2011年(23年)予算委員会 総括質問

2011年(23年)予算委員会 総括質問
 

文京区議会自由民主党の総括質問をさせていただきます。

 日本経済の失速は、4年前のサブプライム問題,3年前のリーマン破綻に端 を発した金融危機から起こった、世界同時不況の中で、決定的な対 応ができず、先行きが不透明な状況下です。
 経済成長率は2007年1.8%が2008年に-4.1%と戦後最大となり、 2009年では景気回復の途上とされても、-2.4%と昨年11月に大き く下方修正されました。金融業界では、2010年10-12月では、経済 成長率は年間換算で-1.1%とし、回復傾向にあるものの、踊り場局 面からの脱却又は足踏みと言われています。この要因としては、円 高による輸出の低迷・エコポイント政策では、テレビ販売に見られ るように、地デジ切り替え前までに約2.5年分に相当する需要が先 食いされたと予想されており、これらの景気刺激策の反動減、そし て政策決定の不安定さによる内需の回復力の脆弱さ、の3点が上げ られており、今後、アメリカ経済等の景気回復に相まって景気の浮 揚は予想できるものの、対海外の回復を期待するだけでは、欧州ソ ブリン問題などの影響を再び受ける事になりかねない事になります。
   日本政府の早急な総合的な施策を期待するものですが、今国会では、 未だに予算及び関連法案(こども手当法案・公債特例法案・所得税 等改正法案の他に地域主権改革3法案も入っていますが)の審議が 難航しており、その動向に注意が必要です。
 私は、大学生活を勉強と社会的体験を積んできた、新卒者の就職 者の内定率が68.8%と、空前の就職氷河期となった事を危惧してい ます。若者の夢が達成できなかった事への社会に対する不満と不安、 長期的に見れば日本産業力の低下となりかねません。 自殺者もリス トラなど改革に伴う痛みによる50歳代中心の構造から、若年の非 正規雇用や高齢者の社会保障不安に伴う年齢構造へとシフトしてお り、景気に連動している課題へ対応するリーダーシップを政府に強 く望んでいます。

 文京区では、これらの影響を受ける本年の予算は、前年度比、特 別区税3.6%減の262億円・特別区交付金の6.5%増の147億円と基 金繰り入れ76.6億円とし、703.9億円の予算化をされました。この 事は、自治基本条例制定後、区民と共に歩んできた施策を計画的に 実施していくと共に、少子化対策として子育て支援策を打ち出し、 区長のいう「みんなが主役の文の京」への一歩を築きあげる大事な 予算と考えております。

 そこでまず、はじめに基金についてお伺い致します。
 基金は中長期的な視野をもって運用される事が大切です。他区で の事業の見直しや廃止では、区民参画してきた区民の夢が実現でき ず、区の信用問題になりかねません。今後も、この低成長経済下の 中で、着実な計画下において運用される事を望みます。
 そこでまず、財政調整基金から44.1億円を繰り入れる大きな要 因は何かお尋ね致します。また、特定目的基金の300.8億円と今後 26年度末までに建設される8施設(千石一丁目拠点施設・仮称 森 鴎外記念館・小石川運動場整備・文京総合体育館・旧5中体育館・ 福祉センター・第六中学校・教育センター)との繰り入れ計画をど のように想定しているのか?また、老朽化が進んでいる区立小・中 学校の施設計画をどのように見込んでいるのか?また、2年前に提 示しましたシビックセンター大規模改修計画をどのように想定して いるのか?お伺い致します。

