2013年(25年)第1回定例会 予算委員会総括質問 白石英行 全文

 


2013年(25年) 第1回 定例会  

文京区議会自由民主党の総括質問 をさせていただきます。
 まず、今定例会の一般質問では我が党の現政権の批判も頂きましたが、国政と区政は財源確保の点から切り離せない関係であり、経済状況を見極め施策の行方 をしっかりハンドリングしていかなければなりません。
 そこで我が国の経済現状を鑑みると、デフレと円高の泥沼から抜け出せず、五十兆円とも言われる莫大な国民の所得と産業の競争力が失われ、どれだけまじめ に働いても暮らしが良くならない日本経済の大変な危機の中にありました。
 前政権下で実施された経済諸施策では、この状態を克服することは到底不可能であり、前政権の間違った政策に対する国民の危機意識が最高潮に達した結果、 今次の解散・総選挙となり、多数の信任の下に、再度の政権交代が実現したものと考えております。
 新たな政権・安倍内閣においては、既に日本経済再生本部を設置し、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を促進する成長戦略の「三本の矢」 で日本経済を再生させるべく大胆な政策転換を実施しておりますが、既に、株価の回復や円安の実現など、様々な経済指標は、この政策転換を好感し動いている ものと考えております。
 金融政策では、日本銀行との間に、物価安定目標2%の実現を合意し、政府、日銀共同でこの実行に取り組んで行くことになりますが、これまでも実施した事 の無い施策であって、慎重かつ大胆に進めて行かなければ成りません。そのためにも二本目の矢である積極的な財政政策を実施することが重要で、ただ物価が上 昇するだけで無く、きちんとした企業活動を裏付けし、企業業績の上昇が、働く皆さんの賃金上昇にきちんと関連づけられる流れを作って行くことが重要であ り、動き出した企業に期待がなされるところです。
この流れを作るべく、平成24年度補正予算も衆参の賛成を得て国会を通過し、続いて審議予定の、平成25年度予算と相まって、102.8兆円という規模は 過去3年に渡って続いた公債費が税収を上回る状態から回復したとはいえ、公債依存率46%と依然厳しい状況下、15ヶ月間を通した財政措置により、積極的 な需要の喚起を行い、更には三本目の矢である、規制緩和などの成長戦略と相まって、企業活動の積極的な展開を誘導し、業績を上昇させ、日本経済を好循環へ と乗せる果断な戦略手法が再生の鍵となります。
文京区後楽に東京本社を置くトヨタなどの輸出産業を代表とする企業経営においても円安での様々な好影響が期待され、更に「ものづくり日本」の中小零細企業 への波及効果も生み出されつつあり、昨年度予算総括で当時の政権に望んだ、若者への雇用創出へも期待が生まれています。
 このような財政出動と共に、施策が展開されていきますが、その一つである平成25年度税制改正大綱では、本年度末の住宅ローン減税の4年延期、控除額拡 大が行われる事により26年度所得税で減税しきれなかった部分を住民税で控除する仕組みをとる一方、地方財政基盤を保守するために、27年度以降は国庫で みると決定しています。そこでまずはじめに、この改正における今後の中期的に見た本区の影響についてお伺い致します。
 合わせて、地方法人税及び地方法人特別譲与税ですが、昨年の「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行う為の消費税の一部を改正する等 の法律」成立により、「税制の抜本的な改革に合わせて抜本的に行う」とされているものの、地方税として復元する措置はとられていません。東京という昼間人 口流入が膨大であること、全国平均を上回り続ける高齢者人口を加味しても、消費税率引き上げの際には、地方税財源強化という本質的な課題に取り組むべきも のと考えていますが、
本区としてはどのようにお考えかお伺いします。

 次に、経済対 策の柱である「公共事業」は過去最大規模の補正予算の追加提案額を合わせると実質的に例年規模を上回る規模であることから、これを「迅速」かつ「効率的」 に執行することが求められますが、23区では一般財源又は特定財源として予算化されるのでしょうか。本区においては福祉センターを始めとする施設整備に運 用できるのか、「公共事業」へのその方向性をお伺い致します。

