2010年(22年)第3回 定例会 代表質問 白石英行 全文

2010年(22年)第3回 定例会  

 自由民主党文京区議団幹事長の白石 英行です。昨年もこの時期、
熱い夏と共に国政選挙の結果も踏まえて質問させて頂きました。本年も国政選挙がありました。今回の結果は、国民が期待している舵取りができるのか?できないのか?という不安が大きくつのったものと考えています。(今回は区長のお考えは尋ねず、質問入らさせて頂きます。)
 今回私は、最初に自治基本条例に則り、区民と共に「ふるさと文京」の発展をお約束させて頂き、会派を代表して、大きく括って12点、「新たな公共」の推進、実施三カ年計画、高齢者の所在不明問題、児童虐待防止、地域コミュニティ、子育て支援、国有地・都有地の活用、区有施設建て替え方針、特養老人ホーム、防犯、認定こども園と学校のあり方を成澤区長、根岸教育長に質問させていただきますので、御答弁の程よろしく御願い致します。

 初めに「新たな公共の推進」についてです
 前煙山区長が策定した文京区基本構想「文の京の明日をつくる」が10年を経過するのを期に、成澤区長は自らが会長を務め、文京区は「開かれた区役所」から「協働協治」へ、そしてこの度「新たな公共」と時代の変化を捉えつつ、区民参画を展開されてきた事は評価致します。内閣府でも「新しい公共」円卓会議を実施し、日本社会の目指す方向性やそれを実現させる制度・政策のあり方など議論されています。そこには、「支え合いと活気のある」社会が出現すれば、ソーシャルキャピタルの高い、つまり、相互信頼が高く、社会コストが低い、そして、住民の幸せ度が高い、コミュニティが形成され、新しい発想による社会のイノベーションが起こり、「新しい成長」が可能となるであろうと述べられています。私は、文京区議会前定例会で本構想条例に賛成させて頂いた時に、グローバル経済システム下にある成熟された日本社会は、あえて高度成長期時代の経験を官民共に学び、メリット・デメリットを分析して進むべきものと考えていました。おりしも、政府が同じ考えの下、進める事は本区の基本構想の推進に大きく拍車をかけるものと思っています。しかしながら、新しい公共の宣言文には、「必要である」「望ましい」などの抽象的表現に留まっており、制度化等に向けた政府の対応では、未だ協議が進められている状況であります。
 一方で政府は、地域主権戦略大綱を閣議決定し、義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大により、これまで国が決定し地方公共団体に義務付けてきた基準、施策等を、「地方公共団体」が条例の制定等により、自ら決定し、実施するように改め、地域主権改革の趣旨を踏まえ、今まで以上に地域住民のニーズの把握に努め、自らの判断と責任により、地域の実情に合った基準の設定や、適切な施策等を講じなければならないとされました。第3次勧告の実現に向けて引き続き検討が行われつつ、第3次勧告で示された見直し対象のうち、308 項目、528 条項が平成23年の通常国会に提出されるという作業が進んでいます。
 私は、当然ながら区民に最も身近な自治体だからこそできる地域力、文京らしさが今ここに発揮できる時代になったと思っています。最初に述べたように文京区は区民ニーズを捉えながら本基本構想に到達してきたわけです。地域活動センターの活性化政策も最近の政策展開での一つに当たりましょう。ですから、文京区らしさは「ゼロ」からのスタートではなく、積み重ねられた土壌があるわけです。そこで、お尋ね致しますが、区長はこの「新たな公共」を全力で取り組んでいくと冒頭の前書きで述べられております。本区らしい推進をしていく具体策についてどのようにお考えでしょうか。この推進は、後に質問させて頂きます、個々の課題にも全て関わってきます、全力で取り組んでいく責務を考え、初めにお伺い致します。

 本構想 10年後の将来像を具体的に進めていく上で、3カ年の実施計画が現在、構築されている事と思います。今までの議論の中にも、予算がリンクしないと目的と成果が把握できないとの意見もありましたが、財源は民間同様、限られたものではなく、変化をしていくものですから、中長期的な視野を保ちつつ、構築されることが大事です。そこで次に、この三年間の実施計画をどのようにお考えかをお伺い致します。