 次に特別交付金についてお伺い致します。
 財調交付金は普通交付金95%と特別交付金5%となっており、 住民税を一律10%フラット化した小泉政権の三位一体改革の救 済措置が2010年までとされ、都区財調協議でこの5%について の、見直しが課題となって協議されてきました。この特別交付金 は、本来、災害や減収など「特別な需要」が生じた場合に配分さ れるとされるもので、現実的には「その他」という項目が50% 以上を占めており、2009年で227億円という巨額な金額になっ ており、区側が申し入れた現行の5%から2%に変更して普通交 付金を3%上乗せする変更に賛同するものです。しかしながら昨 年、5%は現状維持となりました。そこで、交付金の「配分ルー ルの見直し」の経過と今後の考え方をお伺いします。
 併せて、この原資である法人住民税の配分割合は、景気低迷に 伴う税収の自然減の場合、変更しないとの都区合意がありますが、 政府が進める法人税の引き下げが決定された時はどのようになる のか、お伺い致します。

 次に自主財源比率についてお聞き致します。
 地方主権下においては、財政運営の自主性と安定性が一層求めら れて参ります。文京区が自らの機能を行使して調達し得る「自主財 源」の確保は23年度予算では、自主財源をどのように見込まれて いるのでしょうか?また、成澤区長が就任される前の議長時代07 年度以来、自主財源比率はどのように推移してきているのか、特徴 的な事をお示し下さい。

 次に、特別区民税についてお聞きします。
 本区の人口は平成7年から増加に転じ、平成23年1月現在191,394 人となりました。昨年22年度1月では189,286人で対2108人増加 しています。
 この中、特別区民税現年課税分では、普通徴収納税義務者数は 43264人となり、昨年比10417人減となっている要因は何か?所得 別人口割合の変化も含めてお答え願います。
 また、同じように、特別徴収義務者数は69006人となり、前年比 11834人の増となった要因は何か?所得別人口割合の変化も含めて お答え願います。

 ここで新たにお聞きしたいのが、本区の産業と定住者との割合で す。
 本区は「新たな公共」の検討に入っていきますが、私は日頃より ご協力頂いている町会の活動から感じるものがあります。町会が地 域と離れているかと言うとそうでもない調査データは、新たな人口 流入のあった八王子市の調査でありますが、近所付き合いについて は80%の方が必要と肯定的な回答に対し、参加していないが45% となり、その実態が親しい人がいない人が45%という事です。本 区ではどうでしょうか。
 商店街の衰退と共に、その距離も加速しているかのように思われま す。
 産業が定着してくれば春日三丁目の牛二頭焼き肉大会のように、 地域交流として福利厚生で参加し、更にはお祭り、防災訓練と糸口 が広がっていきます。そこには多様な方々が集まるコミュニティと なり、新たな方々も参加できる仕組みへと大転換する事となります。 本区では今の割合をどのように把握し、今後の目指す割合をどのよ うに考えているのかお示し下さい。

 次に大井競馬についてお伺い致します。
 本区は自治体が運営する地方公営競技の大井競馬を23区で運営 していおります。
 これは他の競馬・競輪・競艇等を抜いて22年連続で売り上げ1位 であり、その経営方針に期待をしております。しかしながらその売 り上げは下降線をたどり、特別区競馬組合から23区への配分金が 出ない状況になっています。本区においては場外勝ち馬投票券発売 所所在区として交付金2億円の予算が組まれておりますが、当初予 算で前年度比2000万の減となっており、インターネットによる在 宅投票の拡大している中にあって、安定的な経営の為に本場や場外 のあり方を含め、更なる検討の必要があると考えますが、その状況 はどうかお伺い致します。

 次に新たな歳入の確保についてお伺い致します。
 今までに、広告収入・ネーミングライツや定期借地権などを提案 して参りました、また、東大等の優秀な研究機関がありながら、IT 革命のシリコンバレーは渋谷という背景もあり、産学連携推進を指 摘してまいりました。そこで本年度より始まります産学連携の中で 新たなコミュニティビスネスを誕生させ展開する際に、区の判断で 区民全体に一定の利益還元が見込まれる場合には、契約を結び、そ の利権還元がなされるところまで、育成すべき業種が生まれるよう 行うべきと考えますが、お伺いを致します。

