2009年(21年)第3回 定例会 代表質問 白石英行 全文

2009年(21年)第3回 定例会  

 自由民主党文京区議団を代表して、成澤区長、根岸教育長に質問させていただきます。私の質問項目は、今回の衆議院議員選挙の結果を受けての区長の認識について、経常経費を中心とした20年度決算について、現在策定中の「基本構想」について、地域活動センターの見直しについて、アカデミーのあり方について、福祉センターの改築と旧5中の今後の活用について、図書館の指定管理者化について、の大きく括(くく)って7点であります。

 最初に、総選挙の結果について、であります。これは国政にかかわることですが、地方自治体である、文京区にも、今後いろいろな点で、少なからず影響が出てくるのは明らかでありますので、触れないわけにはいきません。
 今回の総選挙は、「政権選択」を焦点に争われ、ご存じのような結果となりました。国政においては、来年の予算編成や地方分権などの内政においても、外交においても、大きな変化が生じてくるものと予測されます。場合によっては、政党の在り方そのものも問われてくる可能性をはらんでおり、われわれ地方議会の議員としても、その成り行きを大きな関心を持って注視しているところです。
 今回の総選挙は、二つの大きな考え方がぶつかり合ったものと、私自身はとらえているところです。ひとつは、現在の国のおかれている状況、すなわち昨年来の大きな景気低迷から立ち直り、雇用、消費を回復させるためには、まずは景気浮揚策を優先させながら、小泉構造改革の良い面は評価しつつも、行き過ぎた規制緩和や過当競争により生じてしまった不平等を是正していこうとする立場。すなわち、短期的には公共投資やエコ対策を中心に財政出動を集中的に行い、中期的には、消費税の見直しなどにより社会保障財源を安定的に確保して、国民生活を安定させるという考えであります。
 もう一つは、小泉構造改革によって社会的不平等が増大し、なおかつ、年金、医療などの社会保障制度の行きづまりが国民を不安にさせ、消費を抑制させたところに、今回の急速な景気悪化が重なっているのだから、まずは、この国民の不安を解消するのが最優先とする立場。すなわち、高齢者医療制度や年金制度などの社会保障施策の抜本的見直しや子育て支援策を中心に国民への生活支援を充実させて、まずは国民生活を安定させ、将来の不安感を取り除くことが、中期的には景気を浮揚させていくという考え、そのための当面の財源はどうにか捻出できる、という考えであります。
 しかしながら、この二つの立場は、私から見ると、対立するものというよりは、同じコインの裏表であるように思います。
 すなわち、景気浮揚がなくて、雇用も消費も回復しないのは、明らかでありますし、国民生活の安定と将来への不安感が解消されなければ、消費が回復し景気が回復しないのも明らかであります。
 国民が結果として選択したのがどちらであったかは、選挙の結果が示しているところでありますが、区民福祉を預かるわれわれ区の立場として、福祉の在り方という観点から、このことを改めて考えてみる価値はあると思います。
 麻生さんは、テレビのインタビューで「中福祉中負担が国の目標」といっていました。北欧のような「高福祉高負担」でもなく、アメリカのように「低福祉低負担」でもなく、「中福祉中負担」が日本のサイズにあった目標というようなことを言っていました。
 すなわち、北欧諸国のように天然ガスなどの資源を持ち、人口1000万にも満たない国々と比べ、1億2000万の人口をかかえ、資源を持たない狭い国土、世界一のスピードで進む少子高齢化など、これら、日本の置かれた状況から見れば、いたずらに夢を描いたり、目先の安心を求めるよりも、厳しい現実を受けとめたうえで、国民同士が相応の負担をし合う、麻生さんの言う「中福祉中負担の国」が日本の現実的な選択肢であると、私自身も考えています。この点について、地方自治体の長として、区民福祉の最前線を担う区長として、お考えがあったらお聞かせください。

