公募制人事制度の成果は?
 18年度の庁内公募制人事につきましては、今年度新たに設置した障害者就労支援センターに 2名を配属し、職員の能力、経験を活かす人事異動を行いました。今後ともこのような職員の希望や意欲を反映した人事異動を実施し、職員の士気の高揚と組織の活性化につながるよう努めてまいります。

職員の自己啓発講座の成果は?
 自己啓発講座は、発想力を鍛える コースなど通信教育コースを26コース、インターネットOA学習コースを21コースなど、時代に即したさまざまなメニューを用意しております。また、18 年度から新たに職員力アップサポートシステムを実施し、自主研究グループや職場単位でのOJTへの支援を開始いたしました。さらに、 首都大学東京のオープンユニバーシティ講座12コースへの助成も新たに行いました。これらの自己啓発講座等への参加を通じまして、職員自らのスキルアップ や意識改革を図ることができたと考えております。
 今後とも職員の自己啓発の支援に努めてまいります。

平成17年度からグループウェアを活用して、職員がいつでも自由に提案できるシステムを構築した、職員提案施策の成果は?
 昨年度は入区2、3年目の職員に提案を呼びかけたことにより、応募件数は平成17年 度の11件から18年度42件へと増加いたしました。
 職員提案制度については、今後も職員への周知に努めるとともに、職員育成の観点 も含め職員研修との連携など制度の充実を図ってまいります。また、優秀な提案については、実現に向けた仕組みを検討してまいりたいと考えております。

区民協働の場へ参加する機会を与える施策の成果は?
 18年度に実施された区の協働事業は97事業、うち18年度に開始されたものは8事業でございます。協働事業の増加により、職員が協働の場へ参加する機会 も着実に増えております。また、これらの機会を実効性あるものとするための研修として、新人職員に対する意義の周知やNPOや大学、企業との協働で行われた環境月間事業の見学、実践に即したNPO講座を実施してまいりました。
 今後も職員の協働に対する意識を高め、実践に結びつけてまいりたいと考えております。

職員 1人当たり区民100人という配置目標の見込みは?
 19年4月1日現在の新行財政改革推進計画における職員数は1,876人、人口が19 万820人となりまして、職員1人当たりの区民は101人となっております。

団塊の世代の退職者数と退職金の推移は?
 19年度が74人で約18億円、20年度が75人で約19億円、 ピークとなります21年度が95人の退職で約25億円と増加してまいります。一方、団塊の世代の大量退職に伴いまして職員の若返りも進みまして、平均年齢 も現在低下傾向に向かっております。長期的には職員給与費を含めた人件費は減少していくものと考えられます。

適正な職員配置と事務量バランスは?
 従来から新規事業の実施または事務量の増に伴います人員の要求に対しまして、既存の組織事業の見直し、それから事務の効率化や内部努力を徹底することによりまして対応してまいりました。今後も同様の考え方で適切な配置に努めてまいりますとともに、職種間のバランスにつきましても、21年度からの行 財政改革推進計画の策定の中で検討してまいります。

大規模改修に係る、区民施設整備基金設置についての考え方は?
 区民施設整備基金については、区有施設の必要な改 築改修等を着実に推進するために、平成16年度末に関係する特定目的基金を再編して創設いたしました。この基金は、新行財政改革推進計画において、すべて の区有施設を現状維持するためにかかる16年度から30年間の費用を推計しており、これを単純平均して年間約45億円を超える費用が最低限必要であると考 えてスタートしております。
 今後の区民施設整備基金については、短期的には耐震補強工事を初め現在検討中の福祉センターや総合体育館 の建設に要する財源として、また中長期的には、シビックセンターを含む区有施設の老朽化に伴う改修等に要する財源として、有効活用していく必要があります。
 こうしたことから、改めてこの基金の最低ラインを検討すべき時期を迎えていると認識しておりまして、新たな実施計画や、区有施設中長期改修計画の改定などにあわせてお示ししていきたいと考えております。