 次に、公会計と職員の意識改革についてお伺い致します。
 18年に地方行革新指針で公会計整備が示され、財務書類をどの ように分析し、活用していくかが大きな課題でありました。昨年、 総務省のワーキンググループからその活用が示され、本区の22 年度「文の京の財政状況」でその分析を資産老朽化比率・将来世 代負担比率・受益者負担比率を示し、資産形成度・世代間公平性・ 自立性を測っています。そこでこれらのツールを使って各部署の 指標(アウトプット指標)を算出されているのでしょうか?お伺 い致します。
 このことは、過去にも提案した「現金主義」から「発生主義」 への転換であり「サービスが効率的に行われているか」「費用に 対して十分な成果が得られたか」を分析する事になりますので、 今までの事務事業評価も更に検証して頂きたいと思います。また、 今後、歳入での事務事業評価の導入は、検討しているのかも合わ せてお答え下さい。
 職員の研修制度が充実していることは「職員白書」で実感して います。そこで、計画的に行われている「コアステージ」・「職層 職務ステージ」・「サポートステージ」での参加人員とその指標に 対する成果についてお伺いします。
 併せて、政策創成塾での提案型政策の件数と庁内公募制人事の 状況を答え下さい。

 次に後期高齢者医療制度に変わる新制度についてお伺い致しま す。
 高齢者医療制度改革会議が後期高齢者医療制度に変わる新制度 の最終案を提示し、75歳以上の無職の方は国保に加入し、都が 財政運営することを柱としています。そして、政府は予定ではこ の通常国会に法案を提出するとして進めて参りました。そこで、 この制度に移動するに当たって、医療給付は現在の11.7兆円 から25年には22兆円と予測される中、医療給付の国と地方の 負担割合を現行通りに維持するのか?(そうなると、現行制度で は国の負担が減り、地方の負担が増える結果になります)2013年 度から始まるとなると前年度の2012年からの準備となるが本年 度で補正を組むことになるのか?その予定をお伺い致します。

 つぎに扶助費の31.9%増についてお伺い致します。
 生活保護費は49億円で10年度予算と横ばいに計上されました。 近隣区では依然高い伸びを予測しています、その根底には、単なる 一時的な失業ではなく、高齢者の割合が確実に伸びていると言われ おり、継続的な経費とみるべきと考えている区もあります。本区と の違いはあるのかお伺い致します。
 また、こども手当の地方負担を巡っては全国約50自治体が11 年度予算案への地方負担分の計上拒否を表明しています。しかし、 子ども手当法案が成立すれば、最終的には補正予算案などで不足分 を計上せざるを得なくなるため本区では計上をされていますが、そ の額は幾らになり、支給年齢・所得制限の有無・支給額が異なる児 童手当の当時と、区の歳出の差額はいくらになるかお示し下さい。

 次に高齢者の見守りについてお伺い致します。
 この件は、昨年9月の一般質問で要望致しましたが、高齢者の不 在問題で端を発しました。今までもハートフルネットワークや民生 委員・話し合い員、地域包括センターにより支援を行っており、社 会福祉協議会による安否確認サービスでの宅配弁当や緊急通報シス テムに加えて、見守り訪問事業を展開していくことは、高く評価致 します。
 そこで、今回、緊急雇用創出事業を活用して、状況把握する12400 人の方々への調査はどのようなものが行われているのか?お伺い致 します。
 高齢な方は、ペットを飼われている方も多いと聞いていますが、 そのような情報を通じて、獣医師会と連携するなど次のステップも 視野に入れて、区民見守りサポーターの充実を図る必要があると考 えますが、お考えをお伺い致します。
 このような区内にあるマンパワーを活用しながら最終的には地域 のお付き合いが再開される街になって行く事を私は望んでいますが、 地域活動センターでの課題をどのように各所長は分析しているかお 示し下さい。

