2012年(24年)第1回 定例会 予算委員会総括質問 白石英行 全文

2012年(24年)第1回 定例会  

 文京区議会自由民主党の総括質問をさせていただきます。
 政府や民間での経済予想は、第3次・第4次補正予算により、復興需要の本格的始動する公共事業やエコカー補助金・住宅エコポイント等も加わり景気が後押しされる事 、金融不安から世界経済も持ち直しに入る事が予想され、実質成長率は11年度のマイナスから12年1.5〜2%となり、13年では1.5〜2.3%と堅調に持ち直すと予測されており、 日本経済の復活が期待されます。
 しかし、今後の大きな課題には人口体系があり、今後の生産人口の変化を鑑みなければなりません。
 アジア地域では60年代以降、人口構成が成長に有利に作用する「人口ボーナス」を経験したものの、2010年代以降は順次、 老年人口比率の高まりなどが成長の足かせとなる「人口オーナス(重荷)」期に入っています。
 また、「雁行形態型」という言葉を使うならば、その人口変動は、先頭が日本です。続く第2グループが韓国、シンガポール、タイ、中国など。 第3グループがタイ以外 のASEAN諸国、インドとなり、少子化、高齢化、労働力人口の減少もこの順番で進み、2050年時点では アジアの労働力人口はマイナス成長か、1%未満の伸びにとどまる予測がされています。
 40年先の日本を確立する為にも、人口雁行形態の先頭として、女性や高齢者・若者創出の活用や外資導入などで生産性を高め、人口オーナス下にあっても経済活力を失わない、 成長モデルを構築する事が望まれます。
 本区においては、この区で安心して住み続けられ、生産を高めていく区民を支えていく政策展開は、重点的に予算執行するもの・中長期的に基金積立運用や起債計画となり、 予算編成は極めて重い責務であります。
 そこではじめにお聞き致しますが、区長を先頭として立案した「品質志向の区政運営で区民の安心を紡ぐ」本予算編成及び行財政改革推進計画について どのような手法で区民へ伝えていくのか、ホームページでの公開の精査だけでなく、多くの手法を交えていく必要があると考えますが、お考えをお伺い致します。 合わせて、今後の分析に当たっては、生産者人口を義務教育終了時に合わせるなどではなく、本区からこそ、時代に合った形にして、各種計画へ反映していくことが 必要と考えますが如何でしょうか?
 また、昨年7月5日に打ち出された「予算編成における経費の削減」において、第4次の行革が平成25年度以降に反映される為、財調基金の繰り入れ額を40億円以下 として8億円の削減目標とし、8月31日予算編成方針で枠配分経費に5%シーリングをかける事とされました。そこでこの財政状況の中で、 昨年度予算「みんなが主役の文の京」から本年度予算では、どのような点が発展し、「紡ぐ」とされたのかお伺い致します。

 一方国会では審議が進まず、消費税率引き上げ関連法案は、2009年度税制改正法 付則第104条で今年3月末とされており、その方向性も民主党内で攻防している時点であり、 「子供・子育て新システム関連法案」「健康保険法等改正案」「介護保険法案」などが提出のメドがたっていない中、自民党は予算対案を公表し、 民主党のマニュフェスト見直しによる1.1兆円削減や公共事業の約4兆円の増額で2%の物価指数を日銀と定めるとしております。政府は昨日、 予算案と特例公債法案の分離採択方針をとり、2年連続で暫定予算になりこととしています。
 このような時点で、我が区に影響を及ぼす危惧が耐えませんが、この動向をどのように受け止め、今後区財政に及ぼす影響及び対応を図るおつもりかお伺い致します。

 次に税制改正についてお伺い致します。
 はじめに、「こども手当」支給により、年少扶養控除の廃止がされ、特定扶養親族の内、16歳以上19歳未満の上乗せ部分の12万円も廃止されます。
 これによる影響はどのようになるかお伺い致します。
 次に、同居特別障害者加算の特例措置ですが、年少扶養控除の廃止に伴い、同居特別障害者加算23万と特別障害者控除のみにして、合計53万とするものですが、 これによる影響はどのようになるかお伺い致します。
 次に、寄付金税額控除の適用下限額が引き下げられ5000円から2000円となります。これによる影響はどのようになるかお伺い致します。
 次に上場株式等に係る配当・譲渡所得等に対する軽減税率は平成25年末日まで延長とされていますが、この間の推移はどうであるか、お答え下さい。
 この項の最後に、退職者所得税の見直しについてお聞きします。これは、勤続5年以下の法人役員等の退職金について1/2課税を廃止するもの及び個人住民税に 係る退職所得の10%の税額控除が廃止されるものとの2つがあり、24年予算内の25年1月1日から3月31日内に支払われる分について適用されます。 これによる影響はどのようになるかお伺い致します。