経常収支比率の今後の推移予測と来年度重点施策の考え方は?
 経常収支比率については税制改正に伴う個人住民税のフラット化による特別区民税の減収を含め、減税補てん地方特例交付金の廃止など が見込まれる一方、団塊の世代の職員が退職期を迎えることによる人件費の増嵩のほか、少子高齢社会を迎えることによる扶助費の漸増など、19年度以降については予断を許さないそういう状況にあると考えております。
 こうした状況にあっても、引き続き新行財政改革推進計画の着実な実施によ り健全な財政運営を行うとともに、住民要望、将来展望等を総合的に勘案し、新規事業や継続事業のレベルアップを重点施策の中に位置づけながら、今後取り組んでまいりたいと考えております。

18年度の実質収支額の評価は?
 実質収支については本区の財政規模、補正予算 実績、財政調整基金の必要規模などを総合的に勘案しますと、20億円から25億円の規模となるように目標設定して財政運営を行ってまいりました。ここ数年 は30億円を超える状況が続いてまいりましたが、18年度は25億円台となりようやく目標が達成できたものと評価しております。

自主財源比率の評価は?
 自主財源比率については、18年度の23区平均が42.0%に 対し本区は58.1%、港、渋谷、世田谷に次いで4番目の位置に位置しております。18年度の自主財源比率は前年度よりも4.7ポイント増となりました が、この要因は、特別区民税の増収のほか、(仮称)目白台運動公園の用地取得のための区民施設整備基金からの繰入金や、旧柏総合運動場売却による財産収入 といった単年度の特殊要因等が挙げられます。
 新たな行政サービスを始め、多様な課題にこたえ区民の満足度を高めていくためには、安定 的な財源、とりわけ特別区民税などの自主財源の確保が肝要であり、引き続き税の徴収に努めるとともに、基金の充実と計画的な活用を図り、中長期的な視点に 立ちながら今後の予算編成に取り組んでまいります。

本区の所得層別納税者と税額の傾向についての捉え方は?
 18年度の課税 状況等の調べによりますと、前年に引き続き納税義務者数、税額ともどの所属層においても増加傾向にあります。また、各所得階層の構成比は、納税義務者数、 税額とも大きな変動はなく、全体の7.7%に当たる1,000万円を超える層が税額全体の54%を占める傾向は前年度とほぼ同じ状況でございます。
 次に、今後の動向ですが、19年度は住民税フラット化等によりまして、予算策定時は18年度に比べ約12億円の減収と見積もりましたが、当初課税の状況 を見ますとほぼ同額の減収見込みでございます。
 所得層ごとの納税者数と税額を18年度と19年度の課税状況等の調べで比較いたします と、納税義務者数はいずれの階層でも増加しております。また、フラット化等の影響によりまして、税額については課税標準額200万円以下の所得層で約14 億5,000万円の増収となる一方、1,000万円を超える所得層では約38億8,000万円の減収となっております。

個人都民税の軽減措置の対応は?
 都は都独自の個人住民税の軽減措置につきまして、課税所得金額のみで対象を判定せざるを得ず、預貯金等の 資産を有する者など真に困窮していない者も軽減の対象となってしまうこと、及び低所得者層への支援は税の軽減ではなく歳出によるべきことなどの理由によりまして、実施しないこととしました。
 区としては、もとより税の賦課徴収は地方税法に基づきまして、負担の公平性を踏まえて行うべきと考えておりまして、自治体独自の軽減措置には慎重であるべきと考えております。
 なお、今後とも区にかかわります施策につきましては、 都に対し十分な情報提供と協議を求めてまいります。


指定管理者制度導入による、費用対効果によるサービス展開の推進すべき!
 指定管理者制度の導入時に業務内容を変更したことなどから、導入以前の状況と 比較した費用対効果については、なお一定の検証が必要と考えております。また、サービスの向上についても利用者アンケートを実施したことによるニーズの把握や交流館、児童館における高齢者と子どもたちの交流事業の実施など、一定の成果を上げましたが、さらに改善を進めるための検討が必要と考えております。
 今後は、重点施策に掲げた文京アカデミー構想に係る施設をはじめ、指定管理者制度を導入した施設について、より一層の検証・検討を進めることにより、 サービス内容のさらなる向上や次回の指定管理者の選定につなげてまいりたいと考えております。