 では、本題に入らせていただきます。
 国民生活を安定させるのは、当然のように、安定的で持続的な社会保障政策です。医療にしても福祉にしても、制度設計を行うのは国でありますが、それを実行するのは、一定の財源負担も含め区などの自治体であります。
 国のレヴェルでは、毎年20兆円を超える社会保障関係の経費を含めた経常経費を赤字国債の発行で補てんしているのが実態ですが、区においては当然そんなことはできません。社会保障にかかる経常経費の区負担分が、財政調整基金をつぎ込まずに毎年確実に一般財源で賄われるのがベターですが、この点はどうなのか、今後の見通しを含めて、現行制度を前提とした上でけっこうですので、お伺いしたいと思います。
 次に財源の見通しについてです。区の一般財源の7割近くは、区税収入と都からの財政調整交付金で占められています。昨年に始まる景気悪化が区民所得へのマイナス影響をへて、区税収入に反映されるのは、来年度からです。区税収入について、20年度の決算状況では対前年度比で2.1パーセントの増となっていますが、来年度の見通しについて現時点でどの程度の予測をしているのか、お聞かせください。また、都区財政調整交付金について、目白台運動公園分などの特別な要素を除いた、経常経費に相当する分が、20年度決算ベースでどうなっているのか、また、今後の見通しについてもお聞かせください。
 次に、やはり、経常経費の中で一定の割合を占めている人件費についてお伺いします。
 20年度の決算によれば、退職手当を含む人件費総体では、対前年度比2.0パーセントの減とはなっていますが、人件費の構成比は、28.7パーセントと、23区中最も高い水準となっています。本区においては、比較的規模が小さいために規模のメリットが出にくいことや、保育園や育成室などの人件費割合が高いことなどから、他区と比較すると不利なところはありますが、やはり、区民から見た場合、行革による人件費割合を低める努力は怠ってはならないと思います。今回の行革で、図書館の指定管理者化が予定されていますが、これが実施された場合、人件費割合はどの程度低下するのか、おおよそでいいのでお聞かせください。
 国の動きが今後どうなるにせよ、医療や福祉に関する制度設計の見直しがどう行われるにせよ、国のように赤字国債を発行することができない区としては、経常経費を経常収入で賄うということを基本的に守りながら、着実に行革を含めた努力を重ねていくことが重要だと考えますが、区長の認識をお聞かせください。

 次に、基本構想についてお伺いします。
 今回の基本構想の特徴は、一言で言って「区民とともに作る基本構想」なのかなという印象を持っています。前回の基本構想は、平成13年度に、団体代表区民や公募区民のほか、議員も加わる形で、学識経験者の仕切りの下、集中的な議論を行い、策定されたものです。
 その後、平成16年12月に「自治基本条例」が制定され、区と区民の関係、区民参画と協働することの意義などが明記されました。区と区民が主体的に協力し合うこと、という点では、まさに今回の「基本構想のアプローチは」、自治基本条例にのっとった実践というふうには思います。
 しかも、今回のアプローチの特徴は、無策抽出による区民委員の選出ということだと思います。この方法は、いわゆる「サイレントマジョリティ」といわれる、「自分から余計な口は出さないが、ふだんから区政を見守っていて、機会があれば意見を述べたいという」区民、いわば「コモン・センス」を代弁できる区民に参画を求めるものであったと思います。
 現在、この夏の期間中、各分野別に分科会が開かれ、精力的に議論が行われていると聞いています。今述べたように無策抽出という今までにない方法で選出された区民委員の方の参加により、議論がどう変わったのか、どのような効果があったのか、現時点での評価で結構ですので、お伺いしたいと思います。
 また、今後、ワーキングやシンポジウムが計画されていますが、そこでの区民参画をどのような形で行っていくのかもお伺いします。
 いずれにせよ、多様な区民の意見を多様な形で吸い上げ、区民とともに区長が「基本構想」を作っていくという区長の姿勢を、基本的には評価したいと思います。しかしながら、基本構想を承認し、議決するのはあくまでも議会であります。議会と区長とは、地方自治における「車の両輪」でもあります。われわれとしても、議会審議を通して、「基本構想」の策定過程でも建設的な意見を述べてまいりたいと考えていますので、よろしくお願いします。