 次に、基金についてお伺い致します。
 本区では、第三次までの行財政改革計画により、財調基金残高も増に転じてきたものの、昨年の44.1億円・本年の38.8億と多額の繰り入れが行われています。
 他の自治体では、経済状況が不透明の中で、あえて財調基金残高をゼロにして厳しい財政運営を区民に示すところも出てきましたが、本区の今後の基金の推移を どのように予測されているのか、お伺い致します。
 この予測が的確に行われてこそ、本来の「基金」が持つべき目的である「厳しい財政状況」の中で安定した柔軟な施策が展開できるものと思います。 今後の基金の活用方針及び基金積立計画について合わせてお答え願います。

 次に特別区交付金についてお伺い致します。
 財調交付金の配分、5%を巡っての見直しの議論を行ってきた事と思います。特別交付金は、本来、災害や減収など「特別な需要」が生じた場合に配分されるとされるもので、 現実的には「その他」という項目が50%以上を占めており、2010年で219億円という巨額な金額になっています。
区側が申し入れた現行の5%から2%に変更して普通交付金を3%上乗せし、都市直下型地震等に備えるべき時期にきていると思います。
 昨年、区長会が提案した事に際し、都との今後の見通しについてお答え下さい。

 次に、特別区税についてお伺い致します。
 特別区税は、22年度272億円(対前年度-6.1%)23年度262.1億円(対前年度-3.6%)24年度266.5億(対前年度1.7%増)となりました。 まず、本年度の増になったものは何かお聞き致します。
 ここ数年は本区の人口も増加しつつあるなかで、特別区民税の納税者傾向は、個人住民税所得割の税率は10%(特別区民税6%・都民税4%) の比例税率となった18年ベースで見てみると特別区民税257.3億(対前年度12.6%増)で300万以下納税者数は、構成比61.8%・税額構成11.1%、 700万円以上の納税者数は、構成比13.7%・税額構成66.5%であり、翌年19年は263.3億(対前年度2.3%増)で300万以下の構成比61.3%・税額構成20.7%、 700万円以上が構成比14%・税額構成52.8%と構成が変化し、そのままの構成比で本年まで推移してきたように見受けられますが、 この間の納税者数は7661人増加しており、特別徴収は3.9億の増・普通徴収は17.6億円の減となっています。この状況をどのように分析しているかお伺い致します。 また、254.7億(前年比0.4%増)となった要因は何か合わせてお伺い致します。

 次に施設整備についてお伺い致します。
 平成21年に計画した「文京区が所有する公共建築物の耐震化プログラム」を平成23年度に改定し、施設整備や耐震化に対応しているとのことですが、 昨年の東日本大震災の影響、震災直後には、資材の調達が止まり多くの流通が止まっていた時期もあり、人・物が不足した事態が起こっておりましたが、 大規模建設工事などに影響が出ているのか、まずお伺い致します。
 また、24年度発注する新福祉センターや新総合体育館、第6中学校などの建設工事や改修工事の円滑な執行の見通しについてはどうか、お伺い致します。

 次に、本シビックセンターが経験した長周期地震動についてです。
 長周期地震動は、制震構造、免震構造の建物においても、このようなゆったりした震動は考慮されてこなかったため被害が予想されています。
 高層ビルの持つ固有の周期とシンクロした場合には、その振られる幅はさらに助長され、首都圏にある高層の建築物の被害が懸念されています。
 確かに、あの3.11には礫川公園に避難した方々が、中層階が腰をくねらせたような揺れ方をしていたとの話も聞きます。
新宿高層ビルの新宿センタービルは、最長13分間、最大108センチの揺れが、観測されています。
 そこで、今後の改修計画をどのように考えているのかお伺い致します。
 また、3年前より提案している大規模改修時の財源を基金として用意する必要はないのか、改めてその考え方を合わせてお答え下さい。