17年度、18年度の不用額の数値は?
 17年度決算における主な不用額は、職員給与費2億8,600万円、生活保護法に基づく保護費1億6,200万円、中小企業等融資 あっせん7,300万円、コミュニティ道路の整備6,700万円、公害健康被害補償給付費5,300万円となってございます。これに対し、18年度決算で は、生活保護法に基づく保護費2億5,500万円、職員給与費1億1,100万円、公害健康被害補償給付費6,900万円、文京アカデミー運営補助 6,300万円となってございます。
 生活保護費や中小企業等融資あっせん等、景気の動向の影響を受けやすい事業については不用額は大きく変動しますが、基本的には17年度、18年度間における不用額の発生する項目については大きな変化はございません。

予算を残すのではなく適切な決算見通しに基づき補正予算を組むべき!
委員御指摘のとお り、当初予算を的確に編成し効率的な予算執行を行うことが財政運営の基本であり、その上で適切な決算見通しに基づき補正予算をしっかり行うということがまさに重要であります。
 従来、最終補正では300万円以上の執行残が見込まれる事業費を対象としてきましたが、18年度は決算見通しを さらにきめ細かく行い、執行残のレベルを100万円以上に引き下げました。この結果、18年度の不用額は約17億5,000万円となり、前年度より2億 7,700万円減少したところでございます。
 今後も効率的な予算執行を行うことはもとより、的確な予算編成に努めてまいります。

各部間の連携した横断的な施策展開のための提案が生み出されるような仕組みづくりをすべき!
 ここ数年の人口動態の変化、税制改正や 医療制度改正などこれからの区政を取り巻く環境は大きく変わりつつあり、こうした変化に的確に対応していくためには、引き続き各部において事務事業の見直 しや内部努力の徹底に努めながら、納税者の視点に立って新たな行政需要にも十分こたえ、区民の満足度を高めていくことが肝要であります。
 そのためには、各部間の連携した横断的な施策展開のための提言が生み出されるような仕組みづくりが重要であります。
 これまで以上 に、予算編成会議の場を通じて全庁的な視点での組織横断的な議論を喚起してまいりたいと考えております。

子育て支援施策と出生率の成果は?
 本区におけます年少人口は平成12年度より微増傾向にあるものの、合計特殊出生率は平成16年度では0.81、平成17年度0.79と全国平均より低く、少子化状 況は明らかになっております。
 出生率の変動は多くの要因が考えられますので、その原因を特定することは困難ですが、本区では平成18 年度より子育て支援を重点施策とし、育児と仕事の両立支援、子育ての心理的不安の解消、経済的負担のバックアップの3つの側面から施策を体系的に推進して おり、これらの子育て支援施策は少子化対策としても効果があるものと考えております。

各地区の再開発組合の現状と補助金の考え方は?
後楽2丁目西地区では、既存建築物の除却工事を行っており、若 干の遅れはあるもののおおむね計画どおりに進んでおります。また、茗荷谷駅前地区では、埋蔵文化財調査の発掘作業を完了し、さらに現在継続調査を行っております。
 春日後楽園駅前地区の補助金額についてですが、再開発事業における補助金につきましては、調査設計計画費、土地整備 費、共同施設整備費等を交付対象としております。現在は再開発準備組合により区域内の区道を残した計画案の検討を行っているところでございます。最終的な 計画案が確定した段階で、事業規模及び補助対象部分が特定されますので、補助金額については他地区の状況などを勘案しながら検討してまいります。
 また、各年度の補助金交付につきましては、各地区の事業の進捗状況に十分配慮しながら、補助金が財政に大きな影響を与えないよう対応してまいりたいと考 えております。