 次に特別区交付金についてお伺いします。
 都財政を見てみますと、前年度に比べ3.9%増の6兆2640億円となり、2012年度最終補正では5年ぶりの都税が増収し2年連続の増傾向となってい ます。このような顕著な経済状況での本区は昨年比マイナス2億円・141億と見込みました。この見込みは、決算ベースから算出されたものと考えますが、確 実な予算見込みでしょうか。
 都区間では成澤区長も幹事会メンバーである「都区のあり方検討委員会」にて今までも「都区の事務配分」「特別区の区域のあり方」「税財政制度」について 議論されており、昨年お伺いした交付金の「配分ルール」も今年は見送られたと聞いています、また、「自治のあり方研究会」では10回目の議論で様々な意見 が併記された形でまとめられている状況であり、綱引きが続いています。
 これらの状況でやはり、当初予算をしっかり見込む事が必要と考えますが、交付金のこの見込みを提示した理由をお示し下さい。
 また、区側から求めた45項目で投資的経費(標準施設・年度事業量・単価について)の見直しが1998年以来15年ぶりに見直しとなったと聞いていま す。これによって、本区への影響はどのようなものになるかお伺い致します。またその内の「人件費の算定改善」・「急性灰白すい炎を統合した4種混合ワクチ ンの接種単価の算定」「学校図書館担当職員の配置経費の新規算定」「中小企業関係資金融資斡旋」「いじめ・教育相談員の報酬」についてはどのようになった かお示し下さい。
 これらの状況下で、本区は「文京区基本構想」の実現の為、9つの優先すべき項目をあげ、特別区税7億円の収入増273億円があるものの、財政調整基金を 38.7億円取り崩し、予算規模710.4億円前年比2.2%増とされました。基金を活用し、各自治体が抱える施設の更新についても中長期的な計画を進め る共に、保育環境・児童環境・高齢者環境・防災など区民ニーズを的確に捉えていると評価致します。更に本年は、スポーツ祭東京2013から得られる情報発 信力と子供達への体力づくりへの関心を高め、オリンピック誘致と繋がる夢がある年でもあります。
 文部科学省調査結果、全国平均的に体力測定値が下回る本区として、教育委員会は指導を行っている事は知っていますが、このチャンスを活用して区内児童に どのように関心を高めるのか、また、観客として集まる来訪者の方々にどのようなPRをして、本区の魅力を伝えるのかお伺いします。

 次に、基金と起債についてお伺いします。
 平成に入り本区の財政調整基金が最も少なかった平成13年の71億円・区債残高は422億円、特定目的基金が最も少なかった平成15年の66億円、 388億円と起債ピーク時の平成12年434億円から果敢な行財政改革を行い、基金と起債のバランスを保ちつつ、順調な返還を行ってきました。近年の起債 では23年2億、24年7億、25年7億とするものの、現況、基金残高は504億円、区債残高108億円となっています。
 ここでお伺い致しますが、これらの経験を持つ本区の今後の起債の方針についてどのようにお考えかお聞き致します。