 次に特定規模電気事業者(PPS)についてお伺い致します。
 本年2月にPPSへの入札を決定した事は、今まで清掃事業所からの電力供給やエスコ事業などを推進してきた者として、 また、東京電力の料金値上げをも視野に入れて考えれば、大変歓迎するものです。しかし一方では、電気事業者の競争環境が整っていない為、 現在では電力販売の3%程度にしかなく、電力の供給には東電との契約があり、安定した供給があるものの、PPSと東電との契約に様々なペナルティがある為、 その運営手法によっては、長期契約内での値上げが予想されています。
そこで、今後のPPSについてのお考えをお伺いします。

 次に昨年もお尋ねした、行政評価についてです。
 本区は、過去にいち早く、予算編成システムや事務事業評価を実施し、成果重視の区政の実現・区民への区政の説明責任・職員の意識改革などに一定の成果を残してきました。 一方で国も18年に地方行革新指針で公会計整備を行いました。これは、前から申しているように、「現金主義」から「発生主義」への転換であり「サービスが効率的に行われているか」 「費用に対して十分な成果が得られたか」を分析する事になりますが、決算統計を前提とした目的別の集計を行っているため、 部別や事業別の財務諸表の作成と指標の算出は行っておらず、事業別のコストについては、「行政サービスの受益と負担」の公表となっており、更なるその評価手法が求められています。  昨年の答弁では、「事務事業評価を含めた行政評価制度については、来年度の次期行財政改革推進計画の策定の中で、より効果的な評価システムとなるよう、 対象事業や評価主体を含めた抜本的な見直しを検討しいく」とされましたが、原案では、「見直しをするテーマ」を抽出する事としています。 私が求めるのはこの「見直しするテーマ」を見つけるに当たっての、職員の考え方を変える為のシステム構築でありましたが、来年度より実施するに当たり、どのようにされるのかお伺い致します。

 次に商店街振興についてお伺い致します。
 先日の「地域振興・まちづくり」委員会では、福井大学の小川准教授に「地域商業再生」のご講演を頂きました。その内容は、 私どもが日々取り組んでいることであり、商店の課題も全国的に一緒であると認識致しました。また、商店・商店街という機能が買い物の場を提供してきただけでなく 、地域社会の一員として、「まちの個性・伝統・文化」を支えてきた事による「公共性」としての立場を持つ歴史があることも、改めて再認識を致しました。
 そして、流通の時代が変わったものの、「まちづくり」には必要な担い手でもあると実感しています。 商店街の課題を克服していくには、様々なポイントがあると思います。そこでその中の一つとしての考え方をお聞きしたいと思います。 商店街は区の支援を受けて今までもポイントカードやプレミアム商品券・宅配事業等を行ってきました。 ポイントカードではエコポイントとして環境問題を取り入れるなどの展開を行ってきました。 そこで、今後の商店街支援に渡っては、先に述べたように「まちの個性」を創造する団体として、経済課のみならず、子育て支援・高齢者施策・ビーグルの区民課なども 協働して担って頂く事が大切であると考えますが、いかがでしょうか?お考えをお聞き致します。

 次に放射線に関してお伺い致します。
 テレビでも天気予報と共に、公開される事になるとは、私も思ってもいませんでした。昨年の区の調査及び公表により、 区民は一定の安心感を取り戻していると感じています。人類がはじめて体験しているこの事実をしっかりと監視し、区民の安全を国・都・区が確保していかなければならないと思います。    本区では本年に入り、「小・中学校の弁当持参への緩和」や「柏学園の本年度使用中止」などの指示が出ており、 それらに理由があるにせよ、放射線の課題はいまなお続いています。今定例会において、内部被爆への安心の為、給食測定では自民党からも指摘を致しましたが、しっかりと取り組んで頂きたいと思います。
 そして、これらのデータはホームページで公開すると共に、区民相談が各部で丁寧に行われ、放射線測定を区民と共に測定を行い始めている事の様々な手法で、 安心を紡いでいる事は理解していますが、不安の連鎖が続く中で、これらの事をホームページの放射線項目のトップページに図解で説明を行って頂き、 更に不安感をなくすための努力をお願いしたいと思いますが如何でしょうか?また、今までにガイガーカウンターの団体及び個人へ貸し出した件数及び測定した データの取り扱いはどのようにするのか合わせてお答え下さい。