 21年度決算では、人口の増加や景気の回復も相まって特別区民税の2.6% 7.6億円増、各種交付金や財政調整交付金の減となりましたが、歳入総額4.9% 36.8億円の増となりました。歳出総額は扶助費の8.4%7.3億円の増や投資的経費 音羽中学校整備・保育園耐震など49.9% 27.8億円増となっています。ここで注目しておきたいのは、私が議員になった1999年以降の本区の財政運営です。景気の回復の不透明な中、基金の繰り出しを行い、基金全体で170億円、内、財政調整基金では50億円を切るところまで財政運営が厳しくなり、行革を区民の理解を得ながら進め、基金も450億円に回復してきた経緯があります。今回の投資的経費を見ても財源の構成比は11.4%で特別区の15.1%を下回っているものの、この10年の地方自治体の運営がどれだけ厳しかったのか感じるところですが、本区においては、区民待望の湯島の総合体育館・福祉センター・地域活動センターなど公共施設の建て替えは続きます。
 しかし、本決算では21年後半に起こった米国発金融不安 リーマンショックによる景気の急激な減速の影響は受けず、23年度予算以降に影響されてきます。日本経済はその後、2009年4〜6月期に実質GDPがようやく前期比プラスに転じ、リーマンショック以前から続いていたマイナス成長から実に、四半期ぶりに回復し、底打ちは確認できたものの、まだ政策頼みの要素は大きく、自律的回復には程遠く、円高・株安が現在も続いています。
 この厳しい状況の下、実施三カ年をどのような考え方で、予算編成をしていくお考えかお伺い致します。
 併せて、第3次行財政改革は平成23年度末までとなっておりますが、シビックセンター低層階の有効活用や図書館運営の見直しを行いおおよそ、達成されつつあると思いますが、職員数を23区平均値に目指す為の職員適正化の状況と今後の考え方、そして、今後、建て替えが続く中で、造られた物を維持していくには、大規模修繕が必要になっていきます。シビックセンターを初めとして修繕積立金を基金として構築していく必要があると考えますが、お考えをお伺い致します。

次に高齢者の所在不明についてお尋ね致します
 暑い日が続いた8月、様々な事件が起こりました。その一つに、高齢者の所在不明問題があり、国民に大きな波紋を与えました。残念な事に、生と死が本籍と現住所で一元管理されていると思われていましたが、住所は、行政への申告制度であるが故に、その実態を掴むことができなくなってきていました。私は2年前の委員会で、都市の限界集落 新宿区の戸山団地の例をとり、この65歳以上のエリア住民が半数を超した時の課題や孤独死されてしまった実態から、学び行動を起こさなければ、本区でも報道されない実態がある事を指摘させていただきました。
 今回の東京都の最高齢男性がすでに30年以上前に死亡していた事件を契機に本区も調査され、1名の方が行方不明になっており、また、大田区へ転出された方の事件も、前住所は文京区であったとマスコミ報道されております。
 この課題を克服するためには、本区だけの課題ではなく、世界の高齢化の最先端をいく長寿国・日本における“高齢者の社会的孤立”という重大な課題ととらえています。
 しかし、この解決に向けて行うステップは、小さなガバナンスを持った本区の「文京らしさ」で解決できると感じています。
 家族のあり方は、大きく変わりつつあります。
 祖父母とその子ども世帯が同居する3世代家族も珍しくなかった時代は、介護や育児など家族が有するインフォーマルな機能が大きく役割を果たしていました。それから、核家族が標準世帯となり、2020年には全都道府県で単身世帯がもっとも多い世帯類型になると推計される時代に突入しております。
 やはり、本格的に訪れる「ひとり社会」を支える社会制度を世帯単位から個人単位へも変えていくことが必要になってきている現状。そして、プライバシー重視を志向するライフスタイルが定着し、IT化により人同士のパーソナルネットワークは発展している反面、そこからこぼれた人の孤立が深まり、コミュニティ機能が衰退している現状を再認識しなければなりません。本区でも若年世代の転入転出が多く行われている一方で、町会活動や各種団体の高齢化の課題をみてもその渦にあることが伺えます。まずはこの現状を確認できるシステムが庁内にあるのでしょうか。
 区民目線で考え、どのように安心を提供できるか、庁内整理と協力体制が必要です。各部署、様々な区民と情報交換をされていますが、その整理が個人情報保護法で制約がされ、バラバラになっている事と思います。戸籍住民課が持っている情報と国保年金課が持つ情報をはじめ、介護保険課では申請主義ですので申請がなければ情報はなく、高齢者福祉課では社会福祉の増進に努めることを任務として民生委員が置かれていますがそれらの情報と、防災課が災害に備えて、町会に依頼している災害時要援護者とのリンク等、連携はどうでしょうか。というようにそれぞれの政策で把握していても、そこを「トータルで把握する」ことが行われていないことを区民は知りません。
また、大阪で228人もの幕末生まれも戸籍上存在するという、報道は国民から見れば、怠慢なデータ管理としか語られていません。的確なサービス提供や管理が安心につながるのですから、これらの情報を本区の英知をもって把握し、掴んでいただきたいと考えますがお考えをお伺い致します。また、併せて今まで、敬老金を住民票の所在地で親族にお渡する時に、生存確認が行われてきたのか、その状況と今後の対応についてもお伺い致します。
 