次に、新たな公共プロジェクトについてお伺いします。
 昨年4月の「新たな公共担い手専門家会議」の提言の実現に向けて、本年、地域課題の解決を図る5つの取組がスタートします。
 その展開に大きく期待をするところですが、改めて確認をさせて頂く事は、「文京区らしさ」を発揮できるかという事と思っています。今までの委員会でも発 言させて頂きましたが、本来本区には地域で根ざした文化が住民で構成されてきました。旧公会堂で、町会対抗舞踊大会があった事も、決して行政が用意したも のでなく、当時の地域の流行で有り、師範が多くいたと仮説できます。その後、区は「生涯学習名鑑」を作成し、様々な分野の方々を区民に紹介しています。現 在では、コラビット加入の166団体がその発展した形であると思います。本来、これらを育てるとするならば、エンジェル税制のような投資促進税制が最も平 等性が高く効果的であり、区が行うものではありません。また一方で、我が自民党は平成20年にコミュニティ活動基本法(仮称)」の素案を審議し、地域社会 の連帯が脆弱化した中で、町内会をはじめとする地域コミュニティ活動を後押しするために、自治体とコミュニティ団体とが連携強化するよう、地方自治体や事 業主の責務、住民の役割を法制化する考えを保持しています。
 この現況下、約1000万の予算額を持つ本施策がいかに、区内団体の方々に理解され、参加されるのか。また、その運営に同意を得て、社会的課題解決に向 けて動き出す団体や事業連携することによる新たな起業となる団体が生まれるかが期待されます。
 一方で区内企業では既に、コミニケーション事業部を立ち上げている会社もあり、例えば大手では凸版印刷がチャリティフェスタという形で、地域の方々中心 に100円の参加費で親子で楽しむピアノ教室・絵本の読み聞かせ・工作等をNPOと連携して実施しており、その反響は高いものがあります。
 そこでお伺い致しますが、このプロジェクトは一年で解決できるものではないと考えていますが、手探りして進むには巨額な予算規模と考えます。どのような 進行表をお考えか、また、主体は区である必要があると考えますが、お考えをお聞かせ下さい。合わせて、東京都の24年度「地域力向上事業」の3つの柱「地 域の底力再生事業助成」「地域の福祉機能の向上事業」「地域スポーツクラブの支援事業」は予算総額1.4億円でしたが、本区が参加した事業数と予算規模を 教えて下さい。
 
 次に中堅所得層向け住宅についてお伺いします。
 本施策は、バブル期の地価高騰に伴う人口減少対策として、中堅所得層の定住を目的として展開された住宅政策ですが、現在本区の人口は昭和60年レベルの 20万人を超えるまでに回復しており、その推計では今後も増加すると見込まれています。また、住戸の空き家も増えている状況などから借り上げ区民住宅事業 及び子育てファミリー住み替え家賃助成金については、既に終了する旨の決定をしてきましたが、現在の特優賃法に基づく継続中である、特優賃区民住宅事業も 同様の目的のものと考えています。
 そこで現在の特優賃住宅の状況ですが、一部の住宅で入居希望者がいない為、埋まりにくい状態であることや使用料の高額滞納者が増加している状況であるこ とをお聞きしますが、その現状と原因についてお伺いします。
 また、政策的役割や現況を鑑みると、特優賃区民住宅事業も一定の役割を終了したと考える時期に到達していると考えますが、その方向性をどのようにお考え になっているか合わせてお答え下さい。

 次に内部管理システムについてお伺いします。
 職員課による職員の支払いや各部署の決済などに変化が出てくると思いますが、特に「個人の倫理」「内部の統制」に効果が現れることが期待されます。行政 監査でも「おおむね適正」という評価出ていますが、記載ミスや書類不備などが毎回指摘されています。
 そこで、お伺い致しますが「確認」及び「点検」のチェックシステムはどのように構築されているのか、これらのミスが無くなるか、お伺い致します。

 次に地場産業支援についてお伺いします。
 基本構想では、新たに「大学の附属病院などが多く立地していることにより、本郷・湯島地区を中心に集積している医療 関連産業などが、本区を代表する地場産業」と加わりました。その後、地場産業の傾向はどうでしょうか。医療機具企業は、昭和60年の対米MOSS協議以降 自由化の波で現在までに3割が廃業となった経緯がありますが、国は成長産業と位置づけ、部材メーカーを中心とした異業種からの同市場への参入と、既存の国 内医療機器企業の成長をサポートしており、経済産業省では、誘致策、支援策(例:大田区における医工連携)を行っております。そこで、本区は改めてこの医 療機具企業が集約した歴史を区民内外へ発信し、活性化を図るべきではないかと考えています。
 私は私なりに調査しましたが、日本医療機器学会により「印西(いんざい)市立印旛医科器械歴史資料館」が作られる時に、文京区に対して同様な働きがけが ありましたが結果として、印西市になった経緯があり、この当たりから関係が薄くなっているように感じていますが、更に関係を構築すべく要望しますが、現状 は如何かお伺い致します。