 次に、共同住宅とまちづくりについてお伺い致します。
 現在、都市計画部において、都市マスタープランに則って、「絶対高さ制限を定める高度地区の指定」が第2次素案まで進み、区民の意見の合意を期待するものです。 また、合意が取れなかったたにせよ、この事は区民の「まちづくり」に対する関心が高まり、「地区協定」や「まちづくり基本計画」に発展する事が期待されます。
 そこで、本区の町並みを考えて制定された条例の「文京区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」について、何点かお尋ね致します。
 はじめに、「重層長屋」「旗竿敷地」です。
 本区は、昭和25年から42条2項道路の指定が行われ、平成2年から区は拡幅を進めてきたところですが、現況、どれくらい進んできたのでしょうか?
 この現況の中で、いわゆる旗竿敷地での共同住宅に「長屋形式」が使われ、マンションやアパートが建たない場所に3階建ての集合住宅が出現することが現実に起きています。 そして、共同住宅と異なる」為、ゴミも駐輪場なども全て規制外となることで、良好な住環境整備をしてきた本区の到達点と大きなずれがあると考えますが、この「重層長屋」に対するお考えをお聞き致します。
 また、時代の流れは冒頭に述べたように、賃貸単身向けの共同住宅が低層住宅地で出現をはじめています。これらも2階以
下で9戸以下であれば規制を受けない事となりますが 、大規模敷地の転用で、2階で18戸という場合には、住環境上の規制も必要になってくると考えますが、如何でしょうか?  高齢社会を迎え、単身世帯も増える事と思います。まちづくりはその時代が反映される反面、地域に密着できるものができるかは別問題になりがちですが、今後のお考えを合わせてお答え下さい。

 次に防災についてお伺い致します。
 区長が言うようにまずは「自助」であり、3.11を経験した区民に家に止まる事は容易と考えます。その上で、行政と共に「共助・公助」を築く、 本年修正される「地域防災計画」に区民は期待をしています。
 そこで、必要なものは、「情報」になります。本年は、災害時安全安心整備として固定型防災行政無線のデジタル化を実施しますが、 中央区でも同じデジタル更新に伴い、緊急時に自動で電源が入り、防災無線から緊急情報を受信する緊急告知ラジオを25000台の予算化を実施しました。 昨年6月の代表質問で「情報伝達」の課題としていくつか提案させて頂きましたが、今回の更新でこのような対策を実施することは、 SNSを活用できない情報弱者には必要と考えますが、本区もデジタル化に伴い、このような手法がとれるのか、今後の対応についてお伺い致します。
 また、本区は現在、区内案内表示板の改訂を実施していますが、防災の観点からどのような提案がなされているのでしょうか?数カ所には、海抜を記入するなどの工夫も必要かと考えますが、いかがでしょうか?

 次に扶助費についてお伺い致します。
 平成15年ベースでは、70億であった扶助費はこの9年間増え続け、近年では平成18年86億、20年93億、22年109億、23年144億となっています。 扶助費には児童福祉(医療助成や保育園等)や老人福祉(老人ホームや地域包括等)と生活保護費がありますが、生活保護費の昨年の伸び率は5.8%45.1億円でありました。
 ここでお聞き致しますが、当初予算がマイナスになった要因は何か。また、生活保護費の伸び率はどのように予測しているのかお答え下さい。

 最後に、教育についてお伺い致します。
昨年6月の代表質問で新学習要項全面改定に伴い、「コミュニケーション能力の育成」と本区の将来ビジョンで述べられた六章のハード及びソフトの面との 整合性や連帯性を構築していく事を求めたところ、新教育長は「教育施策を総合的かつ体系的に進めるため、教育基本法に基づく教育振興基本計画を策定する」とされました。
 本計画に期待するところですが、策定に当たり、2年間の検討期間と5年間の計画期間とされていますが、24年度よりスタートするに当たり、 この2年間の検討スケジュールをどのように構築されるか、お答え頂き、総括質問を終わります。