 次に児童虐待防止についてお尋ね致します。
本年8月5日に警視庁が今年上半期(1〜6月)に摘発した児童虐待事件は181件(前年同期比15.3%増)、摘発人数は199人(20.6%増)で、いずれも統計を取り始めた2000年以降、最も多かった事を発表しました。
その内訳は、身体的虐待が140件、性的虐待が31件、育児放棄が10件。被害児童数は過去最多の187人(14.0%増)で、5歳以下が42.8%を占めていました。加害者は、被害児童の実父や養父などが7割、実の母親や継母などが3割で、虐待を受け死亡した児童は前年より7人も増加という残念なデータとなりました。
厚生労働省の調べでは、全国201カ所の児童相談所が2009年度中に住民などから受けた児童虐待の相談件数は、前年度比3.6%増の4万4210件で都道府県別にみると、東京都・大阪府・神奈川県の順で多かったと発表しています。
 児童虐待に関する国民の認識が高まり、近隣住民などからの通報が増えるのに伴って、相談・摘発件数は増加傾向にあるものの、近隣区でも学校も家庭支援センターも虐待を見抜く事ができなかった事件もおこっています。大阪の事件では、児童虐待防止法が、出頭要求の際には保護者と子供の氏名を書面で告知しなければならないとの規定から、住民登録のない家庭の調査が進まなかった現実から、厚生労働省は、虐待が疑われる場合、保護者や子供の氏名が分からなくても、児童虐待防止法に基づく出頭要求や強制立ち入り調査(臨検)を行うことができるとする通知を8月26日に行ったところです。
 本区では21年度、家庭支援センター相談件数の内、児童虐待のケースは35%となっています。この防止策としては、子ども家庭支援センターが中心となって「要保護児童対策地域協議会」を設け、早期対応マニュアルや小中学校向けにわかりやすい冊子を作成し、親や子供達へ社会も一体となって子育てを支援している事を伝えたい事が良くうかがえます。この連絡会の機能が期待をされますが、連絡会の情報共有や課題はないのか、その後の傾向や今日、大人の引きこもりが様々な問題に発展するケースがありますが、それらの相談状況も併せてお伺い致します。
改めて心から、きめ細かな対応をお願いを致します。