 次に観光行政についてお伺いします。
 先に述べた様に今年は、スポーツ祭東京2013の開催や徳川慶喜終焉100年と国内に関心の高いイベントが開催されます。
昨年オープンの森鴎外記念館も来場者数は開館1ヶ月半で1万人を超え、本区の魅力が発信されています。
 文京区観光協会では、4つのお散歩ルートや観光グッズで頑張っており、アカデミー推進課観光担当も「区内案内版」に「文の京ゆかりの文人銘菓」など工夫 をしていただいており、情報を発信し魅力を伝える努力は大変なものといつもエールを送り続けてる一人です。
 そこで、ここで視点を変えて、ここにある一つのチラシを見て頂きたいと思います。「BASEBALL BUSINESS AWARD2012」。
2008年から、読売新聞と読売巨人軍が大学生を対象に、スポーツビジネスを企画するというものです。これは、低迷する野球観客動員数を増加させる提案を 企業が求めた結果であり、現実にそれが結びついている事業が展開されています。この「2012」で注目すべきは、来客対象を大学生及び高齢者そして居住エ リア別の集客策を求めた結果、優秀賞に選ばれたもののなかに、東京都外大学のゼミが企画した観戦前の2時間で「スポーツが栄える基盤の平和について触れる ツアー」という企画は、野球観戦に地域の歴史という付加価値を付けて、戦没者霊園だけでなく、小石川陸軍工業学校跡地の礫川公園や小石川後楽園・ドームホ テルの東京砲兵工廠跡などを巡る事の充実感を集客に結びつけるものでありました。
 この企画は若い世代が本区の魅力に「平和」を見いだした事に私は驚いたと共に、東京ドームという企業体と観光行政が互いにWin-Winの関係にもなれ る企画と興味を持ちました。そして、これが成功できれば「産学連携」、それも東京都外の大学との連携となることこそ、観光には必要なのかもしれないと考え ています。このような提案に対し観光行政を進める本区はどのようにお考えになるか、このような事例はあるのか、お伺いします。
 
 次に、情報技術(information technology)教育についてお伺いします。
 昨年の6月に情報技術(information technology)教育についてお伺いしました。その際、「教育センターでは、今年度から教職員の授業研究や、コンピュータ技術の基礎となる論理的思 考力(アルゴリズム)の育成を目的としたパソコン教室などの取り組みを始めたこと。今後も地域の研究者やNPOなどの優れた教育資源を、学校の出前授業や 教育センターの講座等に活用することにより、積極的に情報教育を推進し、子どもたちの情報社会を生きる力を高めていく。」とありましたが本年度予算で新た に追加されたものはあるのでしょうか。
 全国的に見て見ますと、デジタルデバイスの導入を始めたところもあるようですが、新たな教育現場への投入状況及びIT教育資源の活用状況についてお伺い します。

 最後に、体罰についてお伺いします。
 1947年に制定された学校教育法第11条により「校長及び教員は、教育上必要があると認めた時は、文部科学大臣の定めるところにより児童、生徒及び学 生に懲戒を加える事ができる。但し、体罰を加える事はできない」と明確に禁止されているにも関わらず、2013年未だに「体罰」が問題になっています。
 単に体罰反対の原則を訴えるだけでは、体罰はなくならないと私は考えています。体罰は暴力によって他者を服従させるもので肯定はしませんが、子供達の前 から消えないことから、スポーツと体罰との関係を再考していく課程において、体罰肯定する人又は否定しない人に耳を傾けて行く事で新たな解決策が生まれる 可能性を探る必要があると考えますが、これらを発展解決していく為には教育現場の教職員のより一層の努力が必要となり、本区特有の区内財産である多くの教 育機関との連携・交流により課題解決に結びつけて欲しいと考えています。
 そこで本区の教職員の研修状況及び様々な課題に対して対応を頂いている教職員のメンタルケアの状況についてお伺いして総括質問を終わらせて頂きます。
 よろしくお願い致します。




2013年(25年)第1回 定例会

      白石英行 予算委員会総括質問 答弁編

●赤字が質問要旨
■黒字が区の答弁

 ●平成25年度税制改正大綱では、本年度の住宅ローン減税の4年延期、控除額拡大が行われるとのことであるが、この改正における今後の中長期的に見た本区の影響は?
 