2012年(24年)第1回 定例会

      白石英行 予算委員会総括質問 答弁編

■赤字が質問要旨
■黒字が区の答弁

  予算編成及び行財政改革推進計画についてどのような手法で区民に伝えるか伺う
 予算編成につきましては、翌年度の主要な新規・レベルアップ事業について 重点施策として予算編成過程においてお知らせするほか、予算案の決定後は、 予算の概要や主要事業について、区報やホームページに掲載し、区民への周知 を図っております。
 さらに、24年度予算からは、予算編成の段階で予算要求額を公表するととも に、予算案決定後に、予算査定額について公表するなど、情報提供の拡大を図 っているところです。
 また、行財政改革推進計画については、これまでホームページでの公開だけ でなく、素案の段階で区報特集号の発行や区民説明会を実施し、パブリックコ メントで区民の皆様からの意見を募るなど、様々な手法で区民に対して周知を 行ってまいりました。
 今後も本計画において方向性をお示ししたものについては、十分な検討を行い、必要に応じて説明会を行うなど、区民への周知・説明に努めてまいります。

  今後の分析に当たり、生産者人口を義務教育終了時に合わせるのではなく、時代に合った形にして、各種計画へ反映していくことについてどう考えるか伺う。
 行財政改革推進計画の策定においては、将来の行政需要の大まかな変動を 予見するために、一般的に用いられる年齢3区分別の人口推計を用いました。
 将来的な行政ニーズの的確な把握のためには、実態を踏まえた状況分析が必要であると認識しており、 各種計画の策定等においては、各々の目的に応じた年齢区分を用いた検討も行っており、今後も適切に対応してまいります。

   厳しい財政調整の中で、昨年度予算から本年度予算では、どのような点が発展し、「紡ぐ」とされたのかについて伺う。
 本年度は、障害者が地域で自立して生活できるようにするための24時間365日の相談体制の整備や、高齢者の任意予防接種である肺炎球菌ワクチンの接種費用助成など、 優先度の高い施策を重点施策とするとともに、区内中小企業の経営環境安定化支援等のための新たな借換メニューの創設など、きめ細かな施策を展開し、区民の安心を紡いでまいります。

  消費税引き上げ関連法案、「子供・子育て新システム関連法案」、「健康保険法等改正案」 「介護保険法案」などの動向をどのように受け止め、今後区財政に及ぼす影響及び対応をどのように図るのか伺う。
 委員ご指摘の消費税率の引き上げを始めとした様々な国の動きは、国民生や社会経済、自治体運営に与える影響は大きいと認識しております。
 これらについては現在、国において議論されておりますので、今後も、これらの法案や社会保障制度改革の状況など、国の動向を注視しながら、適切な財政運営に努めてまいります。

  年少扶養控除及び特定扶養親族の内、16歳以上19歳未満の上乗せ部分廃止の影響がどのようになるか伺う
 平成23年度実績では、年少扶養控除の対象人数は約2万人、16歳以上19歳未満の特定扶養控除の対象人数は約2千人となっております。 年少扶養控除額は33万円、特定扶養控除の上乗せ額は12万円のため、これらの廃止による影響は、合計約4億1千万円の増収を見込んでいる

  年少扶養控除廃止に伴う同居特別障害者加算の特例措置について、その影響がどのようになるか伺う
 同居特別障害者加算については、扶養控除や配偶者控除から特別障害者控除に加算されるよう変更したものであり、加算額の変更はございません。

  寄付金税額控除の適用下限額が引き下げられことによる影響がどのようになるか伺う
 平成22年度の寄附金税額控除は、件数が約140件、合計控除額が約668万円となっています。適用下限額が5000円から2000円に引き下げられたことによる影響により、 平成22年度ベースで積算して、約710万円の控除額となります。
 なお、平成24年度は、東日本大震災による寄附金や義援金が多く寄せられているため、寄附金税額控除の大幅な増額が予想されます。

  上場株式等に係る配当・譲渡所得等に対する軽減税率の推移について伺う 
 上場株式等に係る配当・譲渡所得等に対する税率は、平成26年に本則20%が適用されますが、それまでは、特例措置として軽減税率10%が適用されています。 この軽減税率は、実質的に、平成15年から継続して適用されているものです。
 なお、本区における上場株式等に係る配当・譲渡所得額の合計額は、平成21年度の6億200万円から、平成22年度の1億5600万円へと、大きく落ち込んでおりますが、 これは厳しい経済状況の影響によるものであり、税率の変更によるものではございません。