 次に地域コミュニティについてお尋ね致します。
 本区の文京区らしさには、町会活動や地域活動が活発な事が掲げられると思いますが、課題も山積しています。
「向こう三軒両隣」、私が通った学芸大学竹早小学校の授業で、近所の方の名前を書き出してみようという授業があり、高度成長に育った私達の年代では、両隣も書けなかったのが大半であった事を思い出します。社会的には、その年代が今、親になっています。時代的には、団塊の世代の方々が地域に戻っています。本区では、平成10年に比べ人口2.5万人も増加し、ここ三年の転入転出者は共に、約15000人です。この3つの要素を考慮し、課題を乗り越える地域力が必要です。そして、区はその入り口を、新たな公共の担い手とだけ考えるのではなく、その地域に見合ったコーディネイトを行うべきと考えています。
 例えばここ数年、小石川地域では盆踊りが復活してきました。昔は、お祭り同様、各町会が催していましたが、今は連合町会で行っているところが殆どです。町会はラジオ体操同様、連合町会で行う事でのスケールメリットを感じ、今年の夏を過ごしているのではないかと私は感じました。また、地域によっては商店会の後押しもあって開催されているところもあり、地域によって工夫がなされつつ、差も生じているように感じます。そこでお聞き致しますが、地域活動センターに配置された、所長からは今までの課題に対し、どのような報告がなされたのでしょうか?私は、地域力育成には、人・金・場所と時間が必要であると考えていますが、来年度への積み上げ!地域力・地域コミュニティ力を高めていく方針をお伺い致します。
次に子育て支援についてお尋ね致します。
 子育て家庭の孤立化や働く環境の多様化に対応すべく、家庭の状況を踏まえたきめ細かい政策展開は、本区の児童数を増やし、安心して子育てをできる町として、評価を受けています。
 そして、昨年策定した子育て支援5カ年計画の着実な実行が期待されています。
 保育園待機児童数は、都内では平成19年度から3年間で約2倍に伸びたとも言われています。本区でも20年21年の大幅な増があり、これらの申し込み割合が26年度まで継続すると想定された年齢別割合を打ち出して、本計画で最終的な増員数を342名として準備を進めていることを評価致します。そしてこれらの児童もいずれ小学校に入学して、家庭環境や生活環境が変わらぬならば、育成室や児童館の利用を希望される事が多くあることでしょう。区は学校の適正配置を進める中で、全学校の育成室整備を盛り込んだ時期もありました。そこで本計画でも、過去データからの育成室利用者の出現率の伸び率を2.2%として、最終的な増員数を231人と想定し、5室の設置を掲げられておりました。しかしながら、自民党・民主クラブ・公明党で6月に区長に対し、5年間で5室の設置をするに当たり、緊急度の高いエリアでは学校にとどまらず、近隣区有施設の活用を要望させて頂きました。これは今後も、需要が高まるエリアには地域差が生まれることなく、良好な環境が提供できるようご配慮願いたいという要望でもありました。(この事は他会派が質問されていますので、その経過についてお聞き致しませんが、)今後の4室についても同様の対応をお願いさせて頂きます。また、今回、第三中学校に整備する事に決まりました。今後は、第三中学校の学校教育の運営についても同時に、ご配慮いただけますようお願いをさせて頂きます。
 また、子供達の居場所対策には、特色ある児童館事業運営を行うことや(仮称)放課後全児童向け事業として、現在行われている放課後事業の整理を行い、地域の協力を得て、可能な小学校から順次、子供の安心安全な居場所として、実施すると計画されていますが、
地域の力、自分たちで担おうとする意志がなければ実現しない事業であり、これらを3カ年実施計画の中で位置づけすることは難しいように考えますが、今後の展開をどのようにお考えか、お伺い致します。

次に国有地、都有地の活用をお尋ね致します。
 本区のように、人口集中のある大都市部では、地価が高く、少子・高齢社会のニーズに対応する社会福祉サービス施設用地の確保は困難を極めており、区有地の限界を感じています。本来、財務省が管理している未利用の国有財産や都有地活用ができれば、社会福祉施設整備の新たな手段となると考えていましたが、国の政策では売却が前提となっており、春日の財務省第六天住宅が売却される際には、十分住民の声を聞いた上で、教育施設 国際仏教学大学院大学へ売却されたのもその一つの例でしょう。
 東京都では平成22年23年の2カ年 重点施策として、高齢者をはじめとする福祉サービスの整備基盤として取り組みをはじめました。世田谷区では本年5月に、「国有財産の有効活用のありかたについて」が、まとめられ、都有地活用では、認知症高齢者グループホームの整備が行われ、また、特別区議長会では、国へ、区の支援措置などを求め、要望活動がなされています。
 本区においては、都からのこの仕組みを活用して、どのように対応していくのか、また、8月に提案のあった小石川郵便局に隣接する都有地の活用についてどのような回答を出したか?お尋ね致します。また、国有地についても、公務員住宅空き部屋の保育施設の活用など、具体的な提案もあるかのように聞いていますが、積極的に検討し、区内全体の活用計画を検討し、区民サービス向上を目指す事を求めますが、その取り組み・方針をお伺い致します。