■平成25年度の税制改正大綱での住宅ローン減税に関するお尋ねにお答えします。
 税制改正等について、平成25年度の税制改正大綱では、住宅借入金等特別税額控除の対象となる居住年月日を、現行では平成25年12月31日までのとこ ろ、平成29年12月までの延長とし、控除限度額を97,500円のところ、消費税率の引き上げに伴い、136,500円へ拡大されることとなっておりま す。
 なお、委員ご指摘のとおり、減収分につきましては、全額国費で補てんされることになっておりますので、27年度以降につきましても、引き続き地方特例交付金により補てんされるものと考えております。

 ●消費税率引き上げの際には、地方税財源強化という本質的な課題に取り組むべきものと考えるが、区の考えは?
 
■ 都は、平成20年度税制改正で暫定措置として導入された地方法人特別税及び地方法人特別譲与税について、地方消費税率の引上げ時期までに、根拠法である 「地方法人特別税等に関する暫定措置法」を確実に廃止し、地方法人特別税を地方税として復元するよう国に引き続き強く求めていくとしております。
 また、限られた地方税源の中で、水平的な財政調整を行う手法では、本質的な解決にはならないのは明らかであり、税収の偏在に対しては、総体としての地方税財源を拡充することにより対応するべきであると主張しております。
 特別区長会では、「国の施策及び予算に関する要望」の中で、分権改革を推進するため、地方税財源の充実強化を挙げ、自らの税源だけでは地方自治体に求め られる役割を果たせない団体については、国の責任で地方交付税による財源保障を行うべきであり、暫定措置として導入された法人事業税の譲与税化のような、 地方固有の税を地方間の財源調整に用いないことを、毎年度国に強く要望しているところです。
 今後も引き続き、特別区長会を通じて、国に要望してまいりたいと考えております。

 ●経済対策の柱である「公共事業」について、23区では一般財源又は特定財源として予算化されるのか伺う。本区においては福祉センターを始めとする施設整備に運用できるのか、「公共事業」へのその方向性は?
 
■今回の国の補正予算につきましては、各区とも何らかの対応を行いたいという考えは持っていると認識しておりますが、日程的な関係から対応に苦慮しているとの情報もございます。
 本区におきましても、国が緊急経済対策の一つとしている公共事業を、24年度中に前倒しで実施することは困難な状況でありますが、国としては、「15か 月予算」の考えのもと、24年度補正予算と一体的なものとして25年度予算を編成するとしておりますので、25年度において事業化できるものがないか、引 き続き検討してまいります。
 なお、福祉センター建て替え整備工事などの区の単独事業につきましては、現在までのところ補助対象であるとの情報を得ていないことから、今回の国の補正予算の活用は難しいものと考えております。

 ●都税が増傾向にもかかわらず、前年度比マイナス2億円の本区予算見込みについて、確実な予算見込みか?
 
■本区においては、24年度の普通交付金当初算定額が約128億円であり、当初予算額である140億円から約12億円の減収となりました。
 25年度の普通交付金については、24年度当初算定額を基本として、元利償還金や急増する改築需要といった投資的経費の見直しに伴う需要額などを見積もっております。
 また、特別交付金についても、実績に基づいた精査を行い、24年度最終補正後の額である8億円と同額を見積りました。その結果、特別区交付金総額では、当初予算対比で2億円の減となったものであり、確実に計上できる見込みのものであると考えております。

 ●特別区交付金の予算見込みを提示した理由は?
 
■25 年度の普通交付金については、24年度当初算定額 約128億円を基本として、投資的経費の見直しなどの算定内容の変更による影響を約8億円の増と見込み ました。 一方で、市街地再開発に係る都市計画交付金起債引当分の算定終了の影響なども考慮して約3億円の減を見込んだところです。

 その結果、25年度の普通交付金について、24年度当初算定額から約5億円増の133億円とし、特別交付金8億円と合わせて、141億円を特別区交付金として計上したものでございます。

 ●人件費の算定改善などについての影響は?
 