 次に観光行政についてお伺い致します。
 文京区の五大まつりだけでなく、多くの方々が個人的又は団体で まち歩きを楽しんでいる姿を見かけます。近年、NHKの大河ドラ マで「江(ごう)」が放映され、徳川家光や千姫の母であり、春日 の局ともつながるドラマは更に文京区の徳川の歴史を伝えると共に、 秀吉・信長までに広がっています。また、本区は文豪が住んだまち としても関心を寄せられており、様々なところに置いてある教育委 員会の掲示版がその案内を担っておりますが、案内版には様々な修 正が行われており、今一歩、アナログ的な感が否めません。現在の 携帯電話の普及率は93%にもなり、まちあるきの様子からすれば 携帯で写真をとっている方々が大半です。本区は観光行政でのIT 化はどのように進めるのか?QRコード形式にしてデジタルデータ 上に写真や解説をのせると共に、近隣の食事やトイレ情報等のサー ビスも連携して行う事による地域活性化策として検討すべきと考え ますが、お考えをお伺い致します。

 次に介護者支援についてお伺いします。
 地域包括支援センターが中心となり、文京区認知症サポーター養 成を2010年では講座を28回開き810名のサポーターが新たに誕生 し、計2676名の区民の方々に参加をして頂いています。今後、介 護者の孤立防止する面からも気兼ねなく相談できる、介護者経験者 の方の支援を受けて更に事業を展開して頂きたいと思います。この ような育成の展開は豊島・杉並・目黒区などで行われていますが、 本区での認知症の方の状況とグループホーム利用状況等の現況と併 せて、どのように展開するのかお伺い致します。

 最後に子どもの体力増進についてお伺い致します。
 本区の公立小学校の先生に、子供達の他区と異なる点をお聞きす ると、殆どの先生方が「逞しさ」と私には答えます。ではこの逞し さとは何かと言うとその答えは返ってきません。私なり理解するの は、子供達の全ての環境の違いがそれらを生んでいない分、学力の 方は高く、真面目であると評価されている事です。しかしながら、 子供達の体力に関する事は発達課程の上でとても大切なものであり、 遊びやスポーツを通じて学ぶ事は多くあります。
 2010年度は文部科学省が小学校5年生を対象に調査を行い、そ の結果を昨年より公表し指導の強化を行っていますが、本区におい ては、どのような指導が行われいるかお伺い致します。23年度に は、東京都においては同等の「体力・運動能力、運動習慣等調査」 を公立校の児童生徒94万人を対象に行うとしています。
 地域クラブの参加や家庭でスポーツを親しむ事で、人間関係も体 験し、「逞しさ」が増すものと考えています。今後、そのデータを 基に、啓発広報等のあり方にも工夫が必要と考えますが今後、教育 部局とアカデミー推進部との連絡体制はどのように構築していくの かお伺い致します。


2011年(平成23年)予算委員会 答弁編

■赤字が質問要旨
■黒字が区の答弁

財政調整基金から44.1億円繰入れる大きな要因は何か?
 平成23年度予算において、財政調整基金の繰入れを行った主な要因としま しては、歳入においては、所得水準の動向などにより、特別区税が21年度と 比較して減収額が27億円を超え、2年連続の大幅な減収となることなどが挙 げられます。
 また、歳出においては、特別会計繰出金、児童の保育委託等の社会保障関係 経費が増加したことなどによります。

特目基金の300.8億円と、今後、8施設、区立小・中学校、シビックセンタ ーの各計画をどう想定しているか?
 第六中学校、総合体育館、(仮称)森_外記念館、福祉センター等の8施設 の整備経費につきましては、基本構想実施計画において、平成23年度から2 5年度までの事業費として、120億円を超えるものと推計しております。こ れらの財源としましては、国・都支出金や起債のほか、区民施設整備基金、学 校施設建設整備基金等から約80億円の取崩しを予定しております。
 また、区立小・中学校では、耐震補強工事、外壁・サッシ改修、校庭改修、 給食室の整備などに、3年間で約10億円を見込んでおります。
 なお、シビックセンターの改修につきましては、3か年の計画期間中におい て改修方針策定に向けた検討を行うこととしており、取崩し額については、そ の後検討してまいります。