 次に、地域活動センターの件について、お伺いします。
 今回の行革において、地域活動センターの見直しの方向性が示され、来年4月からのスタートに向けて、現在検討が進められていると思います。
 今回の見直しの中で、区民サービスコーナーが移設されてくるほかに、どのような業務の拡大が検討されているのか、まずはお伺いしたいと思います。
 さらに、各地域活動センターに併設されている交流館がどのような位置付けになるのかもお伺いします。
 また、これはまた一つの問題でありますが、毎年3月から4月の引っ越しシーズンになると、学生さんや新入社員などを含めて、このシビックセンターの戸籍住民課の窓口は、転出入の手続きに訪れる区民であふれかえります。人によっては1時間から2時間も待たされるという声をよく聞きます。土日の臨時対応などで努力されているのはわかりますが、これを何とかできないものかとも考えます。家族全体の転出入ならば、住民票関係の手続きに加え、国保や医療、介護保険、子供がいれば修学関係の手続きと、それらをすべてやれるシビックセンターが便利ですが、単身の学生などの、転出入だけの手続きで済むという方が一定数含まれているのであれば、この転出入の手続きを、地域活動センターでもできると大変便利になると同時に、シビックでの混雑もある程度は緩和されるのではないでしょうか。すべての地域活動センターでやる必要はないと思いますが、この点について、何らかの対応策をお考えか、区長の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 しかしながら、今述べたようなことのほかに、今回の見直しの中で、一番重要なことは、地域活動センターが、地域にとって、本来の役割である、「なくてはならない活動の拠点」「地域コミュニティーの拠点」となるように、実質的な機能を果たせるようになる仕組みを作り上げることかと思っています。単なる町会や地区対の事務所的な役割や併設交流館の貸出という、受身の仕事に甘んじるのではなく、地域とともに、地域を運営していくような仕組みをつくっていくことが何よりも重要ではないか、と考えています。
 かつていくつかの区や市で住区協議会というようなものがありました。これは、今から見れば、区民参画や協働協治の先鞭であるとも言えますが、その後の推移を見る限り、特定のエリアの街づくりとか公園づくりというように具体的な目的を兼ねた協議会が、一定の役割を果たせたのに対し、具体的な目的を持たない協議会は、不成功に終わるか、必ずしもうまくいかなかったのが現実ではなかったかと認識しています。すなわち、自分たちの意見がどのように反映されるのか、意思決定権限がどこにあるのか明確でない場合には、住民の側にストレスがたまってしまい、かえって行政への信頼を失わせる結果になってしまう一方、逆に、たとえば予算を一定額、住区協議会に与えてしまうというようなことをすれば、うまくいけば、地域の活性化を促すことになるものの、地域内部での新たな利害対立を生みだし、かえって新たな負荷を地域住民にかけてしまうという問題が生じるというように、結果として様々の問題を残してしまったケースが多かったのではないかと思います。
 このような経緯を踏まえると、「柔らかな協働」こそが、現実的なのかなと、私自身は考えています。すなわち、地域との関係を円滑にし、かつ地域のさまざまな団体や区民との持続的な信頼関係を構築するためには、お互いを拘束しあわないような協力関係が、一番現実的なのかなと考えているところです。この点につて、新しい地域活動センターでは、地域に対して、どのような関係を構築しようと考えているのか、また、具体的な仕組みの導入を検討しているのかも含めて、お伺いしたいと思います。
また、地域との関係を再構築するためには、それなりの人材が配置されることが望ましいと思います。現在の人員体制は、所長1人に非常勤1.5人という体制です。これでは、あまりにも少なすぎます。業務の拡充があることを前提にすれば、当然、一定の人員体制が必要であると思いますが、どの程度の人員体制を考えているのかお聞かせください。さらに、いま述べたような地域との関係を考えるならば、所長の役割はそれなりに重いものと言えます。さまざまな区民の相談に応じるとともに、地域団体との関係を主体的に仕切っていくには、ある程度の経験を踏んだ人材の活用が適切であると考えます。この点についてもお伺いしたいと思います。