■「人件費の算定改善」につきましては、区側提案に沿った形で、標準職員数の見直し、標準職員数の見直しに伴う事業費への振替え、標準職員数に連動する職員手当等経費の整理が行われることになりました。
 また、「4種混合ワクチン」につきましては、不活化ポリオワクチンの法定化を受け、24年9月から単独ワクチンが、11月から4種混合ワクチンの接種が 実施されております。これを踏まえ、4種混合の接種区分を新設するとともに、ポリオの接種単価を変更することにより、算定の充実が図られることになりまし た。
 次に、「学校図書館担当職員の配置経費」につきましては、24年度から地方財政措置が行われていることから、特別区の状況や学習指導要領に規定されている学習時間に沿って、新規に算定されることになりました。
 次に、「中小企業関連資金融資あっせん事業」につきましては、各区の制度融資実績や金融情勢等を考慮し、経常算定分について、算定の充実が図られるとと もに、海外経済の悪化や東日本大震災等の影響を受け、引き続き先行き不透明な経済情勢が見込まれることから、25年度緊急対策分について、臨時的に算定さ れることになりました。
 次に、「いじめ・教育相談員報酬」につきましては、臨床心理士、医師等の報酬実績に基づき、報酬単価を増額して設定いたしました。

 ●投資的経費の見直しによる本区への影響があるのか?
 
■ 投資的経費につきましては、標準施設、急増する改築需要、元利償還金、算定単価どの全体的な見直しを踏まえ、25年度の需要額を約42億円と見積もりまし た。この結果、本区への影響額は、24年度当初算定時の投資的経費約31億円に比べ、約11億円の増となっております。

 ●本区の今後の起債の方針は?
 
■委員ご指摘のとおり、区債残高は、平成12年度に434億円ありましたが、以後、着実に少しております。25年度予算においては、第六中学校改築の財源として、7億円の発行を予定しておりますが、年度末の区債残高は109億円となり、引き続き減少する見込みであります。
 今後の起債については、中長期的な視点に立って、区民施設整備基金及び学校施設建設整備基金の計画的な活用を図りながら、世代間の負担の公平性や将来の財政運営への影響などを総合的に考慮し、活用してまいります。

 ● 新たな公共プロジェクトについてどのような進行表を考えているか、また、主体は区である必要があると考えているが、区の考えはどうか?
 
■来年度から、協働推進担当課長を置き、本プロジェクトの実施、NPO等からの相談・提案窓口の充実など体制を整備して実施してまいります。まず、本プロジェクトを発信するため、区民の皆さんが、対話を通じて交流できるイベントを5月下旬に開催する予定です。

 その後、地域の課題や解決のためのアイデアを探る対話の場と、社会起業家育成の講座を開催してまいります。その中で、「事業化の可能性が高い」など一定の基準を満たしたプランについて、事業構築支援を行ってまいります。
 また、区内NPOとの意見交換会を開催するとともに、本プロジェクトに参画していただいた方などのプラットフォームを構築するため、メールマガジンを発信してまいります。
 本プロジェクトは、区が主体的に行ってまいりますが、ここから創出される事業については、区以外の多様な主体が、自立して継続的に公共サービスを担うことを目指すものであります。

 ●地域の底力再生事業に参加した事業数と予算規模をどう評価しているか?
 
■東京都は、平成19年度から、町会・自治会が行う地域の課題を解決するための取組を推進し、地域力向上を図る事業に対して、直接に助成を行っております。
 24年度の実績につきましては、29町会が27事業の助成を受けておりますが、助成額等の詳細につきましては、各町会が都へ申請するため承知しておりません。

 ●東京都の24年度「地域力向上事業」の3つの柱のうち「地域の福祉機能の向上事業」に本区が参加した事業数と予算規模についてはどうか?
 
■事業として、民生・児童委員協力員事業の1事業を実施しております。24年度予算は、協力員活動費、ボランティア保険料、旅費、消耗品等の費用、約44万円です。

 ●地域のスポーツクラブの支援事業に本区が参加した事業数と予算規模はどうか?
 
■東京都では、地域のスポーツクラブに対して、公益財団法人東京都スポーツ文化事業団と連携して、クラブの設立・運営に役立つ各種情報を提供する「地域スポーツクラブサポートネット」の運営や指導者の派遣、各種都民参加事業に対する助成金の交付等の支援を行っております。
 区内の地域スポーツクラブとしては、礫南スポーツクラブがあり、このような東京都の様々な情報を提供しているところですが、24年度における都の助成金 等の活用の実績はございません。なお、区による指導者の派遣は、礫南スポーツクラブにおいても従来より実施しております。

 ●スポーツ祭東京2013を活用して区内児童にどのように体力づくりへの関心を高める
のか?