都区間の特別交付金の「配分ルールの見直し」の経過と、今後の協議での区 側の主張と姿勢は?
 特別交付金については、委員ご指摘のとおり、透明性・公平性を高めるとと もに、可能な限り普通交付金による対応を図る観点から、2%を基本に割合の 引下げを区長会として都に提案いたしました。
 しかしながら、都側からは、算定ルールの一部見直しの協議は行うものの、 割合については、平成19年度に合意したものであり、各区のニーズも高いこ とから、三位一体改革に伴う激変緩和措置の終了分1%も含めて、改正の必要 はないとの考えが示され、今回は協議が整いませんでした。
 したがいまして、当面、23年度の算定に向けて、算定項目の細分化等の見直 しについて協議を行うとともに、今後も引き続き、2%を基本に見直すよう主 張してまいります。

政府が進める法人税の引き下げが決定された時は、法人住民税の配分割合は どのようになるのか?
 法人実効税率の引下げによる市町村民税法人分の減収については、現時点で は減収見込みが明らかではないため、今後の動向を注視してまいりますが、23 年度は初年度に当たることから、財政調整交付金のフレームには影響を及ぼさ ないと考えております。
 なお、市町村民税法人分の減収に対しては、24年度から道府県たばこ税の一 部を市町村たばこ税に税源移譲することとされております。

23年度予算の自主財源の見込みについては?
 23年度予算は、前年度に比べ、特別区税が約10億円の減となる一方、財 政調整基金繰入金が約14億円の増、特定目的基金繰入金が約23億円の増と なっており、自主財源は約398億円で、歳入に占める割合は56.5%です。

18年度以来、自主財源比率はどのように推移してきているか、またその特 徴については?
 18年度以降、自主財源比率は50%台後半で推移しております。
 18年度においては、目白台運動公園の用地取得の影響により、特定目的基  金繰入金の占める割合が高くなっております。その後、19年度から22年  度までは、おおむね、特定目的基金繰入金の割合が減少し、特別区民税の占 める割合が高くなっております。
 23年度は、財調基金繰入金が11年度以来の40億円台となり、特定目的 基金繰入金が第六中学校、総合体育館等の大規模な施設整備により、約32億 円となったことから、両基金からの繰入金の占める割合が、前年度に比べ大幅 に増えております。

 特別区民税現年課税分で、普通徴収納税義務者が昨年比10,417人減となっ ている要因は何か?所得別人口割合の変化も含めて伺う?
同様に、特別徴収納税義務者が増となった要因についても伺う?

 平成21年10月から開始された、住民税の公的年金からの特別徴収制度によ り、これまで、普通徴収に計上して算定しておりました年金特徴納税義務者数 約10,000人を、23年度から特別徴収に移行して算定したのが増減の主な要因 となっております。年金特徴納税義務者を、普通徴収から特別徴収に移行して も、所得割別人口割合については、おおむね変化はないと考えております。

本区での近所付き合いの実態について把握しているか?
また、産業と定住者との割合をどのように把握し、今後の目指す割合をどのように考えているか?

 最初に近所付き合いの実態についてのお尋ねですが、平成21年度に実施い たしました「区政に関する世論調査」によりますと、区民の約7割の方が町会 に加入しております。居住形態からみますと、一戸建てや分譲マンションでは 高い加入率を示しておりますが、賃貸マンションやアパートでは加入率が2割 に止まっております。人口増が主にマンションの増加によるものであることを 考えますと、マンション転入者に対する町会の加入促進を含めて、地域交流の 促進を図っていくことが必要だと考えております。
 次に、産業と定住者との割合についてのお尋ねですか、これについての資料 はございませんが、「区政に関する世論調査」によれば、区民の4割以上の方 が町会活動への参加意欲を持っております。これら町会への参加意欲を持って いる方だけではなくすべての方に地域におけるイベントや親睦会、お祭り、地 域活動などへの参加を働きかけるとともに商店街による地域活動や地元企業の 社会貢献活動などと連携を図ることにより、誰もが参加しやすい地域コミュニ ティが形成されてくると考えております。