 次に、旧5中の今後の活用と福祉センターの問題について、お伺いします。
 この9月に、旧5中の校舎を使っていた音羽中学が新校舎に引っ越しをします。旧5中の建物はしばらく空くことになります。校舎部分については、福祉センターの建て替え地として検討が進められていますが、建設に着手するにはなお時間がかかるようであります。この点については、あとで要望することにして、まずは、それまでの校舎の活用についてお伺いしたいと思います。元町小学校の校舎を、6年間順天堂に貸すことが決まり、一定の耐震対応をしながら、区に相応の使用料が入ることになります。旧5中の場合は、耐震上の課題を抱えていることに加え、今言ったように福祉センターの改築を控えていることから、元町のようなわけにはいかないと思いますが、空の状態にしておくにはもったいないと思います。2,3年の短期間ではありますが、この校舎の活用について、予定しているものがあれば、お答えください。
 一方、旧5中の体育館については、別であります。第2回定例会で、区長は、わが会派の武澤議員の質問に対して、広く地域の区民が利用できる施設として整備していきたいと、お答えになりました。この体育館は、学校の体育館としてはかなりりっぱで、独立した柔道場、剣道場、会議室等を備えているうえ、築年数からいっても今後ある程度長期にわたっての使用に十分耐えうる体育館だと思います。さらに、この体育館が、区民体育館としてリニューアルされるならば、スポーツセンターや現在改築準備に入っている総合体育館と比較して、地域バランスからも、とてもいいことではないかと考えています。そこでお伺いしますが、今後この体育館を、比較的長期にわたって、区民体育館としてリニューアルしていく際の課題は何か、お伺いしたいと思います。そして、あらたに何らかの機能なり設備の追加を考えていることがあればお聞かせください。また、生徒が夏の間使用していた屋上プールをどうするのかも、お考えがあればお聞かせください。さらに、旧5中体育館は、地域の団体が、夜間を中心に頻繁に活用していたと聞いています。このような地域の団体に対して、どのように対応しているのかについても、お伺いしたいと思います。

ところで、福祉センターについては、教育センターのあり方も含めて、今までにいろいろな検討や議論がさまざまなレヴェルで行われてきました。両施設の建て替えは、いずれも、何十年に一度という大きなプロジェクトです。したがって、その建て替えの検討に慎重を期すのは、区の姿勢として基本的には理解はできます。しかしながら、時間をかけることで良い結果が出るならばともかく、時間をかけすぎることがかえって区民や利用者からの信頼にひびをいれることになるとすれば、区にとってマイナスです。「善は急げ」とは申しませんが、「急がば回れ」とばかり回ってばかりいるうちに、本当に目が回ってしまわないように気をつけていただきたいと思います。お答えはいりません。両センターの早急なアプローチについて、要望だけしておきたいと思います。

 次に、アカデミー構想に基づく、文化、スポーツ、生涯学習などの今後のあり方について、お伺いします。
区では、本年度から、新たな推進体制としてアカデミー推進部を設置し、文化行政を始め、観光・国際交流などの一層の推進に取り組まれており、この点については高く評価し、また期待するものです。そこで、今後の新たな展望について、区長のお考えをお聞きしたいと思います。
 はじめに、区では、現在の生涯学習推進計画とアカデミー構想を再構築し、新たな計画の策定に着手するものとし、同時に会議体のあり方についても検討することとしていますが、これらの進捗状況についてお伺いします。
 また、シビックセンター1階に、待望の観光インフォメーションが開設されましたが、今般策定された観光ビジョンで示された方向性と併せ、どのような観光施策の展開を想定しているのかお聞かせください。
 次に、シビックホールについては、まもなく10周年を迎え、先日は2代目の名誉館長に歌舞伎の中村勘三郎氏が就任されるなど、まさに本区の文化拠点として、さらに充実していくものと期待しているところです。シビックホールを運営する財団法人文京アカデミーについては、昨年の指定管理者評価の結果を受けて、今年から2年という限定された期間での指定管理者としてスタートをしました。公益法人改革への対応と併せ、区において、文京アカデミーの今後のあり方について検討されることになっておりますが、現在の検討状況をお尋ねします。