 
■ 本区は、スポーツ祭東京2013のサッカーとレスリングの競技会場となっております。これを好機に教育委員会としましては、都教育委員会が作成したスポー ツ祭東京2013及びオリンピック等に関する補助教材を授業等で活用し、各学校において児童・生徒のスポーツに関する理解を深めてまいります。
 また、スポーツ振興課と連携して区立小・中学校への周知及び児童・生徒へのPRに協力し、スポーツ祭東京2013への興味・関心を高めてまいります。さ らに、東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査の結果に基づき、自身の体力づくりへの関心をより一層高めてまいります。

 ●スポーツ祭東京2013に観客として集まる来訪者の方々に、どのようなPRをして、本区の魅力を伝えるのか?
 
■ 本区でのスポーツ祭東京2013の開催は、歴史と文化の香り高い「文の京」の魅力を全国に発信する、絶好の機会と捉えております。会場内には、観光案内 コーナーを設置し、本区の歴史的・文化的資産や観光スポット、食事処、まちあるきの魅力などを積極的に紹介し、区内商店等による物販コーナーの設置も予定 しております。
 また、運営に当っては、区民との協働によるPRやおもてなしが重要と考えており、観光協会、町会、商店会など、スポーツ祭東京2013文京区実行委員会を構成する団体を始め、関係諸団体とさらに緊密な連携協力体制を構築して、取り組んでまいります。

 ●特優賃区民住宅において、一部の住宅で入居希望者がいないため埋まりにくい状態であることや、使用料の高額滞納者が増加していることの現状と原因は?
 
■ 現在、126戸中14戸が空家となっており、現在入居中の100万円以上の滞納者が5名おります。これらの原因としては、入居者の所得制限は変わらないに もかかわらず使用料が年3.5%上昇するという、特優賃法の規定により、所得に対する使用料の比率が高くなってきていることなどが考えられます。

 ●特優賃区民住宅借上げ事業も一定の役割を終了したと考えるが、その方向性は?
 
■ ご指摘の通り、特優賃区民住宅の政策的役割は終了していると考えており、今後は、入居希望者がいない空室については順次、特優賃法上の用途廃止を行うこと といたします。用途廃止後の住戸は所得制限や使用料減額等の無い住宅に転換し、市場家賃を負担できる世帯の入居を促進することで、5年から8年後の借上げ 契約終了時における、円滑な住宅オーナーへの返還を図ります。
 なお、区立根津一丁目住宅については、用途廃止後の有効活用を検討しているところです。

 ●内部管理システムにおける「確認」及び「点検」のチェックシステムはどのように構築されているのか、また、記載ミスや書類不備などのミスが無くなる手段は?
 
■以前より指摘されております記載ミスなどについては、研修の実施により、適正な事務処理が執行されるように努めてまいりました。
 しかしながら、人的判断に委ねている現状においては、内容の繁雑さなどから、記載ミスを皆減することが困難な状況であり、改善策の一つとして、システム 化によるエラーチェックを行うことが考えられます。このため、庶務事務システムの稼働後については、「システム化による論理チェック強化により、属人的な 事務処理を削減し、事務の標準化を図る」ことを開発目的の一つとしております。
 記載ミスや書類不備は、システム導入後、減少することが見込まれますが、併せて、今後とも、庶務事務研修やOJTにより職員のレベルアップを図り、適正な事務の執行に務めます。

 ●基本構想では、新たに「大学の附属病院などが多く立地していることにより、本郷・湯島地区を中心の集積している医療関連産業などが、本区を代表する地場産業」と加えたが、その後の地場産業の傾向は?医療器具企業が集約した歴史を区民内外へ発信し、活性化を図るべき!!
 