大井競馬について、売り上げが下降線をたどり、本区への交付金も減少して いる。安定的な経営のために更なる検討の必要があると考えるが、その状況は どうか?
 ご指摘のとおり、ここ数年競馬開催成績は減少傾向にあり、勝馬投票券発売 施設所在区への交付金につきましても減少しております。
 このように、非常に厳しい経営環境にありますが、特別区競馬組合では、事 業運営の見直しによる経費の削減を行うとともに、平成23年度につきまして は、「トゥインクルレース25周年」の事業のほか、「JBC競走」の実施、年 末の「東京大賞典競走」の国際化など、大きな企画を展開し、来場を促して収 益の確保を目指していくと聞いております。
 今後も、場外施設において、設置地域の特性に合わせた広報活動を行うとと もに、在宅投票の一層の充実にも努め、競馬事業の効果的な運営を推進してい くとのことでございます。

産学連携の中で新たなコミュニティビジネスを誕生させ展開する際に、区民 全体に一定の利益還元が見込まれる場合には、利益還元がなされるところまで、 育成すべき業種が生まれるよう行うべき!
 平成23年度より、新規事業として、社会起業家育成アクションラーニン グ・プログラムを実施いたします。これは、区と東京大学が共同研究契約を 締結し、地域が抱える課題を解決するための事業手法を考え、実際に地域で 実践する試みであります。
 ベンチャービジネスのように、大きな利益が見込まれるものではありませ んが、新たな公共の担い手となる社会起業家の育成を通じて、コミュニティ ビジネスを推進し、地域の活性化を図って参りたいと考えております。

公会計・財務書類の分析結果を基に各部署の指標を算出しているか?
 文京区では、昨年度から「総務省方式改訂モデル」による財務諸表の作成と 公表を行っており、今年度から、経年分析及び各種指標による分析を行うこと で、公表内容の充実を図りました。
 しかし、本モデルは、決算統計を前提とした目的別の集計を行っているため、 部別や事業別の財務諸表の作成と指標の算出は行っておりません。
 現在、事業別のコストについては、「行政サービスの受益と負担」を作成し、 公表しているところですが、財務諸表については、今後とも、活用方策等を探 ってまいりたいと存じます。

事務事業評価をさらに検討すべき、また、歳入においても事務事業評価の導 入を検討していくべきでは?
 これまで実施してきた事務事業評価については、成果重視の区政の実現、区 民への区政の説明責任、職員の意識改革などに一定の成果があったものと考え ております。
 事務事業評価を含めた行政評価制度については、来年度の次期行財政改革推 進計画の策定の中で、より効果的な評価システムとなるよう、対象事業や評価 主体を含めた抜本的な見直しを検討してまいります。
 また、歳入に対する評価については、現行の評価表に特定財源欄を設け、補 助金などの積極的な活用を図っておりますが、今後行政評価制度の見直しの中 で併せて検討してまいりたいと考えております。

政策創生塾での提案型政策の件数と庁内公募制人事の状況は?
 政策創生塾は、職員の政策法務能力や政策企画力の向上を図るため平成20 年度から実施しております。これまでに各職層からの政策提案は60件となり、 うち3件につきましては、直接政策に結びついております。
 庁内公募制人事は、職員の能力、適性、意欲等を最大限に活かした人事異動 の実施を図るために、平成16年度から実施しております。制度導入から昨年 度までの間で、計10名の公募による人事異動実績がございました。なお、今 年度についても、実施予定でございます。

コアステージ、職層職務ステージ、サポートステージの参加人数とその指標 に対する成果は?
 平成23年1月末日現在、「コアステージ」1,378人、「職層・職務ステ ージ」391人、 「サポートステージ」718人の延べ2,487人でござ います。また、受講後の報告書等を見る限り、ほぼ100%の満足度を得られ ているものと考えております。