  退職者所得税の見直しによる予測について伺う
 平成22年度の退職所得の区民税額実績は、対象者が約1270人、総額が3億5500万円となっています。これをベースとした、 退職所得の10%の税額控除の廃止による平成24年度の影響額は、約990万円と試算しております。
 なお、勤続5年以下の法人役員等の退職金に係る1/2(にぶんのいち)課税の廃止については、現在、法改正がなされておりません。

  今後の基金の推移をどのように予測しているか?
 財政調整基金の取崩しにつきましては、24年度は39億円、25年度は現在策定中の行財政改革推進計画において、43億円と試算しております。 26年度以降も経費の節減に努めてまいりますが、一般財源の回復が見込めない限り、当初予算での取崩しは避けられないのではないかと考えております。
 また、大規模施設整備経費につきましては、24年度は33億円、25年度は実施計画では20億円の取崩しを予定しております。 また、保育園の耐震改修工事や学校の施設改修なども計画的に実施しており、区民施設整備基金、学校施設建設整備基金等を活用してまいります。
 これらの基金の取崩しにより、25年度末の残高は、財政調整基金では190億円、特定目的基金では283億円と見込んでおります。

  基金の活用方針及び基金積立計画について伺う
 今後の基金の活用方針については、財政調整基金を景気変動による収入減や臨時的な歳出増に活用するとともに、特定目的基金を大型区有施設の建て替えや施設の改修等に活用してまいります。
 また、一層の行財政改革を進めることで取崩し額の圧縮を図るとともに、決算剰余金などの適切な積立てを行ってまいります。

  区長会は都に対し、特別交付金の割合を2%に変更して普通交付金を3%上乗せすることを提案しているが、今後の見通しについても伺う。
 特別交付金については、地方交付税法の改正趣旨などを踏まえ、都区財政調整制度の透明性・公平性を高める観点から、 可能な限り普通交付金による対応を図るため、昨年度に引き続き、2%を基本に見直し、割合を引き下げることを区長会として都に提案いたしました。
 しかしながら、都側からは、各区のニーズが高いという認識であること、地方交付税制度とは単純に比較できないため直ちに準ずるのは難しいことなどから、 割合を引き下げる必要はないという見解を示し、協議が整いませんでした。
 したがいまして、厳しい財源状況のもとで普通交付金の原資を確保するためにも、また、地方交付税法改正との整合を図る観点からも、 早急な改正が必要であることから、今後も引き続き、2%を基本に見直すよう主張してまいります。

  特別区税は24年度266.5億円(対前年度1.7%増)となったが、本年度、増になったものは何か伺う。
 特別区民税の納税者数が増加している中、特別徴収が、3.9億円の増、普通徴収が17.6億円減となっているが、 この状況をどのように分析しているか、254.7億円(前年度比0.4%増)となった要因について伺う。

   24年度の特別区税の増となった主な要因は、税制改正による年 少扶養控除廃止による増加、たばこ税率改定による増加及び新規納税義務者数の増などにより、前年度予算対比では、 4億4300万円増となっており、特別区民税では、普通徴収が不況の影響による減、特別徴収が既課税所得水準の増を見込み、前年度予算対比で、1億1000万円の増となっております。
 また、納税義務者数を18年度と22年度で比較すると、増加しておりますが、18年度の税制改正により、高所得から低所得へと所得階層の移動が生じる一方、 20年のリーマンショックの影響がさらに大きく現われ、22年度は自営業者を中心とした普通徴収が約17億円と大きく減少したものです。 また、特別徴収については、比較的影響が少なく3億9000万円の増加となったものです。

  当初予算の扶助費がマイナスになった要因について伺う。
 24年度当初予算における扶助費は、139億5,901万円であり、対前年度比3.1%の減であります。
 前年度予算額と比べ減少した主な理由といたしましては、子ども手当の減に伴う影響であり、それらの影響額11億2,748万円を除くと、6億8,582万円、6.4%の増となっております。

  生活保護費の伸び率の予測について伺う。
 リーマンショック以降の景気低迷による雇用環境の悪化により、21年度以降、生活保護受給者数は大幅に増加し、生活保護費も上昇傾向が続いております。
 生活保護費は、生活扶助・医療扶助等各扶助費別に、過去の実績から件数などの伸びを予測し算定しており、24年度予算は前年度比4.8%増となっております。