 次に特別養護老人ホームについてお尋ね致します。
 現在、本区の特別養護老人ホームは大塚みどりの郷・くすのきの郷・白山の郷・千駄木の郷を平成19年に指定取消処分を受けるまで事業主として運営をして参りました。その後、使用協定を結ぶと共に、介護保険事業者及び施設への立ち入り権限により、事業者及び施設に実地指導を行い、法令遵守の徹底、サービス提供状況、介護報酬請求、事故発生防止の指導、監督を行ってきたところです。協定を結んで、3年が経過し、現在の状況はいかがでしょうか。また、今回の更新期間において、契約内容の見直しを行うなど、区がより深く管理・運営に関与する体制を強く望みますが、お考えをお伺い致します。
 また、現況の入所希望者の増加や先に述べた社会のあり方の変化を鑑みると、区民の願いは特別養護老人ホームの設置ではないか考えています。土地の提供についても、先にお聞きしたように、都でも少子高齢社会到来に対応すべく、動き出しています。都や国の動向を踏まえて、区の今後のお考えをお伺い致します。
 

 次に区有施設の立て替えについてお聞き致します。
 平成20年3月策定の文京区区有施設の中長期改修計画にのっとり、
125の対象建築物の順次その準備が進められています。
それ以外に、対象外建築物の37施設があります。それらは新行財政改革推進計画等で見直しや廃止が検討されている施設又は、小規模な建築物及び仮設的な建築物等又は、建築後非木造の場合65年以上、木造の場合30年以上の建築物又は、定期建物賃貸借契約を締結している建築物などと定めています。
これらは全て大事な区民財産ですから、眠る土地がないよう、検討されるべきものは早急に対応すべきです。
 例えば、昭和50年に文京区に移管された新江戸川公園の中にある、大正時代に建てられた細川家の勉強所「松声閣」は、耐震上の理由で閉鎖されて久しいですが、どのような検討が行われ、現状の活用方針はどのようになっているのかお尋ね致したいと思います。近隣には、椿山荘や旧細川侯爵邸(和敬塾本館)など、挙式やパーティに利用されている民間とのコラボレションも一つの方策と考えていますが、この実現性は検証されてきているのか併せてお伺い致します。

 次に防犯についてお尋ね致します。
 本区にある4つの警察署の刑法・特別法発生状況(本年6月末まで)は、殺人1件・強盗5件を含む富坂警察書306件、駒込警察署215件、大塚警察署178件、本富士警察署428件、計1127件となっています。確かに23区で一番安全な区として、数値は、他区よりも少ないのは事実です。
 しかし、この数値を見て、「安心だ!」とは感じる区民はいないと思います。区民が安心できる土壌。まちは自らが守り、協力しあう事が一番の大切な事ですが、そこに公助が先頭を切って進むことが必要であることは、避難所運営訓練で出された区民の意見でありました。そこで、危機管理室ができて4年目、今後の展開をどのようにお考えか、お伺い致します。併せて、区は、警視庁・防犯協会・町会・PTAや区内団体などを連携し強化する組織、例えば、「文京区生活安全推進協議会」を設置して、情報交換を行い、治安対策強化を図っていく事が望ましいと考えますが、お伺い致します。
 
 最後に認定こども園などについてお尋ね致します。
 第2回定例会 菊見議員の質問で、認定こども園について質問させていただき、区は、現時点までの施策で一定の効果があり、当面、預かり保育の充実で、教育と保育園の一体性を高めていくとされました。
 その後、内閣府の「子ども・子育て新システム検討会議」が子育て支援の基本制度案要綱を発表し、「保育に欠ける」という要件を撤廃し、既存の幼稚園、保育園そして認定こども園を撤廃し、「(仮称)こども園」という単一制度にして、現行の保育園で幼稚園教育を幼稚園で保育を提供するよう、平成23年度の法案提出を目指しています。このことは、文京区の私立幼稚園との今までの協力体制をどのようにするのか、また柳町こどもの森の検証の整理など、多くの課題が心配されますが、本区としてどのように把握し対応する予定なのか、お伺い致します。
 次に8月24日文部科学省発表された、11年度からの8年間で教員定数を約2万人純増させ、公立小中学校の1学級の児童・生徒数の上限を現行の40人から30〜35人に引き下げる少人数学級化を目指した対応をとる為、11年の通常国会に学級編成基準を定める義務教育標準法改正案を提出するとされていますが、本区の学校規模では教室数に問題などが生まれると思いますが、このことをどのように対応していくのか、学区域指定制度から地域と学校とが支え合ってきた経緯がある本区の、地域への説明などの混乱がないように丁寧な対応が急務となりつつありますが、この事をどのように把握し対応する予定なのか、お伺い致します。