 次に図書館についてお伺いします。
 図書館については、これも今回の行革で「指定管理者化」の方向性が示され、先の第2回定例会において、指定管理に関する条例が成立したところです。これを受けて、現在、来年度から実施するための具体的な準備に入っていると思いますが、何点かお伺いしたいと思います。
 まず、今回指定管理の対象となる図書館は、真砂中央図書館を除く10か所の図書館ないしは図書室ですが、これらを一括して来年度から指定管理者による委託化を行うのかお伺いしたいと思います。分割しての委託化により、開館時間や休館日などを含めたサービス内容が地域ごとに異なるようになってしまうと、不合理と考えますが、いかがでしょうか。
 また、今述べましたが、開館時間の拡大や休館日の減少などの区民サービスの拡充についてお伺いします。これも、さきの第2回定例会で、ゴールデンウイーク期間中ほとんど休館していた本区の図書館の例をひいて武澤議員が触れたところでありますが、休日や夜の過ごし方など、区民生活がこれだけ多様化している中で、本区の図書館のサービス時間や休館日が長い間変わっていないというのも時代遅れの感が否めません。今回の指定管理者化によって、この開館時間と休館日はどう変わっていくのか、お伺いしたいと思います。

 次に経費面の問題です。指定管理者制度の導入が、公の施設の運営が原則直営とされてきたことによる非効率な運営を是正するという趣旨からアプローチされたということからも、その制度設計の上で経費の効率化の側面を含んでいることは当然のことであります。しかしながら、指定管理者制度の問題点も、同時に、この経費の効率化という側面から表面化してきたのも、ここ数年に全国で起きた実態からみて、明らかであります。すなわち、人件費が大半を占めているような業務の指定管理委託料の削減をやりすぎると、それに比例してサービスが低下してしまうか、あるいは従事者の確保ができなくなった事業者が撤退せざるをえなくなるという現象が起きたわけであります。
 図書館の運営経費も、その大半は人件費によって占められていると思います。したがって、指定管理者に運営を委託したからといって、経費の削減が図られるとストレ−トに考えてしまうのは正しくないと思います。むしろ、経費削減が目的というより、区民サービスの向上が目的であると考えるべきです。「より多くのサービスを、より低い経費で」というのが行革の第一の目標ではありますが、「同等のサービスが提供できるのであれば、より低い経費で」、あるいは「同等の経費で提供できるサービスであるならば、より多くのサービスを」というのもまた、行革の考え方に含まれるものであると思います。今回の図書館の指定管理者化によって、このような経費面での予測をどの程度行っているのか、現時点での考え方でけっこうですのでお聞かせください。

 最後になりますが、今回の総選挙により、国レヴェルでは政権交代を含め、大きな変化が起きることが想定されます。(あるいは質問日の9月9日時点で政権交代がすでに起きているか? 選挙後30日以内の国会召集が憲法上のルールだから、9月9日までに国会召集される可能性は低い)地方自治体である本区にもいろいろな面で少なからず影響がでてくるものと考えられます。しかしながら、区民福祉を向上させ、区民生活を守るのが自治体の首長である区長の第一の責務であると同時に、われわれ自治体議員の責務であると考えています。今後、国政の場で何が起ころうとも、今申し上げたことに意を尽くすことをお約束して、質問を終わりたいと思います。ご静聴ありがとうございました。



2009年(21年)第3回定例会 

       白石英行 代表質問 答弁編

■赤字が質問要旨
■黒字が区の答弁

総選挙の結果を受けての認識について問う!
 政権交代が行われ、子育て施策や高齢者施策に係る制度の大きな見直しがあった場合には、福祉施策を中心に、様々な影響がでてくるものと認識しており、今後の国政の動きを注意深く見守っていきたいと考えております。
 また、「中福祉中負担」が妥当かどうかという点については、年金・医療・介護などの社会保障制度を含む国家のグランドデザインに関わる問題であり、議員ご指摘のとおり、厳しい現実を受けとめた上で、受益と負担の関係を含めた議論が国会の場で交わされるべきものと考えております。