  23年度の大規模建設工事などに対する、東日本大震災の影響について伺う
 震災後においても、本年度計画した工事は、予定通り発注してまいりました。一部の工事で入札不調や工期変更などありましたが、設計の見直しを行うなど適切に対応してまいりました。
 森鴎外記念館においては、震災復興工事の本格化による資材と作業員不足など震災の影響が大きかったことから、 年度を超える工期変更を行いますが、開設準備など事業スケジュールに支障のないよう調整しております。

  24年度に発注する福祉センター、総合体育館及び第六中学校などの建設工事や改修工事の執行の見通しについて伺う
 本年度の状況を踏まえ、関係各課や施工者との調整を密にし、引き続き事業の円滑な執行に努めてまいります。

  今後の改修計画をどのように考えているのか、財源を基金として用意する必要はないのか伺う
 議員ご指摘の通り、高層ビルの長周期震動の影響が指摘されております。シビックセンターでは、 設計段階で想定していた耐震性能が発揮され、構造自体に損傷はありませんでした。
 本年2月にシビックセンター改修方針策定のための検討委員会を立ち上げたところであり、今後、これらの検証も含め、研究・検討してまいります。
 新たな基金の創設等につきましては、今後、改修の内容と併せて検討を進めてまいります。

  特定規模電気事業者(PPS)について伺う
 シビックセンターにつきましては、3月上旬にPPSによる入札を実施し、24年5月から一年間の契約で導入を予定しております。
 なお、その他の区有施設については、庁舎への導入状況及び他区の入札状況、契約内容等を踏まえ、関係所管課で24年度中の拡大が可能かどうか検討を進めてまいります。
 また、区立小・中学校につきましては、平成22年度4月から小学校4校、中学校1校でPPSによる電力供給を開始しており、24年度でさらに小学校3校で導入してまいります。

  新しい行政評価を来年度より実施するに当たり、どのようにするのか伺う
 現在、平成24年度の実施に向けて、評価の具体的な内容、手法等については検討しているところですが、評価対象事業の選定にあたっては、ご指摘のとおり、 事業執行を担っている職員一人ひとりが改善に向けた問題意識を持つことが重要になっております。
 あわせて、職員が一定の選定基準の下に、見直し可能な事業の洗い出しを行うこと等についても検討しております。

  今後の商店街支援に当たっては、経済課のみならず、子育て支援・高齢者施策・ビーグルの区民課などとも協働して担ってゆくことが大切であると考えるが、このことについて伺う
 商店街は、地域の核として地域活性化のために重要な役割を担っており、様々な部署と連携して支援を行うことは意義のあるものと考えております。 このため、子育て支援策として平成18年度から平成21年度まで「子育てアシストカード事業」を実施したほか、高齢者支援を含めた施策として 「商店街宅配事業」を実施しているところでございます。 さらに、ビーグルを活用した商店街支援といたしまして、区民課所管の文京区コミュニティーバスB−ぐる沿線協議会との協働により、 バス車内に設置予定のマルチビジョンを活用して、商店街PR映像を流す方向で準備を進めているところでございます。  今後も、子育て支援や高齢者施策など多くの部署と連携について検討を進め、多角的な視点で商店街支援を行ってまいりたいと考えております。

  区で実施している各種放射線対策についてホームページの放射線項目のトップページにおいて図解で説明すること等について伺う
 放射線の測定結果については、速やかに公表することに努め、放射線関連情報として区のホームページに公表しています。
 ご指摘の図解での説明については、区の放射線対策を行っている所管部署を分かりやすく示したり、グラフや写真、地図等も活用して、よりていねいな情報提供に努めてまいります。

  今までに団体及び個人へ貸し出したガイガーカウンターの件数並びに測定したデータの取り扱いについて伺う。
 測定器の貸出件数については、3月6日現在、団体が20件、個人が33件です。今後、ホームページで受け付け状況を区民にお知らせします。
 また、測定結果の取り扱いについてですが、区民が行った放射線測定の結果については、公表はしませんが、区の施設において高い数値が測定された場合は、 区が放射線量の低減対策を行いますので、区への情報提供を区民の皆さんにお願いしております。