後期高齢者医療制度に代わる新制度に移行するに当たり、医療給付の国と地 方の負担割合を現行通りに維持することになるか伺う。
 次に、後期高齢者医療制度に代わる新制度における国と地方の負担割合に関 するお尋ねですが、
 現在、後期高齢者医療制度では、75歳以上の医療給付費に対する約5割の 公費は、国、都道府県、区市町村が4対1対1の比率で負担しております。
 厚生労働省は、新たな制度でも、この負担割合を維持することを前提に、財 政影響の試算を行っております。

後期高齢者医療制度に代わる新制度について、2012年度から準備する場合に本年度で補正を組むことになるのか?
 厚生労働省は、新制度への移行のためのシステム改修経費等については、制 度改革法案の成立後の予算に必要経費を計上することとしております。
 区といたしましては、国の動きを注視しながら適切に対応してまいります。

生活保護費について、近隣区と本区で違いがあるか?
 平成22年度に入り、生活保護受給者数の増加が鈍化してきており、平成23 年度の生活保護費についても前年度に比べ微減となり、高止まりしているもの の落ち着いてきております。
 しかし、近隣には、生活保護受給者数の高い伸びが続いている区もあり、地 域の社会構造や社会状況などが影響しているものと考えております。
 最近の生活保護費の急激な伸びと高止まりは、社会経済状況の変化が大きな 要因となっておりますが、高齢者の生活保護受給者につきましても漸増傾向が 続いており、高齢者に対する生活保護費は今後とも一定の増加傾向が継続して いくものと認識しております。

子ども手当の関連法案が成立した場合の額、(支給年齢・所得制限の有無) があった、児童手当だった場合との歳出差額を伺う。
 子ども手当の関連法案が成立した場合の経費についてのお尋ねですが、扶助 費にあっては、36億917万5千円となっており、その内訳としては、国負 担額が29億614万1千円、都負担額が3億5,151万6千円、区の負担 額が3億5,151万8千円となっております。
 また、児童手当だった場合との歳出差額ですが、平成22年度当初予算に計 上した児童手当の扶助費の区の負担額は、1億5,420万2千円であり、そ の差額は、1億9,731万6千円となっております。
 なお、別途、地方特例交付金が支給されることになっております。

緊急雇用創出事業を活用した、高齢者の状況把握訪問の聞き取り内容につい て伺う。
 緊急雇用創出事業を活用した高齢者の状況把握訪問については、本年2月よ り、訪問員に社会福祉士や介護福祉士等の有資格者を新たに雇用し、介護保険 サービス等の公的サービスのご利用のない高齢者に対し、世帯状況や健康、生 活上の不安等に関する具体的な聞き取りを行っております。
 その中で、文京区社会福祉協議会の新たな「みまもり訪問事業」や地域包括 支援センターへの相談につながるように、ご案内をしております。

「みまもり訪問事業」は、獣医師会との連携など次のステップも視野に入れ、 区民見守りサポーターの充実を図るべき! 
 ご指摘の通り、地域の支えあいの活動である高齢者見守り訪問事業につい ては、地域の方々にご理解、ご協力をいただくことが重要なことと考えてお ります。
 今後、獣医師会をはじめとした様々な地域団体・ボランティアの方々とも連 携して、訪問が必要な高齢者の情報の把握に努め、見守り訪問事業の充実を図 ってまいります。

高齢者の見守りについては、地域活動センターでの課題を各所長はどう分析 しているか?
 地域の絆が薄れている中で、孤立している高齢者については、地域の力で支 援していくことが何よりも大切であると認識しております。
 こうしたところから、高齢者の見守りについては、ハートフルネットワーク 協力団体の連絡会に地域活動センターの所長が出席し、地域における高齢者の 実態把握や様々な団体との連携を図っております。
 また、現在、地域活動センターでは、「ふれあいサロン」や「立ち寄りスペ ース」を設置し、高齢者の方が気軽に立ち寄れるような工夫を行っておりなど ます。地域活動センターの所長は、これらを充実させるとともに、地元町会を はじめ、地域活動団体と連携し、地域の絆が再構築できるように取り組んでい るところでございます。