■本区を代表する地場産業といたしましては、医療関連産業及び印刷・製本業が挙げられ
ます。地場産業に限らず中小企業におきましては、長引く景気の低迷により厳しい状況が続いており、事業所数は減少傾向にあります。なお、医療関連産業においては、成長産業としての市場拡大が期待される一方で、薬事法による規制強化といった課題があります。
 また、医療関連産業についての情報発信については、昨年には、軍医であった森鴎外の生誕150年記念事業として、ふるさと歴史館で医療発展に関した展示を行い、この中で文京区と医療関連産業とのつながりについてもご紹介したところです。
区内外への発信といたしましては、平成25年度に医療産業関連団体が出展する全国規模の産業展に、本区も出展協力を予定しており、こうした取り組みによ り、活性化につなげてまいりたいと存じます。日本医療機器学会との連携についてですが、これまで、本区といたしましては、いくつかの医療関連産業団体と意 見交換等を行い、連携を図
チてまいりました。現在、当該学会との接点はございませんが、今後は、さらに様々な団体と積極的に連携し、地場産業である医療関 連産業を広くアピールしてまいりたいと考えております。

 ●大学や企業と連携した企画提案に対して、観光行政を進める本区はどのように考えるか、また、このような事例があるか?
 
■  区では、観光振興には、様々な主体との連携が重要と考えており、大学や企業との連携も推進しております。企業との連携では、例えば、JR東日本の「駅か らハイキング」は、JRと区がウィン−ウィンの関係を築ける事業で、数年前から協力をしています。今年度は、シビックセンターや森鷗外記念館を含む2コー スが実施され、合計41日間で延べ約7,500人の訪問者の誘致につながるなど、一定の成果が出ております。
 今後も、ご提案の、スポーツビジネスと連携した企画への対応を含めて、様々な主体との連携に積極的に取り組んでまいります。

 ●情報技術教育について、本年度予算で新たに追加されたものがあるか?
 
■ 教育センターでは、情報教育の視点を取り入れた教員ICTリーダー研修と子ども向けパソコン教室を、情報処理学会の支援を受けて実施いたします。包括的な 助言、指導、教材提供等を受けるため情報処理学会とコンサルタント委託契約を結ぶこととし、一般委託費を計上いたしました。また、タブレット端末を購入 し、先端の情報機器の活用実証研究を進めます。

 ●全国的に見ると、デジタルデバイスの導入を始めたところもあるようだが、新たな教育現場への投入状況及びIT教育資源の活用状況については?
 
■ 平成25年度までに全小学校において教育用コンピュータの40台化を目指して機器の導入を進めてまいりました。平成24年度までに小学校15校で導入が完 了し、引き続き平成25年度に小学校5校に導入することで、計画どおりの配備を達成する見込みです。さらに、平成24年度から平成25年度にかけて全小学 校に校内LANを敷設いたします。これにより、既に導入している電子黒板を一層効果的に活用できるものと考えております。なお、中学校については、既に教 育用コンピュータの40台導入、校内LANの敷設については完了しております。
 また、IT教育資源の活用状況につきましては、電子黒板に動画やイラストなどの映像を提示し、児童・生徒の興味や関心を高め、学習意欲の向上を図ってお ります。さらに、記入済みのプリント教材を電子黒板上で表示することにより、他の児童の考えを知り、学習内容への理解をさらに高めております。ICT教育 環境の整備については、学校現場における機器の活用状況等を勘案しながら、次期実施計画に向けて適切に対応するとともに、機器を活用した授業が効果的に展 開できるよう、研修等をとおして教員の活用力を向上させてまいります。

 ●本区の教職員の研修状況及びメンタルケアの状況についてどうか?
 
■体罰に関しての研修状況についてですが、体罰は決して許されぬ行為であるとの認識の下、7月と12月の服務事故防止月間における各学校での研修や東京都主催の体罰防止にかかわる研修会、体罰防止の指導資料等を活用して体罰の根絶について周知徹底を図っております。
 また、教職員一人一人のメンタルケアに関しましては、管理職をはじめ養護教諭やスクールカウンセラーが行っております。本区では、都のスクールカウンセ ラーに加えて、区のスクールカウンセラーも配置しております。さらに、教職員の悩みの相談等については、東京都総合健康センター等の様々な相談機会を活用 できる状況でございます。