ワンルームマンション条例制定を行うべき、また、1996年都市マスタープランを改定して、まちづくりを強化すべき!
 文京区ではワンルームマンション建設については、昭和59年に要綱を制定して事業者を指導してまいりました。また、これまでも必要に応じて改正を行ってまいりましたが、平成16年にはワンルームマンションの紛争の大きな原因となっております管理に関する規定を強化したところでございます。
 しかしながら、ワンルームマンションをめぐる紛争は依然として発生している状況がございます。こうしたことから、これまでも規制のあり方を検討してきたところですが、ワンルームマンション建設に関する区の姿勢をより一層明確にする必要があると判断し、早急に条例化に向け検討していきたいと考えております。
 今後、規定内容を十分精査し、区民意見も聴いた上で今年度中の条例制定を目指したいと考えております。
 また、都市マスタープランについては、策定後11年が経過したことか ら現在、改定を検討しており、新たな基本構想実施計画に盛り込んでいきたいと考えております。

シビックセンターの区民満足度の考え方は?
 平成15年度に来訪者数調査を行ったところ、年間に換算し区役所へは約80万人、大ホールと区民施設へは約100万人、郵便局と テナントへは約70万人で、合計年間約250万人の方が利用されておりました。御指摘の小石川保健サービスセンターの移設と、その後、施設増により現状で はその250万人を超えているものと推計しております。
 また、昨年12月の第20回文京区政に関する世論調査によれば、過去2年ぐらいに本庁の窓口を利用した区民は72.7%で、その方々のうち職員に対し好感を持てた、どちらかと言えば好感が持てた方が合わせて75.8%と回答しております。
 こうした結果から、来訪した8割近くの方々は満足している状況にありますが、今後ともさらに利用しやすく安全で安心なシビックセンターになるよう努めてまいりたいと考えております。

地球温暖化防止のシビックセンターの成果は?
 平成18年度は照明器具を省エネタイプ化いたしました。その決算額は682万5,000円で、今後とも計画的に進めてまいります。
 さらに、冷暖房の温度設定や昼休み、退庁時の一斉消灯など、利用者並びに職員の協力のもと実施し、それらの効果として平成18年度は、温暖化効果ガスを 3.4%削減でき目標の半分を達成しているところでございます。

シビックのエレベーターについて(待ち時間)
 平成7年度と平成16年度に利用調査を実施してございます。低層用、低い方のエレベーターの平均待ち時間が、平成7年度につきましては約31.3秒、16年度におきましては36.3秒。高層用エレベーターの平均待ち時間は、7年度につきましては51.4秒、平成16年度につき ましては52.2秒といずれも同様の結果であり、一定の性能水準に維持されている状況にはございます。

シビックのエレベーターについて(維持経費) 
 エスカレーターを含めた平成18年度の昇降機設備保守委託費は合計で3,729万6,000円であり、ここ数年横ばいの傾向にございます。

シビックのエレベーターのエコ技術導入は?
  なお、エレベーターの職員1人当たりの使用頻度、外来者の使用頻度は調査しておりませんが、その方法、手段も含め今後の検討課題としてまいりたいと存じ ます。
 電気代につきましては、エレベーター個々に積算電力計を設置していないためその費用は算出しておりませんが、シビックセンター 全体の電気料は前年度比較527万円の減、約3.3%の減と年々減少、漸減の傾向にございます。これらは、全庁的な省エネルギー対策の取り組みの成果と考えております。
 また、シビックセンターのエレベーターは、竣工当初から群管理システムによる効率的な運用、運行を行うとともに、災害 時の防災拠点となることから、月2回の定期点検や計画的な部品更新など安全対策にも万全を期しております。
 今後の運行につきまして も、御提案のエレベーターに関する最新のプログラムや技術についての情報収集に努めるとともに、今後とも地球温暖化対策として、テクニカルアドバイザーや 関係部署も含めたシビックセンター省エネプロジェクトチームを中心に、温室効果ガス削減についての継続的な検討と取り組みを職場を挙げて進めてまいりたいと存じます。