社会保障にかかる経常経費の財源はどこに?
 ご指摘のように、社会保障を含め区の経常的な経費は、行財政改革を進めることにより、基金の取り崩しに頼ることなく運営することが原則であると考えております。
 しかしながら、経済事情の著しい変動等により財源に不足を生じた場合においては、財政調整基金を活用することも必要です。
 今後の歳入見通しは厳しいものになると認識しておりますが、不断の事務事業の見直しによる歳出削減の努力や、歳入の状況等を勘案した上で、どの程度財政調整基金を取り崩していくのかについて、具体的な判断を行ってまいります。

来年度の区税収入の見通し分析は?
 現時点で来年度の区税収入を見通すことは困難ですが、平成21年所得の対前年比での減少傾向を踏まえると、厳しいものになると認識しております。

都区財政調整交付金の行方はいかがか?
 平成20年度における、都区財政調整交付金の普通交付金の決算額は198億円でございました。このうち、目白台運動公園などに係る財源措置として23億円が基準財政需要額に上乗せされております。また、税源移譲に伴う特別区民税減収分30億円が基準財政収入額から差し引かれております。
 したがいまして、このような特別な要素を除いた経常経費に相当する分は、145億円となります。
 また、今後の見通しについてですが、去る8月7日に算定された21年度の普通交付金の額は189億円でございました。このうち、特別な要素を除いた経常経費に相当する分は、133億円で、対前年比マイナス8.3%、12億円の減となりました。これは、都区財政調整交付金の原資である市町村民税法人分が景気低迷のために減収となったことが主な原因であります。
 現在の経済状況から、法人税のさらなる下落も懸念され、今後の見通しは非常に厳しいものと考えております。

図書館管理者化によって経常収支比率における職員給はどうか?
 平成20年度決算ベースの職員給20.8%が、20.1%となり、0.7ポイントの低下を見込んでおります。

経常経費と経常収入を見て、行革を進めるべきだ!
 限られた財源の中で、高齢者施策や子育て支援施策をはじめとした課題に取り組むとともに、時代の流れや区民のニーズに的確に応えていくためには、簡素で効率的な区政運営に努めることが必要であると考え、「第3次行財政改革推進計画」を策定いたしました。
 今後においても、ご指摘のように、経常経費を経常収入で賄うことを基本に効率的な行財政運営を積極的に進めてまいります。

「基本構想」での無作為抽出の区民委員の参加による効果と評価はいかがか?
 分科会などの場を通じて、無作為抽出委員の参加により、素朴な疑問や生活実感を伴った意見など、今まで区政への参加機会がなく「声なき声」となっていた多くの意見を吸い上げることができ、団体推薦委員、参画職員とともに多面的な議論が活発に行われていると考えております。

「基本構想」でのワークショップやシンポジウムでの区民参画についての現況は?
 ワークショップについては、4つの分野ごとに、また4か所の地域で開催いたしますが、これに先立ちシンポジウムにつきましても、シビックホールの小ホールで開催いたします。
 これらの実施にあたっては、区報等により当日参加を含めて、広く区民に参加を呼びかけ、開かれた雰囲気の中で、基本構想策定協議会及び分科会で検討してまいりました「新たなる基本構想骨子」をもとに、より議論しやすい工夫も取り入れ、活発に議論していただきたいと考えております。

地域活動センターの見直しにおける、業務の拡大は何を目的にするか?
 新たな地域活動センターは、地域活動団体の活動拠点としての機能を維持・強化するとともに、広く区民が身近に利用できる施設とするために、地域に密着した区民サービスを提供してまいりたいと考えております。
 具体的には、住民票等の発行を行う区民サービスコーナーなどを設置するとともに、汐見・駒込地域活動センターには、「ふれあいサロン」を開設し、それ以外の地域活動センターには立ち寄りスペースを設けるなど、施設環境に応じて事業展開を図っていくことを考えております。
 また、安全・安心まちづくりや路上喫煙対策、リサイクル推進、高齢者福祉等の事業を本庁との役割分担のもと、実施してまいりたいと考えております。

併設の交流館はどのような位置づけはいかがか?
 併設の交流館については、地域活動センターの会議室として位置づけ、現行どおりの利用時間や使用料などを基本的には継承し、地域活動団体や一般区民等に引き続き貸し出しする方向で検討しております。