2010年(22年)第1回 定例会

       白石英行代表質問  答弁編

■赤字が質問要旨
■黒字が区の答弁  

「新たな公共」を推進する具体策とは何か?
 ご指摘のように、本区は自治基本条例における協働・協治の考え方のもと、各主体が相互に協力して、豊かな地域社会をつくりあげてまいりました。
 これからは、この協働・協治をさらに推進するとともに、従来、区が取り組んでいた課題についても地域の課題として区民、地域活動団体、NPO、事業者等と区が、協力し解決していくことが求められております。
 今後、「各主体の関わる領域の範囲」「区としての支援のあり方」「職員のコーディネート力」などについて、具体的な検討に着手してまいります。

基本構想実施計画3か年の予算編成はついて堅実に!
 ご指摘のように、景気は昨今の円高の進行や株価の下落など不安定な状態にあり、持ち直しの兆しがあるものの、先行きの不透明な状態です。
 今後の区財政は、特別区民税の落ち込みが予測されるとともに、都区財政調整交付金の原資となる法人住民税の好転は期待できず、依然として厳しい状況が続くものと認識しております。
 このような中、安定的かつ健全な財政運営を確立し、基本構想の実現に向け、事業の優先度を考慮しながら、実施計画に着実に取り組んでいく予算編成を行ってまいります。

大規模改修の一般財源投入は負担がある、施設修繕費基金を行うべき!
 施設の改修については、多額の経費を要することから、計画的に対応することが不可欠であると認識しております。
 そのため、区民施設整備基金において、必要な経費の積み立てに努めているところです。
 また、新たな基金の創設等については、今後、改修の内容と併せて検討してまいります。

高齢者の所在不明問題解決に向けて、高齢者の情報を一元システムを!
 個人情報の保護は、区政運営の重要な柱の一つであり、全庁をあげて個人情報の適切な保護に努めているところです。
 しかしながら、今回の問題をめぐっては、個人情報の保護と、高齢者の状況把握に必要な情報の集約化という新たな問題が浮き彫りとなりました。
 今後、高齢者の生命や財産に関わる場合などにおいては、個人情報の保護を基本としながらも、必要な情報の共有化を図り、関係機関との連携強化を図ってまいります。

敬老金配付時の所在確認は実施したか?
 敬老金は、これまで民生委員から、ご本人またはご家族にお渡ししていたため、必ずしもご本人の所在確認はできておりませんでした。
 今後は、民生委員による敬老金の配付時にあわせて、所在確認の調査を行ってまいります。
 その際、所在が確認できない高齢者については、介護保険、医療保険の利用状況により確認するとともに、必要に応じて区の職員が直接訪問して、所在の確認を行ってまいります。

児童虐待防止における、要保護児童対策地域協議会の実績は!
 本協議会では、制度や区内の現状を把握する定期的な会議と、個別の児童について随時開催するケース会議を通じて、必要な情報共有を図っております。
 平成21年度の児童虐待相談件数は延べ595件、22年度は6月末までに延べ199件と前年同時期を上回っており、関係機関の対応力向上や地域との連携が不可欠なものとなっております。
 今後も児童虐待の防止に向けて、協議会の一層の充実を図り、予防と早期発見に努め、迅速できめ細かな対応を行ってまいります。

本区の「大人の引きこもり」の状況分析は?
 本区では「大人の引きこもり」についての専門部署は特に設置しておりませんが、精神保健相談事業において、精神科医師や保健師が個別相談を行い、必要に応じて、適切な相談機関等を案内しております。
 また、婦人相談事業においても、「引きこもり」が原因と見られる相談があった場合などは、個々の状況に応じて対応を行っております。

地域力の応援策を講じて、コミュニティ強化すべき時代!
 地域の課題や情報の収集は、地域活動センターの所長を中心に、職員一人ひとりがその役割を担っており、防災・防犯やホームレス対策、ごみの不法投棄など地域の様々な課題や要望が報告されております。
 また、来年度の取組みについては、本年7月から地域活動センターで実施している「ふれあいサロン」と、この9月から新たな公共の担い手として地域でご活躍いただく方を支援する「地域貢献講座」を行うこととしており、さらに充実させてまいります。
 今後も、地域活動センターが地域住民とともに地域の課題解決を図る上で地域になくてはならない施設となるよう努めてまいります。