  防災無線から緊急情報を受信する緊急告知ラジオについて、考えを伺う
 公共施設や公園等に設置している固定系の防災行政無線につきましては、昨年の東日本大震災の際、聞き取りにくい等の意見がありましたので、 本年度音達調査を実施し、その結果を踏まえ、来年度中にデジタル化の整備を進める予定でございます。一方、学校や町会長宅等に設置している防災行政無線についても、 文字情報が送れる個別受信器を設置する予定でございます。その他、エリアメール等による緊急情報の発信により広く区民への情報伝達手段を整備しているところです。  お尋ねの緊急告知ラジオについては、その効果等を含め調査して参りたいと考えております。

  区内案内表示板の改訂について、防災の観点からどのような提案がなされているのか伺う
 新しい案内標識では、地域図に、広域避難場所と避難所の位置を絵文字入りで載せることで、防災情報の提供を図っております。 また、全域図には、徒歩帰宅者対策として、主要道路の大まかな行先を入れております。
 なお、今後、東京都における被害想定の見直しを受けて、新たな防災情報の周知が必要となった場合には、表示方法も含めて、対応を検討してまいります。

  平成2年から42条2項道路の拡幅を進めてきているが、現在、どのくらい進んだのか伺う
 平成2年度の細街路拡幅整備事業開始から22年度までに、51.2Hの整備が完了しております。細街路拡幅整備の対象距離は、延べ約270Hで、約19%の達成率となっております。
 また、過去5年間に整備した1年当たりの平均距離は、約2.7Hとなっております。

  「重層長屋」対する区の考えについて伺う
 重層長屋については、「東京都建築安全条例」において基準等が規定されており、路地状敷地でも建築可能となっております。
 現在、都において、調査・分析が進められていると聞いており、今後、都から具体的な対応が示された場合には、都と連携して、適切に対応してまいります。

  賃貸単身向けの共同住宅について、大規模敷地の転用で、2階で18戸という場合には、住環境上の規制も必要になってくると考えるが・・・・・、伺う
 文京区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」においては、 対象を階数が3以上、10戸以上の住戸を有する建築物としております。
 これは個人オーナーが自ら居住する賃貸住宅の規模の上限を想定して設定したものです。
 条例制定後は、これまで、ワンルームであることを理由とした、近隣住民とのトラブルは、ほとんどありません。したがいまして、 建築物の規模については、現時点では、改正は考えておりません。
 なお、条例に該当する規模以外のものにつきましても、区に苦情等が寄せられた場合には、これまでも建築主に対して、指導を行ってきております。

  高齢社会を迎え、単身世帯も増える事と思うが、まちづくりはその時代が反映される反面、地域に密着できるものができるかは別問題になりがちであり、今後の考えについて伺う。
 ワンルームマンションや重層長屋については、法的には住宅としての扱いと なり、住宅の建築が可能なところでは、建築できることとなります。
 このため、これらの建物を規制する場合には、地域住民の合意の基に、地区計画の活用などによって、地域のルールを、別途、つくる必要があります。

  教育振興基本計画の検討を24年度からスタートするに当たり、この2年間の検討スケジュールをどのように構築するのか伺う。
 24年度からの検討にあたっては、文京区教育改革区民会議を立ち上げ、2年間において、各年度8回程度の会議を開催する予定でございます 。また、初年度にあたる24年度には、教育に関する区民アンケートを実施するとともに、2年目の25年度には、パブリックコメント及び住民説明会を実施し、 幅広い区民意見を取入れながら、答申を取りまとめてまいりたいと考えております。なお、進捗状況については、適宜ご報告してまいります。

  総括質疑を終えての感想意見
 本区の区民ニーズは納税者体系の変化を鑑みても施策が硬直したままで乗り切れるものではなく、やはり「地域イニシアティブ」が問われている年だと考えています。
 また、不透明な経済状況としても、貯蓄をしてきた本区は、柔軟に活用し、優先度の高い経済支援から区民生活を向上すべきという視点や災害対策では、 予想される震災の減災対策や災害時情報など区民の不安の連鎖を止める施策を委員会の中で提案して行きたいと思います。
 行政の無駄は、第4次行革まで進んでおり、「新たな公共」の構築に全力を尽くした上で、様々な受益者負担を検討する事が理解を得られる手法と考えおり、 森鴎外記念館の開設や医療・学校・江戸遺産など、「地域イニシアティブ」を再点検し、大きな飛躍を成し遂げる為の施策提案を、 委員会の各項で議論を深めて参りたいと思いますので、よろしくお願い致します。