観光行政のIT化をどのように進めるのか?QRコードの活用等による地域 活性化策を検討すべき!
 まちあるきを楽しむためには、史跡や施設等の情報が必要であります。現在、 策定を進めております案内標識等統一化計画においては、案内板をより分かり やすいものとするだけでなく、QRコードの活用などにより、これまで以上の 情報提供を行うこととして検討を進めております。
 また、JTBに委託して行っておりますまちあるきルート開発事業において は、携帯端末等を活用した情報発信として、携帯スタンプラリーを実施してお り、その利用状況などから情報の内容提供方法等について検討を行い、来訪者 のニーズを掘り起こすとともに、地域の活性化が図られるような取組みにつな げていきたいと考えております。

介護者支援について、認知症の方の状況とグループホーム利用状況等の現況 はどうか?認知症サポーター養成講座等の介護者支援策をより展開すべき!
 現在、文京区の介護認定を受けた高齢者のうち、認知症の症状があることに より、日常生活に支援が必要とされる方は、約3700人となっております。ま た、グループホームは区内に4施設あり、59人の方が利用されております。
 認知症の介護者支援については、認知症の理解を広めていくためにサポータ ーを4000人まで増やし、サポーターレベルアップ研修も実施してまいります。 また、地域包括支援センターにおいて認知症介護者教室等を開催し、介護方法 の普及や介護者間の交流等を図ってまいります。
 グループホームの整備につきましては、現在も高齢者・介護保険事業計画に 定めた数値を達成するため、定期的に民間事業者の募集を図っていりところで あり、引き続き誘致を図ってまいります。

子どもの体力増進についてどのような指導が行われているか?
 体力につきましては、新学習指導要領の理念である「生きる力」を支える「確 かな学力」「豊かな人間性」「たくましく生きるための健康や体力」の3つの柱 の一つに掲げられ、取り組むべき重要な課題ととらえております。
 すでに、平成23年度教育課程編成に際して、各学校へ、体力向上を図るた めに、@「一校一取組」などの意図的・計画的な体力向上の取組、A全小・中学 校の全学年で実施する体力・運動能力、運動習慣調査の活用、B体育・保健体 育の授業改善の3点を核として、教育活動全体を通して取り組むよう周知して おります。
 今後も、各学校の取組みに加え、小学校陸上記録会、中学校総体、中学生「東 京駅伝」大会等の連合行事の充実、新たに都から指定を受けた「スポーツ教育 推進校」の取組みの普及を通して、体力の向上、増進を図りたいと考えており ます。

都の体力調査を基に啓発広報等の在り方も工夫が必要と考えるが、今後の教 育部局とアカデミー推進部との連絡体制をどのように構築し、地域での体験を 増やし、「逞しさ」を構築していくべき!
 学校教育と地域教育、社会教育の連携は重要な視点であることから、来年度 から実施する放課後全児童対策事業や健康教育推進事業を検討する中で、アカ デミー推進部との連携を図ってまいりたいと考えております。

白石ひでゆきの答弁の感想
 総括的なデータも提示していただきました。
 今回の総括での一番の目的は、居住者と産業の比率を今後、考えていく必要 があるという提示です。「新たな公共」を育くんでいくという事は、区の責務 が明確になっていくということであり、職員の一層の自覚が必要です。
 一方で、育んでいくには一定の魅力が必要であり、地域特性から生まれてく るには、産業の力の協力も必要と考えます。 
 自民党がブックスタートを提案した事も、地域に出版や印刷等の会社があり、 それらの特性から文京区らしさが生まれる提案でした。
 今後の分析をお願いします。
 その他は、各款各項目のところで詳細にご指摘させて頂きます。