地域活動センターでの転出入の手続きを行えるようにしべき!
 転出入手続きの混雑緩和と区民の利便性の向上は、区政の重要課題のひとつと考えております。
 しかしながら、地域活動センターにおいて転出入事務を行うためには、施設整備や情報機器等の設置、職員の配置等の課題があるため、当面は、シビックセンター戸籍住民課における窓口の夜間延長及び日曜開庁の拡大により、区民サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。

地域活動センターは地域との関係構築や具体的な仕事をすべき!
 地域活動センターは、町会や青少年対策地区委員会等の地域活動団体の拠点施設として、地域コミュニティの推進のために一定の役割を担ってまいりました。
 新たな地域活動センターにおきましては、さらに一般区民により身近に利用され、地域コミュニティの核となる施設のあり方を検討しております。
 具体的には、区民参画や協働・協治による地域の活性化を推進するため、地域の住民や団体等の参画による運営協議会の運営について検討しているところであります。

地域活動センターの人員体制と人材の活用の考え方は?
 開館時間の拡大及び事業の拡充に伴う必要な人員配置につきましては、現在、検討中でございます。
 また、新たな地域活動センターの所長には、多様化した地域の様々な課題に的確に対応するとともに、地域における区民参画と協働を推進する重要な役割を担うものと認識しておりますので、十分配慮してまいりたいと考えております。

新たな歳入として、旧第五中学校を今後の2〜3年間校舎を貸し出す事を提案する!
 旧第五中学校に比較的近い場所にある「こひなた保育園」及び「水道保育園」については、耐震補強が必要であることから、補強工事期間中の仮園舎を校舎または運動場に設置する方向で、現在検討を進めているところでございます。
 一方、国立大学法人筑波大学より、大塚地区校舎の全面改築に伴う仮校舎として、校舎を借用したい旨の申し入れがあったため、貸付可能な面積を当大学へ貸し付ける方向で調整を進めたいと考えております。

旧5中の体育館は、防災拠点と健康施設として早急に整備すべき!
 今後、比較的長期にわたって、区民体育館としてリニューアルしていく際には、耐震補強工事が必要となる点が第一の課題であると認識しております。
 また、新たな機能や設備の追加の考え方については、今後、区民施設として開放していくために、新たに空調設備を設置することや、障害者や高齢者の方々が利用しやすいよう、エレベーターやだれでもトイレを設置するなど、建物全体のバリアフリー化について検討することが必要であると考えております。

 また、屋上プールの活用方法については、引き続きプールとして利用していくのか、またはプール以外の利用方法を検討していくのか等の選択肢について、構造上の問題や改修経費等を考慮しながら、検討してまいりたいと考えております。
 なお、地域の団体への対応については、現在の利用団体に意向をお伺いしたところ、すべての団体が、音羽中学校の新体育館等を利用したいとのことでしたので、その方向で調整を進めてまいります。

生涯学習推進計画とアカデミー構想を再構築すべき!
 新たな計画である「アカデミー推進計画」については、文京区アカデミー推進計画策定協議会を設置し、策定段階からさまざまな立場の区民や区内大学、関係団体などとの協働を図りながら、計画の策定に着手してまいります。
 また、会議体のあり方については、本計画を策定する過程の中で、今後の推進体制の検討を進めてまいりたいと考えております。

観光ビジョンの方向性を踏まえた観光施策の展開は?
 観光ビジョンに基づく施策の展開につきましては、これから策定する「アカデミー推進計画」の中で具体的な施策を検討してまいります。
 その中で「まちあるきルートの開発」や「効果的な情報発信」など、区民と来訪者の双方にとって魅力的で、次の時代への希望を抱かせるような取組みを進めていきたいと考えております。

財団法人文京アカデミーの今後のあり方を問う!
 財団法人文京アカデミーでは、公益法人制度改革に伴い、現在、法人の目指す方向性について、検討を行っていると聞いております。
 区としては、こうした財団の検討状況を勘案しながら、区の考える望ましいあり方について、現在、所管部を中心に課題の整理を行っており、いずれお示しする必要があると考えております。