放課後全児童向け事業の今後の展開は?
 本事業については、来年度の開始に向け、庁内に検討委員会を設置し、検討しているところです。
現在、類似する放課後事業の整理、学校への意向調査等、本事業の枠組み作成にあたっての準備作業を行っております。
この事業は、学校施設の有効活用により、放課後の小学生の安全・安心な居場所を確保するものであり、実施校となる学校側や事業実施主体となる地域の方々と協議を重ねて、モデル校を選定してまいります。
 また、その協議の中で地域の実情に即した柔軟な事業運営も想定されるため、実施計画事業とすることを前提として、条件の整った地域から順次事業を展開してまいります。

都有地及び国有地の活用を行い、福祉教育を整備すべき!
 まず、小石川4丁目の都有地については、ご指摘のとおり、「都有地活用による地域の福祉インフラ整備」に関する意向の照会がございました。
 本区としては、グループホーム等の障害者福祉施設として活用を希望する旨の回答をしたところです。
 また、国有地については、国有財産のより一層の有効活用を図る観点から、地方公共団体における家庭的保育事業の実施場所として、未入居となっている国家公務員宿舎についての情報提供がございました。
 現在、国から提示された小日向住宅の一部の活用に向けた検討を行っているところです。

特別養護老人ホーム運営では、民間との協定内容を強化し、区の責務を負うべき!
 各法人ともに、これまで概ね良好に施設運営がなされており、福祉サービス第三者評価及び利用者の家族からも高い評価を受けていることから、入所者に対する安定したサービスが提供されていると認識しております。
 施設の管理運営については、これまでも協定書等に基づき、区が関与してきたところですが、今回の契約更新後に改めて、施設の管理運営に対する区の関与のあり方や貸付方法、契約期間などについて検討してまいります。
国や都の動向を踏まえつつ、特別養護老人ホームを新設すべき!
 特別養護老人ホームの設置については、今後さらに高齢化が進み、介護が必要な高齢者の増加が予想されることから、検討が必要な段階にきているものと認識しております。

区有施設活用を! (新江戸川公園集会所「松聲閣」の活用)
 「松聲閣」については、昨年度、建物・設備の現況把握・耐震診断、歴史性の検討、今後の利活用方法などについて調査を実施いたしました。
 現在、この結果を踏まえて、ご指摘のような民間活力の導入も視野に入れた検討を進めており、区としての基本的な考え方を第4回定例会でご報告する予定でおります。

危機管理室ができて3年、その成果と今後を問う!
 本区は、安全・安心まちづくり条例を平成17年4月から施行し、「文の京」安全・安心まちづくり協議会を設置して、区民とともに安全で安心して暮らすことができる地域社会の実現に努めているところです。
 これまでの具体的な取組みとして、安全・安心まちづくり推進地区2か所を指定しておりますが、さらに、このたび関口一丁目地区を防犯対策を推進する地区として指定する方向で準備を進めているところです。
 また、本年4月より、「安心メール」と「ぼうさいサポートメール」を統合し、「安心・防災メール」として、防犯や防災などきめ細かい情報の配信に努めております。
 今後とも、危機管理室を中心に、地域との情報交換を密にして、現在の協議会を軸に、安全・安心まちづくりを推進してまいりたいと考えております。

「(仮称)こども園」では、本区の公立私立の協力体制はどのようになるおつもりか?
 ご承知のように、国の「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」は、「幼稚園・保育所・認定こども園の垣根を取り払い、新たな指針に基づき、幼児教育と保育を共に提供するこども園に一体化した新システムに位置づける。」というものであり、抜本的な制度変更を示唆しております。
 しかしながら、その制度設計に関する詳細が示されていないため、具体的な検討に入ることは現在困難であり、現時点においては、情報収集に努め、関係部署と情報の共有化を図っているところでございます。
 今後も、議員ご指摘の内容を含め、関係部署と連携をとりながら検討を進めてまいりたいと存じます。

少人数学級では、地域の混乱がないようにする体制を!
 今回、文部科学省が発表した計画(案)によると、平成23年度から小学校第1学年と第2学年に35人学級を実施することとされ、学級数の増に対応した教室の確保が必要になると共に、平成24年度以降も毎年、学年進行に伴う教室の確保が必要になってまいります。
 このことは、平成26年度以降の中学校においても同様でございます。
 各学校は、現在、習熟度別少人数指導や特別支援教育への対応など、様々な学習スペースを必要としており、新たに普通教室を確保することは容易なことではありませんが、当面は、各種教室の転活用などを図るほか、将来的には通学区域の見直しも想定されると考えております。